通信制高校との共創支援モデル『校内キャリアサロン』、2024年9月より本格スタート
NPO法人キャリアbase
通信制高校に通う生徒が、学校外の信頼できる大人に気軽に相談できる居場所として、週1回~(1回3時間程度)通信制高校のキャンパス内に開設します。
NPO法人キャリアbase(所在地:千葉県柏市、代表:草場 勇介)は、2024年6月、休眠預金等交付金を活用した『高校生世代の子育て家庭「くらしと学びの危機」緊急支援事業』(資金分配団体:キッズドア様、READYFOR様)に採択されました。本事業の実行団体として、2024年9月より、通信制高校内における『校内キャリアサロン』のプロジェクトを本格的にスタートいたします。
『校内キャリアサロン』とは
『校内キャリアサロン』とは、通信制高校に通う生徒が、進路や将来に不安を覚えたときに、学校外の信頼できる大人に気軽に相談できる場として設けるサロンです。週1回~(1回3時間程度)通信制高校のキャンパス内に開設します。オフライン・オンライン、いずれの形式でも活用可能です。キャリアコンサルタントやカウンセラー等の有資格者を中心に、キャリアbaseから人材を派遣し、決まった曜日・時間にサロンに常駐し、運営していきます。
本事業においては、次の3点をポイントとして推進していきます。
- キャリアbaseがこれまで培ってきた大手通信制高校「本部」とのネットワークや成功事例を、各キャンパスやその他の通信制高校に拡げ、サポート校の体制によって、生徒が受ける教育機会や情報の格差が生まれない状態をつくっていくこと。
- 民間と学校との共創支援の成功モデル構築のため、各キャンパス単位とキャリアbaseの強固なネットワーク化・情報連携を行うこと。
- “通信制高校における就労支援”というニッチな領域に対しても、対応可能なキャリアサポーターを育成し、各キャンパスにおいて個別対応できる体制の足掛かりをつくること。
キャリアbaseではこれまでに、延べ190校・23,000名を超える生徒に対して、キャリア教育や就労支援を行ってきました。これまでの事業で培ってきたノウハウや事例も活かしながら、11月末までに20校でのサロン設置・延べ利用人数400名を目指し、事業を推進しています。
通信制高校に通う生徒の現状
キャリアbaseではこれまで、「学校と社会の架け橋に」をスローガンに掲げ、主に高校生を中心とした若者への個別就労支援、居場所支援とキャリア教育を行ってきました。その中でも特に、通信制高校との連携に重点を置き、「通信制高校における“進路未決定のままの卒業”をなくし、その先の社会的孤立が起きない社会をつくること」を目指して日々活動を行っています。
・増え続ける通信制高校の生徒
加速する少子化が公立高校の定員割れを常態化させ統廃合が進む一方で、通信制高校の生徒数は増え続け、2023年度には26万人を超えました。2003年の構造改革特区で、株式会社による学校運営が認められたことで私立校が急増したこともあり、通信制高校の数は289校と、2000年から2.5倍に増加しました。
学校数・生徒数が増え続ける中で、通信制高校では約7.6万人の卒業生の内、3割にあたる2.4万人以上が“進路未決定のまま”卒業していくと言われています。通信制に通う生徒の7割は不登校を経験しているとも言われ、他にもヤングケアラー、発達障がい、コミュニケーション障がい、母子父子家庭、虐待、ネグレクト、外国籍など、対人関係・家庭環境に複数の問題を抱えている中での就職活動には、さまざまな壁が立ちはだかります。
高校生の新卒採用を検討している企業は「明るさやコミュニケーション力」を重視する傾向が強く、「通信制高校の生徒」というだけで、企業側から敬遠されることは珍しくありません。加えて、通信制高校の生徒は「学校に通う」という機会が少なく、居住地も各地に点在しています。結果的に、学校や友達との関係性が強くならないまま卒業を迎えてしまうケースも多く、そのような状況下における「進路未決定のまま卒業」は、さらに社会的孤立を深めてしまう要因にもなっています。
「出口支援」における需要の高まり
近年、通信制高校の卒業をサポートするための学びの場である「サポート校」は急増し、学習・進学面における状況は改善してきています。一方で、進学以外の選択肢の「出口支援」に関しては、解決策が学校現場にないケースが多々あり、「進路未決定のままの卒業」という課題に繋がっています。特に就労・居場所に関するノウハウを有した民間のサポートは学校側からも必要とされ、学校・民間団体との連携による仕組み作りと、人材の育成が急務となっているのです。
校内キャリアサロン実施に向けた打ち合わせの様子
こうした背景の中で、キャリアbaseでは2025年2月まで『校内キャリアサロン』のプロジェクトを実施していきます。校内キャリアサロンを使用した生徒の中で希望者には、個別の就労支援も行います。必要に応じて、地域企業との接続や、面接対策などのトレーニングも行い、出口支援においても力を発揮できるよう事業を推進します。
7月から関東・関西圏を中心に通信制高校・キャンパスへのアプローチを開始し、現時点で既に8校でのキャリアサロン設置が決定しています。他にも、常駐するサロンスタッフが決まり次第サロンを設置したい、という学校も複数あり、学校現場からの需要の高さがうかがえます。
キャリアサポーターの募集・育成を強化
キャリアbaseでは、高校現場での活動参画を希望するキャリアサポーター(キャリアコンサルタントやカウンセラー、公認心理師、臨床心理士などの有資格者)を募り、学校側とも面談を重ねながら、各キャンパスに常駐するキャリアサポーターのマッチングを進めています。
また、校内キャリアサロンに常駐するキャリアサポーターには、通信制高校に通う生徒のバックグラウンドや、高校生の就職活動に対する理解が求められるため、本領域におけるキャリアコンサルティングスキルの向上に向けた講習も、継続的に実施していきます。
2024年8月29日(木)には、1級キャリアコンサルティング技能士の福島雅史氏を講師としてお招きし、『通信制高校で活動する、キャリアサポーター育成講習』を開催する予定です。
本講習は2024年8月~2025年1月にかけて行う全6回のプログラムとなり、通信制高校での支援活動において活躍できる人材を育成していくことを目的としています。校内キャリアサロンのプロジェクトを中心に、高校生への支援を担うキャリアサポーターや支援活動に関わる人材の、対人支援におけるコミュニケーションスキルやキャリアコンサルティングスキル向上を目指していきます。
[通信制高校で活動する、キャリアサポーター育成講習]概要
- 日程:【第1回】8月29日(木)12:00~15:00(※以降、9月~2025年1月まで月に1回ずつ開催)
- 講師:1級キャリアコンサルティング技能士 福島雅史 氏
- 場所:オンライン開催(Zoom)
- 参加費:無料
- 定員:20名
- 対象:
- - キャリアコンサルタントとして、高校生の個別伴走支援に携わってみたいと思っている方
- - 通信制高校の生徒に向けた、キャリア支援のスキルを身につけたいと思っている方 等
- 研修内容:
- - 支援者の定義と原理原則、傾聴の基礎
- - キャリアコンサルタント行動原則、傾聴技法の基礎
- - 傾聴技法の実践、組織キャリアの基礎 など
※基本ライン(国家資格キャリアコンサルタント)の復習、並びに、熟練レベル(キャリアコンサルティング技能士2級)の予習をベースとして、カリキュラムを構成していきます。
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このように、通信制高校現場との連携、キャリアサポーターの募集・育成を並行して進めていきながら、民間と学校との共創支援の成功モデル構築に向け、事業を推進していきます。
校内キャリアサロンの設置を検討したい、もしくは、校内キャリアサロンの活動に参画してみたい、という方は、キャリアbaseのホームページよりお問い合わせください。
問い合わせ
特定非営利活動法人キャリアbase
NPO法人キャリアbaseは、通信制高校に通う高校生を中心に、社会的自立をサポートする活動として「キャリア教育・個別就労支援・居場所支援」を行うNPO団体です。
2021年から「学校と社会の架け橋に」をスローガンに掲げ活動を開始し、これまでに、のべ23,000名を超える高校生・教職員へのキャリア教育と、累計200名を超える生徒への個別就労支援を実施してきました。
【団体概要】
団体名:特定非営利活動法人キャリアbase
所在地:千葉県柏市松葉町2-15-13
代表理事:草場 勇介
設立:2021年11月
ホームページ:https://career-base.jp/