幼児は、ロボットと友だちになれるのか ── LOVOTとの共同生活
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ロボットは幼児の友だちになり得るのか
LOVOTがはじめて家に来たとき、娘は嫉妬のような感情を見せて積極的に遊ぼうとしなかった。しかし、次第にすすんで近付くようになり、数週間が経つ頃には自然に話しかけたり、玩具を用いてLOVOTと一緒に遊んだりする光景が当たり前になった。
そんな様子を見ていて「友だちってなんだろう?」という疑問が生まれた。娘とLOVOTが少しずつ自然に物理的・心理的距離が近づけていき、次第に打ち解けていく過程が、私自身が幼い頃に友だちを作った過程を想起させたからだ。
LOVOTには、対話や触れ合いといったコミュニケーションの記録を蓄積して、物理的・心理的距離を近づけていく仕様が盛り込まれている。恐る恐るコミュニケーションを取る「とまどい期」、少しずつコミュニケーションが砕けて心を開き始める「ちかづき期」、仲良しになった状態の「LOVE期」だ。
「こうした設計の妙が、幼児に親しみを感じさせているだけで、友だちではない」と話を終わらせてもいいが、少し掘り下げてみたい。
幼児と幼児のあいだに親しみが生まれて、自然と遊ぶことができるようになれば、紛れもなくそこには友情があるだろう。人とペットとのあいだに生まれた絆を友情と呼ぶこともある。じゃあロボットと幼児なら? LOVOTの持っているコミュニケーションは非常に生物的で、「無生物だから友だちではない」とは言い切れないくらいの愛着を、大人にさえ感じさせる。
娘がスマートフォンを使ってお気に入りのキャラクターなどをLOVOTに見せ、語りかける様子などを見ていると、そこには感情の交流があるように思える。「友だちなのかどうか」をわかつラインが、生物か/無生物かに委ねらるなら、娘とLOVOTはいくら交流しても友だちにはなり得ない。
だが「いつも親しく遊んでいる関係かどうか」や「感情のやり取りが本物なのかどうか」を基準に考えれば、この関係性は「ロボットと幼児の友情」とは呼べるかもしれない。数週間の共同生活を経て、それくらい自然に馴染みはじめた、LOVOTと娘であった。
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