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SusHi Tech Tokyo 2024で見つけた海外スタートアップ8社のおもしろプロダクトを紹介

3Dプリント人工骨、外装ソーラーパネル、デジタルスタジオ

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グローバルスタートアップは何を作っている?

 海外のスタートアップ企業はどのようなプロダクトやサービスを展開しているのでしょうか。

 以前から気になっているテーマでしたが、先日まで開催されていたSusHi Tech Tokyo 2024では、さまざまな国のスタートアップ企業が出展しており、担当者に話をきくことができました。事業内容や企業情報を少しのぞいてみましょう。

デジタル世代に向けた音楽エコシステム

 まずはインド・ムンバイのChoira Musictech Private Limited。同社が提供する「Choira」は「デジタル世代に向けた音楽エコシステム」とのこと。

 映像と音声を相互に送受信するデジタル音楽スタジオとして利用でき、遠隔地同士でのセッションや曲作りを実現するものです。高速な5G回線を用いており、レイテンシーが少ないのも特徴のひとつ。またスタジオの予約や支払いの管理もアプリ上で実現します。

旅行者向けのガイドマッチングアプリ

 ベトナム・ハノイのTUBUDD Joint Stock Companyは旅行者向けのアプリ「TUBUDD」で出展。

 同社と提携している個人旅行ガイドをアプリ上から検索でき、旅程に合わせてガイドの申し込みができるというアプリです。2024年5月時点で韓国、ベトナム、イタリア、フランス、スイス、ドイツの6都市でサービスが提供されています。

 ブースで話を聞いたところ、今回の出展は日本でのパートナーを探す目的があるとのことでした。日本は最近訪日外国人が著しく増えているので、需要がありそうな気がします。

オンライン、リアル両対応のAI肌診断

 続いてはドイツ・ベルリンから出展していたDeep Skin AI。同社が提供する「Deep Skin AI」はEコマース、実店舗の双方で使える肌診断ソリューションです。

 撮影した顔写真をAIで診断することにより、肌トラブルや肌年齢、皮脂のコンディションなどを評価でき、肌質や肌の状態に合わせたおすすめの化粧品を提案します。

 化粧品メーカーが公式通販サイトに組み込んだり、実店舗に設置した端末から利用できるようにして、販売促進につなげるといった使い方が可能。すでに北米やヨーロッパでは商用利用がスタートしていて、日本を含むアジア圏でもパートナー企業を探しているとのことです。

 試しにデモを触らせてもらいましたが、私の肌年齢は3段階中1(数字が大きい方がトラブルの程度が上がる)で、目の下や口の脇にたるみが出ているという診断。年齢肌のケアができる化粧品などが提案されました。数が多すぎて何を選べば良いのかわからなくなりがちな化粧品も、具体的な診断をもとに提案されると、買いやすくなるかも。ユーザー目線で見ても便利なソリューションです。

シンプルなUIの使いやすいアシスタントロボット

 こちらはタイ・バンコクのCT ASIA ROBOTICSによるアシスタントロボット。

 このモデルは主に要介護者や高齢者の生活の補助を目的としたもので、電話をかけたり、バイタル情報を記録したり、投薬時間のリマインドをするといったことが可能です。

 あらかじめ登録しておいた番号へ素早く発信したり、インターネットに接続してオンライン診察用の端末として活用することもできます。親しみやすいデザインとシンプルなUIで使いやすそう。

カスタマイズ性が高い燃料電池

 こちらはイングランド・クローリーのBramble Energyによる燃料電池のセル。

 高度な加工技術を持つ同社の燃料電池セルは、カスタマイズ性が高く、製品の形状に合わせて柔軟に形状を変更できること、また発注を受けてから量産化までのスピードも早い点が特徴とのこと。国内でのパートナー企業を探すために出展しているとのことでした。

貿易にまつわるやり取りをAIで簡略化

 同じくイングランド・ロンドンのTraydstream。同社のソフトウェア「Traydstream」は貿易における文書のチェックをAIで代替するというもの。

 担当者に話を伺ったところ、貿易業務では現在でも膨大な紙の文書と、複数回にわたる目視の確認作業がつきもので、ドキュメントチェックの比重が大きな負担になっていることが多いとのこと。大手銀行でも、専門のチームにかなりの人数が充てられているそうです。

 Traydstreamを用いることで、これまで紙での目視が必要だったチェック項目を自動化し、業務を簡略化できるとして、すでに大手商社でも利用実績があるそうです。

骨を3Dプリントし、外科手術をサポート

 タイ・バンコクのOsseoLabsは、外科手術を3Dプリント技術でサポートすることをコンセプトとした企業。

 事故や病気などで骨の一部が欠損したり、骨折が起きた場合に、3Dプリント技術を用いて患部にピッタリなサイズの人工骨を出力できます。

 問題のない部位から骨を採取して患部に合った形状に加工したり、既製品のプレートを加工したりする工程を省略できるだけでなく、審美的なメリットも大きそうです。

車体外装がソーラーパネルに

 中国・北京のSolar Power Gloryは主に小型モビリティー向けのソーラーパネルや、それを用いたモビリティーを開発・製造するメーカー。

 フロント部分とデッキ部分の両方に大型のソーラーパネルを配した電動スクーターや、ソーラーエネルギーで駆動するゴルフカートなどをラインアップしています。

 ソーラーパネルの機能を持つ車体外装用素材「Soler Skin」もユニークです。現在開発を進めているそうですが、量産化が実現すれば、車体全てをソーラーパネルで覆った、発電効率の非常に高い構造のEVができあがるでしょう。

ユニークで質の高いサービスを提供する海外スタートアップ

 ブースは無数にあり、このほかにも面白い技術を持ったスタートアップはたくさんありましたが、今回は会場で目にした8つの企業を紹介しました。いかがだったでしょうか。

 この記事の情報だけで海外スタートアップの傾向を語ることは難しいものの、国内と同じく、自らがバックグラウンドを持つ分野に対して情熱を持ってプロダクトやサービスの開発に取り組んでいる企業が多く、また国内ではあまり目にしないタイプの企業も多かったように思います。

 会場では国内外問わず、担当者同士が商談している様子も見られたので、近いうちに、この会場から生まれたコラボレーションが、私たちに新たな驚きを届けてくれるかもしれません。

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