共創と宇宙 北九州市がスタートアップと描く未来
北九州市発の大規模スタートアップイベント「WORK AND ROLE 2024」レポート
GAP-K(グローバルアクセラレーションプログラム)
最初のスタートアップセッションは、GAP-K(グローバルアクセラレーションプログラム)に参加する企業によってピッチが行なわれた。ピッチの前には、グローバルアクセラレーションプログラム実行委員会の会長で、株式会社安川電機 特別顧問の津田純嗣氏より挨拶があった。
津田氏は、本プログラムでは令和2年度の開始から合計16社の支援を行なってきたこと、今年度採用となった4社は伴走支援を受けながら新技術の開発や事業成長に取り組んできたことなどを紹介。また、今回のイベントは単なる成果報告にとどまらず、チャレンジすることの意義を確認する場でもあるとイベント全体への期待を述べ、挨拶を締めくくった。
株式会社ミラリンク
株式会社ミラリンクは、「金属加工を依頼する発注者」と、「加工を請け負える受注者」をつなぐ、BtoBマッチングプラットフォーム「めたまっち」を運営する。
代表取締役の佐取直拓氏は、製造業の就業者数が20年間で157万人減少しているとし、検図のDXによりノウハウの継承や生産性向上のため、脱属人化を目指す。
株式会社ライトライト
株式会社ライトライトは、事業を譲りたい経営者と、事業を譲り受けたい候補者をマッチングする事業承継マッチングプラットフォーム「relay(リレイ)」を運営する。
代表取締役の齋藤隆太氏は、経営者の高齢化により、後継者がいないことでの休廃業が進んでいる現状を指摘。単なる事業承継ではなく、事業のリノベーションで地方創生の起爆剤としたいとしている。
株式会社Piezo Sonic
株式会社Piezo Sonicは、月面探査ロボット(ローバー)の開発に携わった経験を生かし、待機電力ゼロで姿勢維持ができる超音波モーター「ピエゾソニックモータ」の開発と、その高トルク省電力を活用した不整地走行可能なロボットの開発を行う。
代表取締役の多田興平氏は、モーターとロボティクスによって怪我や病気になっても楽しめる生活ができる社会を目指すと開発のビジョンを示す。北九州市には実証実験の検証先や、難加工部品の加工協力先の紹介などで支援を得たという。実証実験を経て量産化の暁には再び宇宙を目指したいと意欲が示された。
SoundEye
SoundEyeは独自の技術でモニタリング製品を開発、販売するシンガポール発スタートアップ。代表取締役でCEOの Yeow Kee Tan氏と、日本市場でのアドバイザーとして活動してきた川田氏が登壇。日本法人設立に際して、北九州市に拠点を構えるという。
日本の高齢化率は約29%となり今後も上昇することが予想される中、介護施設の負荷軽減が求められる。数ある見守りテクノロジーの中でも、音声技術とLiDARセンサーによる画像認証機能は高齢者の危機や助けを求める声を正確にキャッチアップでき、北九州市で行われた実証実験でも評価が高かったという。今後は、機器販売だけでなくヘルスケア部門でのデータ解析や未来予測などの技術提供へと発展させたいとした。
4社のピッチ後の講評において、同プログラム実行委員会会長の津田氏は各社の技術やソリューションを評価。今後の事業展開を応援しつつ、「北九州市がチャレンジャーに対して優しいということがおわかりいただけたのではないか」と締めくくった。