瀬戸内を盛り上げるアトツギベンチャー、スタートアップイベントに500人集結
瀬戸内エリア最大級のスタートアップ×アトツギベンチャーのカンファレンス「BLAST SETOUCHI 2023 in 岡山」レポート
VRゲームを軸にしたIPビジネスを展開
株式会社Ginoは、VRゲームを開発するスタートアップ。主要スタッフに元カプコンの逆転裁判シリーズ開発メンバーやドラゴンクエストVRのエンジニアらが参加しているのが強みだ。VRゲームの特徴である直感的な操作と没入感を活かし、第1作として逆転裁判×VRポーカーを開発中で2024年後半のリリースを予定している。ビジネスモデルは、Meta、PICO、ソニーの各プラットフォーム向けのコンテンツ販売と、タイトルやキャラクターのIPビジネスの2つを想定。現状はVRユーザーが少ないため、当初は松竹と共同でアニメを制作し、グッズや映画、スマホゲームへの展開を狙っていくとのこと。
市内の町工場をつなぎ1つの大きな縫製工場にする「LOCAL Connect Factory」
株式会社笏本縫製はネクタイを縫製している岡山県の町工場だ。国内で売られている日本製の服の割合は1990年の50%から30年で1.5%まで減少し、国内の縫製工場は次々と倒産している。家業の後を継いだ代表取締役の笏本 達宏氏は、2015年に自社ブランド「SHAKUNONÉ」を立ち上げ、総理大臣や米国大統領への贈答品にも選ばれている。現在は経営が黒字化、売上の70%を自社ブランドが占めているそうだ。地域の縫製工場も存続させるため、町工場をつなぎ1つの大きな縫製工場にする「LOCAL Connect Factory」を設立。第1弾として「つやまスーツ」を生産。津山市内の企業と連携して一貫生産を行うことで、スピード感のある企画と品質、納期の安定が期待できる。また分業や海外の外注をなくして地域で完結することで雇用が生まれ、技術の継承にもなる。さらには、町の産業として観光資源にもなる。初年度の売上は2000万円を想定。店舗販売は行わず、年6回のイベントで受注することで計画的に生産していく方針だ。
初心者でも牡蠣養殖できる「スマート牡蠣養殖システム」を開発
株式会社リブルは、「いつでも・誰でも・どんな海でも」持続的な養殖ができる技術の普及に取り組む徳島県の牡蠣養殖スタートアップ。牡蠣は世界中のどこでも養殖でき、餌代が不要で利益率が高いが、既存の牡蠣養殖は勘や経験に頼っており、歩留まりが低く、生産が不安定なのが課題だった。同社の養殖手法は、人口種苗の利用、カゴ/バスケット養殖での育成管理、環境センシングを活用した育成の最適化の導入により、安定供給で高効率、高歩留まりを実現する。さらに、未経験者でも適切な育成管理ができるように「スマート牡蠣養殖システム」を開発。環境や育成データの解析機能のほか、最適作業のレコメンド機能も備えている。現在、官民事業によりスマート養殖システムを香川県東かがわ市、愛媛県、愛知県の3カ所に導入しており、今後は全国へと展開していく計画だ。
膜材でつくる耐震性の高い天井
株式会社マクライフは、テントの製造会社からスタートした膜材天井メーカー。一般的な天井は吊り下げ型のため、地震発生時には吊り材ごと天井が落下する恐れがある。これまでの解決策としては、吊り材を増やして補強するか、天井をなくしてむき出しにするか、の2択だった。同社が第3の選択肢として提案するのが、吊り材を使わずに壁から天井を張るMAKUTENだ。MAKUTENは、1枚のファイバーシートを使用し、テントのように壁に取り付けた金具で張り上げて設置する。安全性が高く、取り付けも容易で公共施設などで導入されている。今後はPR活動に力を入れ、全国へと展開していく計画だ。