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最新パーツ性能チェック 第429回

Core i7-14700Kのゲーム性能は前世代i9相当に!Raptor Lake-S Refreshをゲーム10本で検証

2023年10月31日 19時30分更新

文● 加藤勝明(KTU) 編集● ジサトラユージ/ASCII

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Intel Application Performance Optimizerで
22%も伸びた「Metro Exodus」

 最後に第14世代のみで利用可能なAPOの効果を「Metro Exodus」で検証しておこう。APOの利用条件に関しては前編で触れたが、BIOSで「Intel Dynamic Tuning Technology」(DTT)を有効化し、Windows上でもDTTのドライバーを導入するという作業が必要になる。APOはゲームの実行ファイル名がホワイトリストに入っている場合にのみ動作し、ゲームの処理をPコアに集中させ、かつSMT(Hyper-Threading)を無効時のような状況(極力論理コアを使わない)にする。

 ここでのテストはCore i9-14900Kのみを使用し、APO有効時と無効時のフレームレートのみを比較する。画質は最低、VRS(Variable Rate Shading)はx1設定とし、ゲーム同梱のベンチマークアプリ実行時のフレームレートを計測した。

APO無効時のCPU負荷:APOが効いてない状態(デフォルト)では、ゲームの負荷がP/Eコアを問わず平均的にかかっている(前編より再掲)

APO有効時のCPU負荷:APOが効いている状態では、Eコアの負荷がほぼゼロになり、かつPコアの負荷が物理(または論理)コア側に極端に偏る

Metro Exodus:1920×1080ドット時のフレームレート

 インテルの宣伝通り、APOを効かせることでフレームレートは約22%も向上、さらに最低フレームレートも約9%底上げされた。PコアとEコアの使い分けに関して、インテルは「Intel Thread Director」(ITD)という専用回路を設けてインテリジェントに行うという戦略を採用したが、ここで検証したMetro Exodusのように、プログラムの書き方によっては使い分けが上手くいかないゲームもある。

 そういう場合にソフト面からアプローチすることで理想的な状況に持っていく、というAPOは非常に有用である。今後APO対応ゲームのリストがどの程度のスピードで増えていくか、インテルの頑張りに期待したい。

Metro Exodus:ベンチマーク時に観測されたCPUおよびシステム全体の消費電力(平均)と、各々10Wあたりのワットパフォーマンス

 CPUの消費電力はAPOを有効にすると減ったが、これはEコアの負荷がほぼゼロになり、Pコアのみの運用に切り替わったため、と考えられる。システム全体の消費電力が増えているのは、今回たびたび解説したとおりGPUの仕事量増加に連動しているからである。

まとめ:ゲームキングは奪還できなかったが……

 以上でゲーム系の検証は終了だ。全体としてRyzen 7 7800X3Dの強さを再確認してしまった感もあるが、StarfieldやThe Riftbreakerのようにインテル勢、特に第14世代が強いシーンも観測できた。

 前回はCore i7-13700Kに対するCore i7-14700Kのパワーアップが目立っていたが、ゲームではフレームレートの伸びは5~6fps程度にとどまっており、前編ほどの驚きはない。Overwatch 2のように15fps程度伸びたゲームもあるが、今回試した多くのゲームにおいてはCore i7-14700Kが絶対的に強い! と断言できるシーンはなかった。

 ただ第14世代はAPOという切り札がある。Metro Exodusの検証であったように、APOがゲームにおけるCPUコアの振り分けを最適化してくれるのであれば、第13世代でなく第14世代を指名買いする意味は出てくるだろう。今後APO対応ゲームが増えてくれる&自分の遊ぶゲームがAPOで改善することに賭けて第14世代を買うのはアリかもしれない。

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