稼働中のCPUの消費電力を測っても意味がないと急にインテルが主張
つまりMeteor Lakeは消費電力が大きい可能性大?
インテルが主張したのは、「Performance per Watt」(1ワットあたりの性能)そのものは問題ではない、という点だ。
上の画像がそれだが、まず従来のPerf/Wattという指標は左上での「Benchmark Power」をRun Timeの間だけ測定してそこから算出しているとする。これはPDP(Power Delay Product)として使われてきた数字の逆数として計算できるが、このPDPの算出がそもそも容易ではない。
左下はP-CoreとE-Core、それぞれの動作周波数とその際の電圧から、いわゆるPerformance/Wattを算出したものであるが、「このグラフのどこでそれぞれのコアが稼働しているか」が明確ではない。この状況でPDPを算出する場合、どこの数字を使うべきか? である。
左下はSPEC CPUでの性能を基準にしているが、コンテンツ制作の場合の性能と消費エネルギーを示したのが右下のグラフだ。大きな丸はそれぞれの初期値である。この初期値を利用して算出することに意味があるのか? という問いかけである。
インテルの主張は、「パフォーマンスはユーザーの要求にどれだけ応えられるかの指標であり、一方で消費電力(エネルギー消費量)は1日を通しての数字を使うべきであり、これを同時に計算すべきではない」というものである。
実際、筆者なども消費電力測定時は電源状態をフルにして、DVFSが動かないようにして測定するので、これが現実に合っていないと言われれば多分にそういう面は存在する。
しかし、これまでインテルがそうしたことを言わなかったのに今になって主張をするのは、Meteor Lakeはフル稼働時にけっこう消費電力が大きくなる(Raptor Lake同様に性能を確保するため消費電力を大きく設定している)のではないか? という疑問が生じる。
ちなみにこの主張の傍証とされるのが、TDPのカタログ値と実際の平均消費電力の比較である。
要するに「TDPの数字ほど消費電力は多くない」らしい。それは当たり前で、終日重い処理でもしていない限りは30%未満に収まるのも不思議ではない。だからといって「稼働中のCPUの消費電力を測っても意味がない」というのはさすがに無理があると思うのだが、いかがだろう?

この連載の記事
-
第852回
PC
Google最新TPU「Ironwood」は前世代比4.7倍の性能向上かつ160Wの低消費電力で圧倒的省エネを実現 -
第851回
PC
Instinct MI400/MI500登場でAI/HPC向けGPUはどう変わる? CoWoS-L採用の詳細も判明 AMD GPUロードマップ -
第850回
デジタル
Zen 6+Zen 6c、そしてZen 7へ! EPYCは256コアへ向かう AMD CPUロードマップ -
第849回
PC
d-MatrixのAIプロセッサーCorsairはNVIDIA GB200に匹敵する性能を600Wの消費電力で実現 -
第848回
PC
消えたTofinoの残響 Intel IPU E2200がつなぐイーサネットの未来 -
第847回
PC
国産プロセッサーのPEZY-SC4sが消費電力わずか212Wで高効率99.2%を記録! 次世代省電力チップの決定版に王手 -
第846回
PC
Eコア288基の次世代Xeon「Clearwater Forest」に見る効率設計の極意 インテル CPUロードマップ -
第845回
PC
最大256MB共有キャッシュ対応で大規模処理も快適! Cuzcoが実現する高性能・拡張自在なRISC-Vプロセッサーの秘密 -
第844回
PC
耐量子暗号対応でセキュリティ強化! IBMのPower11が叶えた高信頼性と高速AI推論 -
第843回
PC
NVIDIAとインテルの協業発表によりGB10のCPUをx86に置き換えた新世代AIチップが登場する? -
第842回
PC
双方向8Tbps伝送の次世代光インターコネクト! AyarLabsのTeraPHYがもたらす革新的光通信の詳細 - この連載の一覧へ














