8月21日から25日にかけて、マレーシアでIntel TECH tour.MYが開催された。5日間と長いのは参加人数が多すぎて一度に回せないからのようで、APJ(Asia Pacific Japan)組は前半の21~23日、アメリカ/ヨーロッパ組は23~25日にそれぞれツアーに行っている。
このツアーにはジサトラユージ氏も参加しており、詳細なレポートはユージ氏の方からあがることを期待している。ではお前はなにをレポートするつもりだ? という話だが、この中で説明があったMeteor Lake関連の話を説明したい。
余談だが、次回もMeteor Lakeの話になる。というのは日本時間で8月28日からスタートするHot Chips 2023でこのMeteor Lakeの詳細が公開されることがすでに予告されているためである。こちらの内容は次回お届けしたい。ただその前に、なぜマレーシアなのかを簡単に説明しよう。
マレーシアは2つの工程を一緒に行なえる世界で唯一の拠点
インテルは製造拠点としてアメリカだけでなくヨーロッパやアジアにも複数の工場を抱えているのはご存じのとおり。
ここで水色のWafer Fabと呼ばれるのが前工程、つまりウェハーを製造する拠点である。そしてオレンジのAssembly/Testingというのが後工程、要するにウェハーを切り出してチップにしたうえでパッケージに載せ、その後テストを行なって製品に仕立て上げる工程である。
微妙なのがAdvanced Packagingと呼ばれる緑色の拠点で、これは現状前工程と後工程のどちらに分類するのか業界的にも分類が怪しい。「広義」のAdvanced Packagingはシリコン・インターポーザーや3D積層、あとチップレットなども含まれており、これを前工程の企業(TSMCやSamsungなど)が手掛ける場合もあれば、後工程の企業(ASEやAmkorなど)が手掛ける場合もあるからだ。
ではインテルでの定義は? というと、FoverosがこのAdvanced Packagingに相当する。以前連載722回で紹介したFCBGA/FCLGAやEMIBはここには含まれない。
さてこのFoverosだが、そもそもの開発はオレゴンにあるD1である。ただここはパッケージ技術の開発拠点であって、量産できる数は非常に少ない。現状これを担っているのはニューメキシコとマレーシアだ。
そのマレーシアはAssembly/Testも担当しており、要するに世界で唯一Advanced Packagingと後工程の両方を一緒にできる拠点となっている。
それもあって、Meteor LakeやPonte Vecchioなどの製造も担当しており、今回のMeteor Lakeを絡めて同社の後工程(インテルの分類的にはAdvanced Packagingも後工程に含まれるらしい)を紹介するのにちょうど良かった、ということらしい。
ちなみにAdvanced Packagingを含む後工程の流れは以下になる。
(A) Foverosのタイルを構築する
(B) Foverosのタイルを含むウェハーを薄く削った上で切断し、その後分類する
(C) 分類したダイをパッケージに載せる
(D) テストをして、梱包・出荷
実を言うとマレーシアの拠点はペナン島に2ヵ所、本土のクリム地区に1ヵ所あり、それらが連携している格好である。Pelicanはペナン島に、Falconは本土のクリム地区にそれぞれ建設中である。それぞれの拠点でどんな形で作業しているのか、という話はユージ氏の記事をお待ちいただきたい。
この連載の記事
-
第801回
PC
光インターコネクトで信号伝送の高速化を狙うインテル Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第800回
PC
プロセッサーから直接イーサネット信号を出せるBroadcomのCPO Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第799回
PC
世界最速に躍り出たスパコンEl Capitanはどうやって性能を改善したのか? 周波数は変えずにあるものを落とす -
第798回
PC
日本が開発したAIプロセッサーMN-Core 2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第797回
PC
わずか2年で完成させた韓国FuriosaAIのAIアクセラレーターRNGD Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第796回
PC
Metaが自社開発したAI推論用アクセラレーターMTIA v2 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第795回
デジタル
AI性能を引き上げるInstinct MI325XとPensando Salina 400/Pollara 400がサーバーにインパクトをもたらす AMD CPUロードマップ -
第794回
デジタル
第5世代EPYCはMRDIMMをサポートしている? AMD CPUロードマップ -
第793回
PC
5nmの限界に早くもたどり着いてしまったWSE-3 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第792回
PC
大型言語モデルに全振りしたSambaNovaのAIプロセッサーSC40L Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU -
第791回
PC
妙に性能のバランスが悪いマイクロソフトのAI特化型チップMaia 100 Hot Chips 2024で注目を浴びたオモシロCPU - この連載の一覧へ