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ポストコロナで海外カンファレンスはリアルイベントが再熱 識者が教える傾向と対策

JID2023セッションレポート「最新版、海外カンファレンスの活用術」

連載
JAPAN INNOVATION DAY 2023

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スタートアップが海外展示会に参加して得られる成果と活用のポイント

 池田氏によると、メディアとしての立場から、最近の海外展示会での出展傾向を紹介。SaaSやリモートツールなどコロナ禍で生まれたサービスや、最近のトレンドとしてWeb3系のスタートアップの参加が増えてきている。「Web3系のスタートアップは、ネットワーキングを重視しているので、リアルのカンファレンスが再開されているのは、Web3スタートアップにとっては非常にいい状況」だそう。

 また2022年11月には、台湾のメディアが主催するスタートアップイベント「Meet Taipei 2022」には、日本のメディアとしてTHE BRIDGEが日本のスタートアップ数社と出展。現台湾政権の経済戦略は、以前の東南アジアから日本市場にターゲットを移しているという。日本は市場は成熟度が高く、事業の成長が望めるとのことで、台湾だけでなく、東南アジアのスタートアップにとって日本市場への注目度は高くなっているそうだ。

 澤田氏は、スタートアップの支援者側の視点から、CES 2023の活用事例を紹介した。参加した36社は個社ごとに目的は異なり、Web3を含めアプリ系は、ネットワークを広げるのが目的。IoTなどハードウェアスタートアップは、製品をブラッシュアップするため、あるいは製品の販売先を探すことが目的。ディープテック系は、技術のお披露目の場、とそれぞれの思惑があったようだ。共通するのは、ブースの訪問者と会話できる体制を整えられているかどうかで成果に差が出ること。例えば、その場で多国籍企業との実証事業やVCとの交渉が進んだり、PRに力を入れていたスタートアップがCES Innovation Awardの受賞やメディア露出など、事前の準備次第で大きな成果につながっている。

 西川氏は、海外VCとのネットワーキングと、現地の肌感をつかむのがいちばん求められる成果、と話す。ハイブリッド開催のイベントであれば、セッションはオンラインで視聴でき、出展スタートアップのリストは手に入るが、直接会って話をしなければ肌感覚はつかめない。

「事前に投資仮説や疑問点を整理して、出展しているスタートアップにぶつけてみると、より深いインサイトが得られます。ネットワーキングしながら我々の投資仮説をブラッシュアップさせてもらっている部分もあります」と、会話を引き出すための準備が重要と語った。

2023年度、注目の海外展示会

 池田氏は、今年度行ってみたい海外展示会として、2022年から始まったWeb Summit Rioと2023年7月に初開催されるSXSW Sydneyの2つを挙げた。Web Summit Rioは、ポルトガルのリスボンで毎年開催されているテクノロジーカンファレンスWeb Summitが2022年度からブラジルのリオ・デ・ジャネイロに進出したイベントだ。南米やオーストラリアもスタートアップ熱が高まっており、新しい市場の広がりに注目したい。

 澤田氏が注目しているイベントとして、米国TechCrunch主催のスタートアップイベントDisrupt、ドバイで開催されるGITEX North Star、フランスのViva Technologyの3つを紹介。「世界全体でスタートアップの資金調達が冷え込んでいるなか、日本のスタートアップは海外からの資金調達が増えてきているのは面白い傾向」と澤田氏。GITEX North Starは、スタートアップ部門の規模が拡大し、別会場で開催されるなど、中東でのスタートアップに対する盛り上がりを感じているそうだ。Viva Technologyは、パリオリンピックに向けてスポーツテックを大きく打ち出しており、東京オリンピックからのレガシーをどのようにつなげられるのか、日本としても注目しているとのこと。

 西川氏は、イベントを選ぶときの考え方として、「ひとつは規模感。大規模イベントは展示を見るのが主になるので業界トレンドを見るのに役立ちます。一方で、分野を絞っているイベントは、プロフェッショナルが集まるので深い情報がとれる。どちらも1つずつ参加するようにしています」とアドバイス。さらに地域別に、アジア、アフリカ、南米、欧州をカバーしていくように計画を立てていくそうだ。

 また、2022年度はヘルスケアの投資金額が世界的に冷え込んでいるなか、欧州では復活の兆しがあり、これまで米国がトップを走る分野であるが欧州企業も伸びてくるのでは、と推測。今期は欧州のテックイベントを多めに追いかけていきたい、とのこと。

 これから海外イベントへの出展や視察を検討している方はぜひこれらを参考に計画を立ててみては。

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