VRやメタバースもSteam Deckで楽しめる
Steam Deckが絶好調だった一方、伸びが見えなかったのが、SteamのVR関連です。Steam上でPCでVRゲームを遊ぶために必要なSteam VRを利用しているユーザー数の情報が公開されており、それらをまとめているサイトが存在します。2016年頃からクリスマス休暇時には、必ず前年比で伸びるという傾向を示していたのですが、2022年末は、初めて前年度割れしました。最大のピークだった2021年のみならず、2020年をも約10%下回るという結果が出ています。
要因としては2021年末に大きなヒットになったVRデバイスの「Meta Quest 2」が期待ほどには売れていないのではないかと推測しています。Quest 2はPCVRをストリーミングで利用できる「Quest Link」という機能があり、ハードが売れるとSteam VRでの利用者も増える傾向があります。昨年のヒット時には、Steam VRでのQuest 2利用者のシェア率も伸びていたのですが、今年は横ばいにとどまっています。
メタとしてはソフトのバンドルを通じたQuest 2の実質的な値下げはしていましたが、販売を牽引する大型タイトルの不足もあったこともあり、効果は限定的だったのかなと感じます。次世代機種「Meta Quest 3」の発売が今年の秋にアナウンスされているので購入がしにくい事情もあります。メタのVR戦略がどうなるか不透明なこともあり、ユーザーとしては購入しにくい部分があったのではないかと思います。
ちなみにSteam Deckの価格は最安値の64GBモデルが399米ドルで、実はメタの「Quest 2」と同じ価格です。Quest 2は昨年8月に100ドル値上げしたので並んでしまったんですよね。Steam Deckと比べると「高いな」という印象を持ってしまいます。Steamのユーザー数の調査でも、8月以降はシェアを落としており、値上げがあまり良い結果を生んでいないことが推察されます。
それと変な話ですが、Steam Deckは箱を開封して中に入っていたのが電源ケーブルと本体だけなんですね。使うときも起動して Steam のアカウントを認証するだけだったので初期設定がほぼ何もありません。最近では、「Meta Quest Pro」のときに手こずった経験があるように、VRデバイスばかり触っていると初期設定やキャリブレーションが面倒なことがもはや普通だったので、Steam Deckの製品としての完成度の高さを逆に再認識させられることになりました。
ちなみにSteam Deckでも、いくつかのアプリをインストールすることで、Steam VRモードを起動できるため、完全ではないもののVR系ソフトは結構動くと報告されています。デスクトップモードであればVR SNSの「VRChat」は問題なく動きます。
今後メタバースがどういう風に動いていくかということもあると思いますが、VRデバイスの普及に関係なく伸びていける2Dのメタバースもある程度市場シェアを取ってきていくと考えられますが、Steam Deckでメタバースが遊ばれるということも一般化していくのかもしれません。
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