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新清士の「メタバース・プレゼンス」 第16回

ゲームそのもののあり方を変えてしまった「Steam Deck」

2023年01月16日 09時00分更新

文● 新清士 編集●ASCII

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Steam Deckはメモリ換装可能、Linux用アプリも動かせる

 Steam Deckはゲーム機としての基本機能だけでなく、PCゲームのカルチャーの要素が強いところもこれまでのゲーム機とは異質な印象を受けます。

 搭載されているOSは、Valveが開発したLinuxベースのOS「Steam OS」。そのOSの上にWindows用のソフトを動かすための専用レイヤーが載っていて、 SteamのゲームがWindowsなしでも動作するという基本構成になっています。「それって使いやすいのかな?」と思っていたんですが、実際にはほぼノンストレスで 使えています。

 Steam OS用に最適化されているゲームかどうか、もしくは最適化されていなくとも動作するかどうかが各ソフトには表記されているのですが、2012年にリリースされて、現在でもValveの看板タイトルとして現在も多くのユーザーに遊ばれ続けている「カウンターストライク:グローバルオフェンシブ」もまったく問題ありませんでした。

 Steam Workshopというユーザーが作成したModをインストールする仕組みも搭載されており、対応ソフトのカスタマイズも簡単です。ユーザーは何も気にすることなく、PCで使用している環境をそのままSteam Deckに持ち込むことができます。

 Steam OSのデスクトップモードも搭載されており、そこでは数々のLinux用のアプリをダウンロードさせて動かすことができます。例えば、3DモデリングソフトのBlenderや、画像エディターソフトのGIMPSなども問題なく動作します。

Steam DeckにWindows 11をインストールして、仕事用PCとして使う

 面白いのはPCカルチャーなので「どうぞ好きに改造してください」という状態になっていること。Windowsのデュアルブートも「やりたい人はどうぞ」という感じです。

 分解しやすいハードのため、メモリ換装も簡単です。最も値段の安い64GBモデルを購入し、もっと容量の大きなSSDを換装するといったことも普通に行なわれています。また、USB-Cに拡張ドックを繋げれば外部に映像を出力できます。拡張ドックは一般にUSB-Cで接続できるものであれば大抵うまくいくようです。筆者は4000円ほどで販売されているものを使っています。

 さらにBluetoothに対応しているので、キーボード、マウス、コントローラーなど対応しているものは何でも繋げられます。

 実際に、512GBのmicroSDを購入してWindows 11をインストールし、そちらから起動できるようにもしてみました。導入方法を解説している動画を見ながら設定したところ、インストールのために必要な作業時間は1時間程度であっさりと起動できました。トータルな費用は3万円程度追加では必要にはなりますが。

 ただ、こうなると完全にミニPCです。当然ですが、Windowsのアプリは何でも普通にインストールできますし、Steam OSでは動作しないXbox Game Passのゲームも動作します。最近は実験気味にSteam Deckを持ち歩いてノートPC代わりに使えるかを試しているのですが、スマートフォンのテザリングと組み合わせて、Google Slideなどを使ってのプレゼンなどで普通に使えています。

筆者のSteam DeckをDockに接続し、Windows 11で立ち上げ、キーボード、マウス、4kモニターを接続して本原稿を修正している様子。

 Steam OSは2015年のSteam用専用ゲーミングPC「Steam Machine」のために開発されました。PCゲーム市場がWindowsの独占状態にあり、それらのくびきから離れたところにSteamを存在させたいということをValveは狙ったのです。しかし使い勝手も悪く、値段も高かったこともあって、Steam Machineは普及せず失敗に終わりました。しかしその後も、Steam OSの開発は続けられ、Steam Deckという形でついに成果を上げてきたと言えます。

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