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あのクルマに乗りたい! 話題のクルマ試乗レポ 第288回

2022年に乗ったクルマの中でベストバイはホンダの「FIT e:HEV RS」に決定!

2022年12月31日 15時00分更新

文● 栗原祥光(@yosh_kurihara) 編集●ASCII

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Honda/FIT e:HEV RS(234万6300円)

 今年も年末恒例「○○・オブ・ザ・イヤー」の季節がやってきました。そこで今年も「1年を通し取材したクルマの中で、もっともオススメできる1台」、名付けて「筆者的ベストバイ」を勝手ながら決めさせていただきました! 2年前は日産「キックス e-POWER」、昨年はHonda「VEZEL」。そして今年はHonda「FIT e:HEV RS」。初のコンパクトカー、2年連続Honda! ちなみに、RSはレーシングスポーツではなく、ロードセーリングの略です。

カー・オブ・ザ・イヤー受賞車も非常に迷った

 まず、ベストバイの定義からご説明しましょう。当方はベストバイを「誰が乗っても&買っても不満が少なく、お値打ち感のあるクルマ」と定義しました。具体的には300万円程度の軽自動車を含めたコンパクトカーとSUVを対象としています。スポーツカーのような趣味性の高いクルマは個人的には好きなのですが、日常の使い勝手において不満が出やすいため、対象から外しております。

日産/SAKURA

三菱/eKクロスEV

 ここからFIT e:HEV RSを選考した理由であったり、再度お借りしてジックリ試乗した印象をお伝えしたいのですが、その前にもう1台、最後の最後まで悩んだクルマをご紹介します。それは日産「SAKURA」と三菱の「eKクロスEV」。

日産/SAKURA

 日本初の軽EVである2台の兄弟車。軽自動車とは思えない静粛性とトルクフルな走り、なにより使い勝手の良さ、そして300万円を下回る価格(さらに助成金などを使えば最大100万円近く安くなる!)で、カー・オブ・ザ・イヤー受賞も納得です。そして、これをベストバイと言わずして何といおうか! なのですが、このEVは「自宅に車庫がある=充電設備が設置できる人」ならともかく、そうでない方にとっては、今でも「インフラの面で問題がある」と言わざるを得ません。

 特に都内では「駐車場にある急速充電機で充電して」と言われても「急速充電(約800円)のほかに、10分100円の駐車場代を払わんといかんのか!」と思うわけです。ついでに言うなら「10分100円も駐車場代を払わされているんだから、すべての駐車枠に急速充電機を設置しろ」とも。さらに、来年3月から電気代が大幅に上がりそうという2点から、軽EVは外させてもらいました。ですが、クルマとしては大変魅力的な1台であることには変わりありません。

乗り心地や使い勝手が別格だった「FIT e:HEV RS」

Honda/FIT e:HEV RS

 話をFIT e:HEV RSに戻しましょう。このクルマの最大の魅力はというと、ズバリ「居心地の良さと乗り心地の良さ、使い勝手の良さ」という3点に尽きます。これらはライバルを大きくしのぎます。

 まず居心地の良さについて。近年のHonda車は、気負わないカジュアルな室内空間のクルマが増えてきたように思います。FITはその代表的なクルマだったのですが、RSではそこに上質さをプラスした印象。エントリーグレードではハンドルがウレタン樹脂なのですが、RSグレードでは本革巻きへと変更。シートはファブリックだけれど、黄色のステッチでオシャレ感を演出するなど、「肩肘を張らないイイモノ感」の演出が実にうまいのです。これより高級な雰囲気で、という方には「LUXE」(リュクス)というグレードが用意されていますので、そちらを選ばれることをオススメします。

光の加減によっては、フロントガラスにダッシュボードの映り込みが発生する

 さらにFITの美質は広い視界にあります。これは、ほかのコンパクトカーでは太刀打ちできないほど。これが走っていて実にストレスが少ないのです。その一方で苦言を呈するなら、太陽の位置によっては、フロントガラスにダッシュボードが盛大に映り込むことがあります。これはライバルでも同様で、ひどい時には真っ白で見えなくなるほど。幸いなことにFITの場合はダッシュボードの形状がフラットなので、上に黒のスエード布を敷くなどで簡単に対応できると思います。もちろん純正アクセサリーがあれば文句ナシなのですが。

Joy耐参戦車両と同じカラーリングを施したFIT RS

 次に乗り心地の良さについて。RSグレードには専用のサスペンションが採用されています。開発陣は実際にFITをベースにモビリティリゾートもてぎ(旧・ツインリンクもてぎ)で開催される耐久レース「Joy耐」に出場しているそうで、そこでの知見をサスペンションセッティングに活かしているという話を聞いてはいたのですが、それは速さを求めた方向ではなく、「長時間乗っていても疲れない、運転していて楽しい」という方向性だったのです。

 RSという名であったり、レースで培ったという話を聞いて身をこわばらせたのですが、嘘偽りなく国産コンパクトカー屈指のデキの良さ! むしろすべてのFITをこの足をしない理由がわかりません。

Honda/FIT Modulo X

 サスペンションの話ついでに、以前ラインナップにあったFIT Modulo Xとの違いについても触れたいと思います。比較をするならFIT Modulo Xの方が高速寄りで、よりスポーティーといったところ。街中やワインディングは気持ちがよいものの、高速道路で80~100km/hの巡行をすると「ちょっと硬くないですか?」と感じました。ですが、速度域を上げて120km/hに至ると「これですよ!」となります。RSグレードはその80~100km/hあたりがちょうどよく、120km/hの速度域もいい感じなのです。

 ついでのついでにハンドリングについても触れましょう。エンジンパワーが違うので、平等な比較にはならないのですが、一言でいえば「Modulo Xの方がハンドルの切り増しなどの修整が少ない」傾向があります。さらにいえば目線の上下移動もそうです。これは空力によって車体が安定しているから。ですので、FIT e:HEV RSにModulo Xのエアロを付けたクルマが出れば言うことナシ! と思いましたが、高望みしすぎでしょうか。

 最後に使い勝手の良さについて。これは従来のFITから引き継いでいる部分です。まずサイズ感の良さやエクステリア周りについて。まず小回りがとても効きます! 最小回転半径は5.2mと数字的には大きく思えるのですが、実際に車庫入れすると、さすがに軽自動車並みとは言わないまでも「思ったより切れる」という印象を受けることでしょう。それは1695mmという車幅によるところも大きく、逆にいえば「車庫入れのしやすさは、最小回転半径だけでは語れない」というワケです。

 続いて1540mmという全高も絶妙なところ。立体駐車場もギリギリ入りながら、十分な室内空間を確保しているのです。最低地上高も135mmありますから、普通に乗って駐車場の輪留めにバンパーを擦ったりしないでしょう。

 普段使いで「使い勝手がイイ」を感じるのは収納でしょう。まず助手席ダッシュボードに小物入れを配置。これは薄型のティッシュボックスを入れるのにちょうどよいのですが、個人的には財布などを入れるのにいいなと思った次第。というのも、FIT e:HEV RSはセンターコンソール下の収納スペースが思ったよりも小さく、USB端子との兼ね合いから、そこはスマホ置き場になりがちだから。

 しかもこのUSB端子ですが、オプションでUSB PDの45W出力にも対応します。つまりノートPCの充電にも対応できてしまうのです。これはイイ!

 ちなみに新設されたひじ掛け部分は、2列目シートのUSB端子が近いことから、モバイルバッテリーの充電に好適でしょう。

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