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冨田勝所長に聞く。“ダメ元精神でベストを尽くす” 庄内文化と人語(じんかた=人生を語る)が育む鶴岡発起業のマインド

鶴岡発スタートアップの継続する力はどのように醸成されたのか

連載
研究開発型イノベーション創出のケーススタディ

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イノベーションにはダメ元精神が重要

―当初は想定していなかったとのことですが、やはりこうした事業創出を計画的に進めるのは難しいのでしょうか。

 普通の人は手堅く利益を出すようなビジネスを計画しますが、利益を予見できるようなビジネスは前例があるか、せいぜいその改良版。しかし、イノベーションにはダメ元精神がとても重要です。三振してもいいからベストを尽くせ、という雰囲気であれば、大谷翔平選手のようなスターが育つ。大谷選手がホームランを狙って三振してもブーイングせずに、みんな応援しますよね。これが日本人に足りないマインドです。空振り三振すると怒られるから、確実にバットに当てようと考えてショートゴロになってしまうんです。ベストを尽くして負けたとしても、ナイストライ、と拍手喝采してあげないと誰もホームランを狙わなくなってしまう。

 鶴岡でも、もし失敗したらどうなるか、という話は当然出ます。ベンチャーは100%うまくいくわけじゃないからベンチャーなのです。株式会社が倒産すると非常に残念だし、投資した人は大損するので申し訳ない。ただ、起業して技術開発してきた努力は無駄にはなりません。別の人が会社や特許を買い取り、続きをやってくれたら世の中には残るからです。意味のない失敗ではなく、少なくとも社会に貢献したことにはなる。そういう信念があるんです。

 仮に多くの人から馬鹿にされたとしても、前向きの失敗には意味があります。自分の人生を賭けて、社会にとって絶対に必要と思われることをここまでやった、けれども続きはほかの人にゆだねる、と思えばいいわけです。鶴岡発のスタートアップは、こうしたマインドを持っているのが、大きな違いかなと思います。

ヤマガタデザイン株式会社 https://www.yamagata-design.com/

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