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商標、特許、ビジネスモデルの権利化 起業家が知りたい知財の疑問を解決

特集
STARTUP×知財戦略

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「知財の疑問1000本ノック」のセッションでは、質問者として広島市のスタートアップ3社が登壇し、内田氏、石見氏が回答した。

 SKY SOCIAL株式会社 代表取締役の池田昌平氏からは、「特許侵害の判断基準について。内容の一部でも同じであれば侵害に当たるのか」質問。内田氏は、「特許権の権利範囲は、特許請求の範囲に書かれたものだけ。すべてを満たした場合に権利侵害になる。1つが違っていたら非侵害になります」と回答。そのほか、「特許出願時は非公開でないといけないが、国内で特許を取得した後に海外特許は取れるのか」、「国内特許の保護範囲について」といった質問に対して内田氏がそれぞれ回答した。

SKY SOCIAL株式会社 代表取締役 池田 昌平氏

スキマ時間で周辺のお店を見つけられるクーポンアプリ「みせとく!」を開発

 2社目の合同会社なぎさ会代表 中沖 泰三氏は、「海外特許を申請する方法とタイミング、費用を知りたい」と質問。内田氏は「方法は、パリ条約に基づく優先権主張出願(パリ条約ルート)とパリ条約に基づく国際優先権を主張したPCT出願の2通り。出願のタイミングは、日本での基礎出願から1年以内。費用は3カ国を超えるとPCT出願のほうが割安になると言われている。費用は代理人によって金額は変わるが1カ国100万円前後」と回答した。

合同会社なぎさ会代表 中沖 泰三氏

2021年に嚥下トレーニング器具の特許を取得し、2022年にはおしゃぶり型の嚥下トレーニング器具「キュアマウス」を開発。日本初の還元検証を取得している

 3社目は、Novel TaS/NPO法人広島こども食堂支援センターの和田 法子氏。1つ目の質問は「ビジネスモデルの権利化はできるのか」。内田氏は「ソフトウェアやハードウェアをうまく使って何かしらの技術的要素の部分を抽出すれば権利化は可能」と回答した。石見氏は「単純なアイデアでは難しい。発明の要素をどれだけ示すことができるかが勝負」とアドバイスした。

 2つ目の質問は「店舗の写真やビデオ映像をほかの店舗が使用した場合はどのように守ったらいい?」。内田氏は「写真自体は創作性がないと著作物にあたらず、店舗の写真などであれば著作権が成立しないことが多いとは思うが、著作権が成立する写真を別のサイトに載せる行為は著作権侵害になる」と答えた。

NovelTaS/NPO法人広島こども食堂支援センター 和田 法子氏

育児中に在宅で働けるチームでプログラマ育成など、育児女性が働きやすい環境づくりに取り組んでいる

 後半は、特許庁の大塚氏も参加し、事前に寄せられた質問に回答。

 1つ目は「サービスを立ち上げたとき、どのくらいのフェーズから知財に考えるべきか」。内田氏は「サービスを立ち上げる前に知財を検討すべき。最初に他社の知的財産権を侵害していないかを調査し、次に自らの技術の権利化を検討してほしい」と回答。石見氏は「サービスを構想する時点で知財戦略を織り込んでおかないと足元をすくわれるので気を付けてほしい」とコメントした。

 2つ目は「自社と相性のいい専門家と出会うには」。内田氏は「永遠の課題。信頼できる人から紹介してもらうのが一番だと思う」と回答。石見氏は「私はINPITでご紹介いただいた先生が非常によかった。最初から出会えるかはわからないので、いろいろな方に接してみるといい」と答えた。大塚氏からは「IP BASEに会員登録すると知財専門家の検索機能が利用できるのでぜひ活用してほしい」と補足した。

 そのほか「特許庁の相談窓口で特許以外にも相談できることはありますか」、「資金調達はどのくらいしやすくなりますか」、「オープンソース化する際の秘匿/特許化のプロセスを知りたい」、「開発者が発明を意識する社内の雰囲気を作るには」、「買収元企業から見た、スタートアップに求める要件」などの質問に対して、内田氏、石見氏、大塚氏が回答した。

 最後に、知財支援者からのリバースピッチとして、「INPIT広島県知財総合窓口」と「広島県よろず支援拠点」の支援内容が紹介された。

一般社団法人広島県発明協会 原田昌博氏

「INPIT広島県知財総合窓口」の支援内容を紹介

広島県よろず支援拠点 チーフコーディネーター 佐々木宏氏

広島県よろず支援拠点の支援事例を紹介

 イベントの模様は下記、YouTubeにて全編アーカイブ配信中です。

■タイムスケジュール再生リスト
開会挨拶
スタートアップ支援施策について
-大塚美咲氏 経済産業省 特許庁 スタートアップ支援班
ご講演
-内田誠氏 iCraft法律事務所 弁護士
ご講演
-石見一女氏 株式会社Be&Do 代表取締役/CEO
知財の疑問解決 Q&A1000本ノック
-SKY SOCIAL株式会社 代表取締役 池田 昌平氏
-合同会社なぎさ会代表 中沖 泰三氏
-NovelTaS/NPO法人広島こども食堂支援センター 和田 法子氏
-一般社団法人広島県発明協会 原田昌博氏
-広島県よろず支援拠点 チーフコーディネーター 佐々木宏氏

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