高校生・高専生のビジネスマインドを育む全国規模のビジネスプランコンテスト、ファイナリスト発表
「第10回高校生ビジネスプラン・グランプリ」ファイナリスト発表 記者発表会レポート【後編】
全国の高校生・高専生が、様々な社会課題の解決や、生活改善などを目的とした商品やサービスをビジネスプランとして競う「高校生ビジネスプラン・グランプリ」。2022年12月1日、日本政策金融公庫は「第10回 高校生ビジネスプラン・グランプリ」が記者発表会をオンラインで開催し、ファイナリスト10組を発表した。ファイナリストたちは2023年1月8日に行われる「最終審査会」でプレゼンテーションを披露し、グランプリが決する。
この記事では前編に続き、記者発表会の模様をレポートする。ファイナリストの高校生・高専生のビジネスプランの紹介を中心に、本グランプリへの参加がきっかけとなり現在起業家として活躍する卒業生のメッセージなどをお伝えしていく。(前編はこちら)
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最終審査会に進出するファイナリスト紹介 part2
――特徴あるビジネスプランを提案するファイナリストたち
まずはファイナリストのうち残る5組のビジネスプラン概要を紹介していこう。
>>ファイナリスト紹介の前編はこちら
早稲田大学高等学院(東京都)
通学や通勤電車の利用者が移動時間を有効活用し、利用する駅の区間で荷物を運ぶと対価が得られるアプリを考案した。
「ナガデリ」は「ながら」と「デリバリー(配送)」を略したもの。電車通勤・通学者が配送員となり、スマートフォンのアプリで今後の移動予定を入力すると、入力した情報をもとに、駅やコンビニなど人の往来が多い場所に設置されたロッカーのようなハブに、荷物が運輸会社から配送される。配送員はハブで荷物を受け取り、目的地の駅のハブまで配送すると、配送手数料が入金される仕組みになっている。スマホのみで配達員となり収入を得られる手軽さで、「参入障壁を低くすることによって、サービス利用者の流入を狙う」という。
福岡女学院高等学校(福岡県)
視覚障がい者がその特性を活かし、健常者の持つ悩みや思いに寄り添う個室カフェやオンラインでのコーチングサービスなどを提供する。
目の見える人とは違った考え方を持つという視覚障がい者が、「自由な発想」「聴く」「対話」という3つの特性を活かして、「企業向けコーチング」「個人向けコーチング」「リスニング」の3部門に分けてサービスを行う。担当する者は、約半年でコーチングまでの資格取得を目指す。カフェの店内は話しやすい落ち着いた雰囲気にし、オンライン相談にも対応するなど、ユーザーの使い勝手までを考えた配慮がされている。
青森県立三本木農業恵拓高等学校(青森県)
農業高校らしい視点で、農家に返却される廃棄ニンジンに着目したビジネスプラン。廃棄ニンジンと醤油粕を配合した飼料を活用し、機能性鶏卵「キャロットエッグ」の生産や加工品のサポートを行う飼料サービスを提案する。
農家と契約して、廃棄されるニンジンをJAから受け取るシステムを構築。エコフィードを活用してコストや手間を削減するだけでなく、飼料の着色をよくするメリットもある。養鶏農家にビタミンA卵生産飼料「醤油キャロット」を販売する。さらに、その飼料でつくられた機能性鶏卵を使用した加工品の販売、ブランド鶏卵の生産に向けたサポートなどを行っていく。
東京都立晴海総合高等学校(東京都)
発展途上国の貧困層の女性に冷蔵庫と少額の仕入資金を貸与し、ドリンク販売に特化した小規模ストアの開業・運営をサポートする。
フィリピンで多くの人々が利用している「サリサリストア」と呼ばれる個人商店のビジネスモデルをヒントに、資金力のない発展途上国の貧困家庭の女性(主婦)が、子育てをしながら自宅玄関先で始められるビジネスモデルを考案した。販売物をドリンクに特化した小規模ストアの開業・運営をサポートし、将来的にはフランチャイズ事業を展開していく。
すでに、フィリピンの実証店舗で、販売・仕入・売上データを取得し、売れ筋商品や回転時間帯などの経営分析を行っている。
沖縄県立北部農林高等学校(沖縄県)
後継者不足により廃業した離島・伊江島の老舗パン屋を引き継ぎ、ビール工場から排出される麦芽カスを練りこんだハード系パンを開発・販売する。
沖縄県北部の伊江島にある廃業した伊江製パンを事業承継し、原材料には地元産にこだわった伊江島産小麦・大麦・塩のほか、オリオンビール工場から排出される麦芽カス (伊江島産大麦)を使用する。沖縄の伝統料理である「クーブイリチー(昆布炒め)」や「アンダンスー(肉みそ)」「タコライス」などを使ったサンドイッチを考案。地元の住民のみならず、観光客向けのお土産としても期待できる。
以上、ファイナリストに選ばれた各チームは、1カ月後の最終審査会に向け、プレゼンテーションの準備を進めていく。