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NTT西日本「QUINTBRIDGE」自発的にコミュニティーが動き、開設5ヵ月で共創の中心地へ

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会員の持ち込みイベントでコミュニティーが自走

 QUINTBRIDGEは会員みんなでつくり上げることをコンセプトに、会員の自発的な活用を前提としているのも特徴だ。施設の利用料を無料にして敷居を下げることで、ユニークな企画が生まれ、イベントが盛り上がると参加者からの口コミでさらに人が集まる。今では週2、3回ペースで開催されるイベントのうち、会員の持ち込み企画がほとんどだという。

 オープンな雰囲気は、その立地によるところも大きい。QUINTBRIDGEのある「NTT WEST i-CAMPUS」は、京橋駅周辺から少し離れた住宅街の中にあり、大学のキャンパスのような穏やかな環境だ。

 ビジネスエリアから少し離れていることからコワーキングスペースのような短時間の利用よりも、半日~1日、集中して取り組む利用者が多いとのこと。といっても、固定の常連ばかりが集まっているわけではなく、開催されるイベントのテーマごとに参加者はがらりと変わり、幅広い層に利用されているようだ。

毎日午後3時には館内放送で1階のコーヒーショップに来館者を集める「コーヒーミートアップ」を実施。テーブルの前で飲みながら自己紹介をし合うことで来場者同士の交流を図っている

 多くの人が集まることで、マッチングの場としても自ずと機能し始めている。

 2022年8月1日からは未来共創プログラム『Future-Build For Well-being society』がスタートし、現在パートナーを募集中だが、こうしたプログラムに限らず、会員同士がイベントを通じて知り合い、自発的に共創に進むケースも出てきているそうだ。

「従来のオープンイノベーションはプログラムありきでしたが、それを待っていると年数回の決まったタイミングに限られてしまう。仕掛けを待たずにどんどんやってほしいですね」と市橋氏。

 NTT西日本のパートナーは一般的に大企業が多いが、QUINTBRIDGEは、シード期のスタートアップや起業前の学生も気軽に利用できる。常連同士が仲良くなり、小さなコミュニティーも生まれているという。スタートアップにとってはコミュニティーが事業共創に向けた人脈構築の場であるだけでなく、イベントや交流会で同志と出会うことでモチベーションの向上にもつながっている。

NTT西日本のネットワークから抽出した社会課題を共創で解決する場へ

 NTT西日本がQUINTBRIDGEを作った狙いは、地域の抱える社会課題の解決と、関西経済の活性化の2つだ。

「20、30年前まではインターネットの普及が社会課題で、我々は回線を届ければ社会貢献できました。しかし今は、環境問題や労働人口減少など1社では解決が難しい課題になっており、他社と課題を共有する場が必要です。また、東京と大阪を比較したときにベンチャーの数が大阪は1割程度と少なく、さらに京都、大阪、神戸でコミュニティーが分散されてしまっている。大阪・関西万博で盛り上がっているタイミングで、市場全体の活性化に貢献できる場づくりをしたいと考えました」(市橋氏)

NTT西日本 イノベーション戦略室長 市橋直樹氏

 NTT西日本は自治体とのつながりが強く、全国の支店から地域課題が上がってきやすい。QUINTBRIDGEに集まる企業やスタートアップに優先順位の高い課題を提示することで、解決するためのサービスや製品のアイデアが生まれ、連携によって事業化へと進められる。

 また資金面での支援として、NTTドコモベンチャーズのファンド機能を通じた投資やNTT西日本からの直接投資も可能としているとのこと。

 目標は5年で100事業の社会実装。NTT西日本では、これまでも電子書籍配信サイト「コミックシーモア」を運営するNTTソルマーレ株式会社や、データセンター事業を展開するNTTスマートコネクトなどを立ち上げており、同様の規模の新規事業が期待されている。また、スタートアップの事業への出資やジョイントベンチャー、NTT以外の企業間でのコラボ事業も生まれそうだ。

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