メルマガはこちらから

PAGE
TOP

Web3はなぜ重要? NFTが地方創生に効く? NFT Summit Tokyoで示された可能性

NFT Summit Tokyo 2022 Summer

特集
ASCII STARTUP イベントピックアップ

1 2

その場でしか体験できないアートにNFTの可能性

 14日午後には「地方創生とNFT Web3で地方創生を:NFT活用と事例」と題して、株式会社Creator's NEXT(クリエイターズネクスト)代表取締役の窪田望氏が登壇し、地方創生にNFTを活用していく可能性を話した。

 ニューヨーク州生まれの窪田氏は、慶応大学在学中の19歳で起業。Creator's NEXTはWebサイト制作やアクセス解析レポートツール「KOBIT」を提供している。「1日1分で楽しく学べるマーケティング教養発信」を動画共有アプリのTikTokで展開して、フォロワーは11万人超だ。

株式会社Creator's NEXT 代表取締役 窪田望氏

 窪田氏は、まず「NFTになっていない地域活性化アートに目を向ける」と切り出し、瀬戸内海の島や港で開かれる現代アート展「瀬戸内国際芸術祭2022」を示した。コロナ禍で遮蔽(しゃへい)に使われたアクリル板を再利用した作品や釣りざおのアートなどに加えて、芸術家の草間彌生氏のインスタレーション「ナルシスの庭」を例示した。これは、屋内外に並んだ数多くのステンレス製の球体が、風が吹くと配置が変わって同じ情景は二度とない。窪田氏は「その場所でしか体験できない何かを提供して、年間100万人を超える芸術祭になった」と話し、離島の自然や古民家も活用した作品が評価されていることを示した。

一期一会の作品こそ“Non-Fungible”だ

 その上で窪田氏は、Web3による地方創生のヒントとして、2022年4月に羽田イノベーションシティ(東京都大田区)で開かれた「イノベーションEXPO2022春」に出展し、自身がプロデューサーとなってAIでつくった絵画を展示した「題名のないAI絵画展」を紹介した。

「DEEP ART」と呼ばれる技法でつくられた絵画で、多くのテキストと画像を学習したAIがDJのサンプリングのように作品をつくり、最後は人が選んで完成させる。展示には作品の題名がなく、題名をつけるのは鑑賞者という独特な絵画展だった。

「これまでのアート展は静かで、絵画の通な人だけが作品世界を持ち帰ることができた。この絵画展ではおしゃべりをしながら作品に好きなタイトルをつけてもらった。鑑賞者の中にあるアート性を引き出す」と窪田氏は説明した。

 目が見えない人が鑑賞する「絵画ワークショップ」や、東京シティバレエ団が絵画の前で踊るパフォーマンスなど「AIとの共創」がテーマで、AIのライブペインティングイベントは特に人気を博した。10分で絵画をつくるが、つくりきった瞬間にその絵画は消えてしまう「一期一会のアート体験」だ。3日間の絵画展は1万2000人が訪れるイベントになった。

「Non-Fungible Token(ノン-ファンジブル トークン)」の頭文字を取ったNFTは、「非代替性トークン」と訳されるが、「非代替性」とは文字通り他と取り替えがきかないということ。NFT活用について窪田氏は、そこでしか体験できない地方の芸術祭や、その場限りの絵画展など、まだNFT化されていない地域の取り組みの中で、「体験できる、触れる、関われるものにこそ可能性が高い」と強調。地域の特性を生かしたNFT展示に取り組む考えを示した。

■関連サイト

1 2

合わせて読みたい編集者オススメ記事

バックナンバー