デジタルツイン構築の課題は、多様なデータの入れ込みにある
スタートアップ企業での開発事例【中編】
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見やすさ、使いやすさの工夫も大事
――UIの工夫などあれば教えてください。
高田:3DビューのUIに関していえば、ほぼTerriaMapを使っていますが、多少のカスタマイズはしています。ロゴ表示とか、いらないボタンを消すとかなどです。また、特定のお客さんだけに表示できるよう、もともとのTerriaMapにログイン認証の機能を追加しています。
3Dビューについては、データを表示するアイコンを工夫しています。TerriaMapでは、GeoJsonやCSVなどのデータをアイコンで表示できます。今回のプロジェクトの樹木診断の対象は、桜です。そこで桜の種類ごとに、異なる色のアイコンを表示しています。ビジュアルとして映えるようにすることで、単にポイントで置くよりもわかりやすくなります。
また、点群データとPLATEAUの建物を同時に表示するときに、PLATEAUのデータをどういう形で表示すると見やすくなるのかも考えました。点群データ自体に付いている色をそのまま採用して、PLATEAUの建物のほうを半透明の少しサイバーチックな感じにして、見やすくする工夫をしました。
それから、大気汚染のデータもご提供頂いたので、汚染具合を3Dの円柱で示し、高さが伸び縮みしてビジュアライズする機能も追加しました。もともとCesiumには、円柱を表示する機能はあるのですが、そのままだと上だけでなく下にも伸びるので、少し地面の下を隠したりするなど工夫しました。TerriaMapはオープンソースなので、がんばれば自分で改造できます。Cesiumで実現できているなら、TerriaMapでもできるはずだと思うのでやってみました。
――ARとの連携について教えてください。
高田:今回のTerriaMapには、住民からの地域への要望のコメントデータがあって、ある場所に対してのコメントをクリックすると、そこでQRコードがマップの画面上に表示されるようにしました。
NrealLightという眼鏡とAndroidのスマホ接続するタイプのARデバイスを使用しています。アプリを起動してカメラでQRコードを写すと、その場所の情報が読み込まれて、眼鏡の中で、情報が表示されます。
我々は、デジタルツイン以前からVRのサービスも展開して、散々苦労してきました。VRをやるのに、機器をかぶって、さらに難しい操作をしてというのは、まだまだ難点が多いと感じています。今回はスマホでカメラを起動して、QRコードを表示して、それでリンクへ飛ぶというのが、一般の方にとってはわかりやすいのではないかと考えました。
技術的に一番すぐれているかどうかはわかりませんが、一般の方が使うにはわかりやすくできたのではないでしょうか。目的とユーザー層がどういう人かにもよるので、それはその都度、答えはひとつではないのかなと思っています。やはり、使うのが簡単でないと、こういう技術は普及しないと思います。
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