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PLATEAUを使わない理由がない。渋谷区で必要だった合意形成のデジタルツイン

スタートアップ企業での開発事例【前編】

特集
Project PLATEAU by MLIT

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精度が高いPLATEAUのデータを使わない手はない

 ――今回のプロジェクトでPLATEAU採用した理由やメリットについて教えてください。

沼倉:逆に、PLATEAUを利用しない理由がありません。こんなにいいデータを提供いただいて、むしろ使わない手はない。都市の3Dモデルは、地図メーカーさんからも販売されていますが、これを国から提供いただいて、しかも精度の高いデータが出ているので、我々としてはぜひ使いたいというのが、まずありました。

 データの扱いもオープンで、二次利用もその商業的な利用も可能(基本的にCC BY 4.0等のオープンライセンス)だというところも、価値として、とても高いです。

[補足]
PLATEAU Policy
https://www.mlit.go.jp/plateau/site-policy/

PLATEAUやデジタルツインをきっかけにデータ連携が加速化する

――今後、デジタルツイン渋谷プロジェクトをどのように良いものにしていきたいと考えていますか。

沼倉:デジタルツイン渋谷プロジェクトには、2つの目標があります。ひとつは、住民が自分たちの街を自分たちで作っていく、参加する都市開発です。もうひとつは、新しいアプリケーションや新しいサービスを生み出すデータのエコシステムを作ることです。渋谷区に関わるオープンデータも企業のデータもこの中で連携をしていく仕組みです。

 渋谷区では、今年度からデータの公開が始まっています。データ分析や可視化が可能なBIツールのようなものを今年度から公開しているのですが、あくまで現在は、データが閲覧できるだけです。やはり最終的には、これを使った価値あるサービスだったり、今まで行政側が提供していたサービスを民間側から提供していくような流れを作ったりするのが、我々が目指している目標です。

――デジタルツイン渋谷がデータ連携のプラットフォームとして公開されていくことも、将来的にはあり得るということでしょうか?

沼倉:そうですね。今、このプロジェクトとは別に、PLATEAUのユースケースを検討しているのですが、扱うデータをどうやって企業間で連携していくのかというところが、やはりこれから必要になるという認識です。

 1つのプラットフォームで全部やるわけではないと我々は考えています。さまざまなプラットフォームやサービスが登場するけれども、そこで扱うデータは、相互にやり取りできるようにしていく。データの相互利用をどうやって高めていくかがポイントだと思っています。企業間でこうした話が出てきたのは、去年ぐらいからです。PLATEAUやデジタルツインという仕組みが出てきたのがきっかけだと感じています。

――地理データと絡めたデータを扱うことに知見がないような企業でも、PLATEAUを活用できる場面はありますか?

沼倉:ものすごくあると思っています。データって結構いろいろあるんですよ。でも、今はそれをどのように使えばよいのかわからない企業さんも多くて、自社のデータですら、完全に利用できていないのです。

 データマネジメントプラットフォームやBIツール、そして、GISのさまざまなシステムもあるのですが、やはりまだ一部の方しか使えていない。習熟している人しかいじれていないのが今の状況です。これを一般の層まで広められれば、今までそういうデータを扱っていなかったような人でも活用できます。たとえば街中での広告の見せ方なども、3Dモデルのデータを使って検討するような、そうした事業での使い方が、これからどんどん出てくるであろうと考えています。

高田:そもそも我々Symmetry Dimensions Inc.は、デジタルツインのプラットフォームを提供することに軸足を置いています。沼倉が言ったように、データがたくさんある。おそらくニーズもたくさんある。けれども、それを使いこなすツールが普及していなかったり、スキルを持っている人がいなかったりというのが課題です。

 我々は、それを解決するためのプラットフォームシステムを提供して、データを持っている企業がもっとそのデータを世の中の人に活用できるようにする。もちろん我々からすれば、PLATEAUもそういった位置づけのひとつです。

 我々のプラットフォームによって利用者がデータを使いやすくなると、我々のビジネスも成立するような、Win-Winの関係になるのではないかという仮説でやっていきたいと考えています。

沼倉正吾(SHOGO NUMAKURA) Symmetry Dimensions Inc.(シンメトリー・ディメンションズ・インク) Founder, CEO
2004年、NASKERCRAFT Inc.設立、ゲームソフト及びクラウド映像配信サービス開発に従事。2014年、VRソフトウェア開発を専門としたDVERSE Inc.(現Symmetry Dimensions Inc.)を米国に設立。様々な企業とのVRに関する研究・共同開発を行う。最新テクノロジーを利用した新規事業の組織作りから企画、開発を専門としている。

高田知典(TOMONORI TAKATA) Symmetry Dimensions Inc.(シンメトリー・ディメンションズ・インク) CTO
東北大学大学院にて自律移動ロボットのための環境情報表現の研究で修士課程を修了後、1996年に日立ソフトウェアエンジニアリング株式会社(現 日立ソリューションズ)に入社。インターネットサービスプロバイダー向けシステムの開発やIoT関連の研究開発等にプロジェクトマネージャー/ITアーキテクトとして従事し、2007年に退職。以降、ネットベンチャーやオンラインゲーム運営会社における新規事業立ち上げ時の開発リーダーを歴任。2014年、創業メンバー/CTOとしてDVERSE Inc.(現 Symmetry Dimensions Inc.)に参画。

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