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東大発ベンチャーEVERSTEEL、脱炭素の鉄スクラップ自動解析AIシステム開発

 東京大学発スタートアップである株式会社EVERSTEELは、2022年6月14日東京製鐵株式会社との鉄スクラップ自動解析AIシステム(以下AIシステム)の実証実験を完了したと発表。実証実験は鉄スクラップ検収作業の作業効率化や検収員毎の査定のばらつきの低減を目指したもの。本運用を前に、6月からベータ版開発を開始する。

 2050年までの脱炭素社会の実現のために、国内におけるCO2排出量の約14%を占める「鉄鋼部門」の排出抑制が求められているという。CO2排出量を80%以上削減可能な「電炉法」による鉄鋼生産の需要が高まる中、EVERSTEELと鉄スクラップ自動解析AIシステムの共同実証実験を行った電炉メーカーの東京製鐵は、年間300万トン以上の鉄スクラップを購入する、国内最大の鉄スクラップ購入企業でもある。

 電炉鋼材普及で重要となるのが、原料の鉄スクラップの品質管理だ。大量のスクラップ検品作業は、習熟したスキルが求められる一方、検収員の高齢化、採用難が課題となっている。課題解決に向け、AIによる客観化、技術継承を行う実証実験を開始した。

 実証実験でのスクラップ等級分類では、トラック1台に積載したスクラップについての等級査定を実施。AIシステムは単一、複数の等級が混在するスクラップを問わず、検収員の検収スキルと近い精度で検収が可能であることを確認した。また、異物検出でも高精度の検出能力を発揮している。

 将来的に本運用されるアプリケーションでは、現場のカメラで撮影した画像のリアルタイムでの解析が可能となる。AIは画像をもとに検収員が携わるスクラップの等級判定の補助、作業負担低減、検収員ごとの査定のばらつきの低減、熟練作業者の技能承継補助を行う。6月から開発を開始するβ版では、荷下ろし業務中にリアルタイムで鉄スクラップをAI解析し、作業者に 結果をフィードバックする。β版運用でデータ収集によるAI解析精度の向上を目指す。

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