大場紀章「脱炭素化は日本の力を底上げする最後のチャンス」
節電要請、電力自由化、老朽火力発電所や原発停止、急速な再生可能エネルギーへのシフト、ロシアのウクライナ侵攻など複合的な要因が絡み合い、エネルギー問題は理解しづらいものになっている。もともと日本は資源に乏しく、さらに「脱炭素」という足枷がはめられている以上、今後も不確実性はつきまとう。こうした状況をどう読み解き、国や企業は短期・中長期的にどう動いていくべきか。エネルギー・アナリストでポスト石油戦略研究所代表を務める大場紀章氏の提言をまとめた。
京大スタートアップが拓く、核融合発電の時代
究極のエネルギーと言われ、長年にわたって研究されてきた核融合発電。この実用化に向けて関連技術の開発に取り組むのが、京都大学発のスタートアップ企業、京都フュージョニリングだ。同社のビジネスモデルと展望について、長尾昂CEOに聞いた。
ロンドン下水からポリオウイルス、ブースター接種始まる
ロンドンの下水からポリオウイルスが検出されたことを受けて、子どもを対象にしたポリオワクチンのブースター接種が実施されている。英国では野生型ポリオウイルスは撲滅されたはずだが、一体、何が起こっているのだろうか。
脳が発達、心臓も鼓動——「人工胚」の成長で世界初
ケンブリッジ大学やカリフォルニア工科大学の共同研究チームは、幹細胞から作られたマウスの人工胚を、脳が発達する段階にまで成長させることに成功した。ヒトの妊娠の初期段階における失敗などについて新たな知見をもたらす可能性があるという。
旅行バッグに隠された爆弾を見抜くX線AI、がん診断にも期待
X線と深層学習アルゴリズムを併用して爆発物を高精度で検出する新しい方法がユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)によって発表された。将来的には、がん検出にも応用できるかもしれない。
米政府が巨額投資、炭素回収は「最悪の気候変動対策」なのか?
およそ4000億ドルもの巨額の気候変動対策費を盛り込んだ米国のインフレ抑制法が8月に成立した。産業プラントや発電所からの二酸化炭素の回収にも巨額の補助金が投じられることになるが、化石燃料の延命につながるとの懸念もある。
東北大、「貼るワクチン」で注射と同等以上の効果を確認
東北大学の研究チームは、痛みを感じさせない短針が多数並ぶ「貼るワクチン」による免疫効果をマウスを使った動物実験で確認した。皮膚表層にはランゲルハンス細胞による優れた免疫システムが備わっており、貼るワクチンには筋肉注射や皮下注射よりも優れた免疫効果が期待できるとされていた。
化石燃料を追い求めてきた 米エネ省の研究部門が担う 脱炭素の新しいミッション
米国エネルギー省の化石エネルギー局は、化石燃料の研究開発を長年にわたって担ってきた。しかし、バイデン政権の発足とともに部署の名称は化石エネルギー・炭素管理局に変わり、二酸化炭素排出量を抑えることを目的とした新たな任務を背負っている。
MITテクノロジーレビューからのお知らせ
MITテクノロジーレビュー[日本版] Vol.8 脱炭素イノベーション
マサチューセッツ工科大学が発行する世界最古のテクノロジー雑誌「MITテクノロジーレビュー」による、「脱炭素イノベーション」特集号。新たな成長産業「脱炭素」「気候テック」イノベーションの最前線を追う
2050年のカーボンニュートラル実現に向けて、日本でもGX(グリーン・トランスフォーメーション)戦略が立ち上がり、脱炭素技術の研究開発や事業化の動きが加速している。本特集号では、先行する世界の脱炭素イノベーションの最新動向を1冊に集約。次世代太陽光電池、プラスチックのリサイクル、地熱発電、グリーンスチールなど、注目のスタートアップ企業を一挙紹介するほか、岐路に立つ日本の自動車メーカーの脱炭素戦略、再エネの普及やウクライナ情勢で複雑化するエネルギー問題についても取り上げる。
企業に新たな利益を生み出す脱炭素ビジネスの「今」が見える1冊です。
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