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ロードスターの日々は毎日素晴らしい~990Sロングランレポ 第5回

内燃機関のロードスターはND型が最後!? 軽井沢ミーティングで飛び出した衝撃情報

2022年06月12日 15時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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現在のロードスターである齋藤主査による注目発言

 「軽井沢ミーティング」の楽しみ方は、いろいろとあります。1000台を超える参加者のロードスターを見て歩くもよし、参加しているロードスター・ショップのブースを見て回るのも楽しいもの。さらには、久しぶりに会うロードスター仲間と旧交を温めるのも、このイベントならでは。今回、僕は高校時代の同級生にばったりと会うというサプライズもありました。

 そんな楽しみの中で、レポートしたいのがマツダのロードスター開発者チームが参加したトークショーです。今回も、主査である齋藤茂樹氏をはじめ、前主査の中山雅氏などの開発チームの面々が参加し、会場からのさまざまな質問に答えてくれました。

第2駐車場いっぱいに並んでいる参加者のロードスターたち

ロードスター専門店の並ぶ一角。ブースの前には、各ショップのデモカーが飾られている

 まず、トークショーで話題となったのが、NDロードスターの販売の好調さです。昨年暮れに実施した一部改良&「990S」の追加により、2022年の1~3月にかけて3ヵ月連続で月販が1000台を超えているとか。デビュー7年目のスポーツカーとしては、ありえないほどの好成績です。そして、その牽引役となっているのが「990S」だそうです。以前の「Sグレード」の販売比率はロードスター全体の4%ほどだったのが、現在の「990S」は26%を占めているそうです。販売されるロードスターの4台に1台が「990S」という驚くべき状況になっているのです。

 「昨年、10月の軽井沢ミーティングで990Sを披露しましたが、そこでメディアの人から“これに自信がありますか”と尋ねられ、僕は“自信はありません”と答えました。だけど、フタを開けてみたら、こんなに多くの方に共感いただけました。クルマに乗らないうちから契約のハンコをついていただけた方がたくさんいたんですね。ここで学んだのは、やはりロードスターのファンの方は、軽さをすごく大事にしているんだなあと。ある意味、ビックリしたというのとうれしかったですね」と齋藤主査。

 また、齋藤主査からは、これからのロードスターに関する、いくつもの予告をしていただけました。

 まず、「ずばり次期型のロードスターの開発はやっていない。けれど、ライトウェイトスポーツカーのあるべき姿の技術研究は進めている」とか。さらに「内燃機関(エンジン)としてのロードスターはND型が最後」ということ。

 「僕はND型の主査なので、僕としては限りなくこのNDを引っ張りたい。変なNE(次期型)の企画が出たら、僕がつぶしに行きます(笑)。まだ譲れません。やはりNDはポテンシャルが高いんですよ。まだまだ、やりたいことがいっぱいある。色を変えるだけで新しい世界観を提供できます。さらに、もっといろんな新技術を入れて、もっともっと楽しいクルマにしていきたいと本気で思っているので」と齋藤氏は力強く宣言します。さらに、990Sを進化させることも考えているとか。これは気になります。

 また、ND型が終わるときは「ファイナル・エディションを必ずやります。これは間違いなくやる」とも。ちなみに、2リッター・エンジンを搭載する幌バージョンの登場に関しては「僕はやりたいんですよ。でも、社内にやりたくない人がたくさんいて、なかなか説得するのが難しいので(苦笑)。これだけ、ロードスターを作ってきたんですから、最後くらい、ソフトトップの2リッターを提供するのが僕の仕事なんじゃないかなと思っています。応援よろしくお願いします」と齋藤氏。

 そして、昨年の暮れの商品改良で追加された姿勢制御技術であるKPCに関しては、「改良前の発売済みの車両への後付け」も検討していとか。技術的な検証や、制度的な調整などを進めているそうです。時間はかかりそうだが、いつかは希望する人すべてが、取り付けられるようになると嬉しいですね。

新たにロードスター開発チームに加わった面々

 今年の「軽井沢ミーティング」には、ロードスターの開発チームに新たに加わった面々も紹介されていました。それがチーフデザイナーの岩内義人氏、プロジェクトマネージャーの杉本学氏、国内営業本部国内商品マーケティング部の大関卓也氏の3名です。

 チーフデザイナーの岩内氏は、これまで「CX-30」の先行デザインや第6世代の「アテンザワゴン」や「アクセラ」のデザインを担当していたという人物です。

今年の春からロードスターのチーフデザイナーとなった岩内義人氏

 「ロードスターに絡むのは初めてです。チーフデザイナーに選ばれてびっくりしています。今回、初めて軽井沢ミーティングに参加しましたが、すごいなと思いました。参加台数もそうですし、クルマにかける熱量がすごいですね。けた外れに熱いなと。そのファンからの圧をパワーにかえていかないといけないと考えています」と大関氏。今後の一時改良などで、エクステリア関係をどう変えるのかは岩内氏の仕事となります。

NDロードスターのエクステリア・デザインを手がけた中山氏(左)と、新しくチーフデザイナーに着任した岩内氏(左より2人目)

 続いては、齋藤主査の右腕として社内外の調整役とプランナーを務めるのがロードスタープロジェクトマネージャーとなった杉本氏。これまで社内のブランド教育や100周年プロジェクトチームなどを経て、ロードスターの開発チームに加わりました。愛車は100周年仕様のNDロードスターとか。

 「運転の楽しさとか、クルマの楽しさを伝えていきたいですね。クルマ作りは、今まで守ってきたことを大事にしながらやっていく。それとは別に、事とか楽しさ、文化や気持ちを、より広げていきたいなあと思っています」と杉本氏。

主査の右腕となるプロジェクトマネージャーとなった杉本 学氏

 最後は国内営業として開発チームに加わった大関氏。NAロードスターに2台に渡って、のべ17年間も乗っている、根っからのロードスター・ファンです。

国内営業本部国内商品マーケティング部にてロードスター担当となった大関卓也氏

 「5年くらい前から、ロードスターに関わる仕事をしたいという思いが強くなっていて。ロードスターは、これだけ愛されているクルマですし、メーカーとお客様が近いクルマです。そこを盛り上げていきたいなあと。やりたい! と言って、うるさがられていたのですが、この春にようやく夢をかなえていただけました」と大関氏。

 齋藤主査をはじめ開発に携わっている人たちの顔がわかるというのも、ロードスターの魅力の一つと言えるのではないでしょうか。また、イベントで直に、オーナーからの思いを伝えることができるのもうれしいポイント。これだから、軽井沢ミーティングは、何度行っても楽しめるのです。来年こそは、駐車場の抽選に当たることを祈ります!

■関連サイト

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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