広大なショッピングモールの駐車場までロボが荷物を運んでくれたら。アイシンが取り組む自動配送サービス
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さまざまな地域課題や社会課題の解消や、ドローンやスマートシティなどとの組み合わせで期待されている自動走行ロボットを活用した配送サービス。日本でも各種実証実験が進んでいるが、いよいよ実装が見え始めている。2020年より実施されたNEDOによる実証実験で見えてきた動きを追いかける。
事前注文した購入商品を駐車場の車で回収できるカーブサイドピックアップ(ドライブスルー受け取り)のサービスは国内でも始まっている。駐車場での商品配達に自動走行ロボットを活用すれば、非対面・非接触での受け渡しも可能だ。株式会社アイシンの取り組む事業テーマは、「大型商業施設向け店舗から駐車場への商品自動配送サービスの実現」。すでに同社の開発するパーソナルモビリティが稼働しているショッピングセンター「カラフルタウン岐阜内」にて、店舗から駐車場まで商品を運ぶ実証が行なわれた。
大型ショッピングセンターのカーブサイドピックアップに自動配送ロボットを活用
コロナ後、店内の混雑や接触を避けられるドライブスルーやカーブサイドピックアップといった駐車場での販売方式が海外などで注目されている。高齢者や子供連れ、障害者などにとって大きな荷物を抱えて駐車場まで商品を運んでくれるのはありがたい。
カーブサイドピックアップは、ドライブスルーに対応した建物の改修が不要で取り入れやすく、大型ショッピングセンターなどで導入が進んでいる。しかし、問題となるのが人員の確保だ。こうした商業施設は駐車場が広く、各店舗のスタッフが売り場を長時間を離れると現場に負担がかかり、売上にも響く。自動配送ロボットで効率化が図れれば、人手不足の解消と非対面・非接触ニーズにも応えられる。
株式会社アイシンは、2015年からパーソナルモビリティ「ILY-Ai」(アイリーエーアイ)の開発に着手し、2020年3月から岐阜県内のショッピングセンター「カラフルタウン岐阜」でショッピングカートや乗車式の店内移動用モビリティとして試験稼働している。将来技術としてILY-Aiの自律走行技術も開発しており、NEDO事業ではその基盤技術を応用した実験機として、店舗から駐車場まで商品を自動運搬する自律配送ロボットを新たに開発した。
最大速度は、人を追い抜かない程度のスピードとして時速4キロに設定。機体サイズは高さ1200×幅490×奥行800ミリで、ショッピングカート程度の大きさだ。最大積載量は20kgで、買い物かご1個分の荷物を運べる。
センサーはコストダウンのため2D LiDARのみを使用し、1つを斜めに取り付けることで疑似的に3Dのデータを取得して自己位置を推定する技術を開発。買い物客がにぎわう店内、人と車の出入りする駐車場で障害物を回避し、人に不快感を与えないように適切な距離を保ちながら、安全かつ一定の時間内に目的地まで行けるかどうかが検証の目的だ。
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