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ロードスターの日々は毎日素晴らしい~990Sロングランレポ 第1回

ロードスター日日是好日

ロードスター 990Sと歩むカーライフ開始! 大事なことはロードスターから学んだ

2022年04月16日 12時00分更新

文● 鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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「本質を追求した」との言葉に心打たれて
ロードスター 990Sを契約

 モータ―ジャーナリストの鈴木ケンイチです。早速ですが、マツダ・ロードスターに新たに追加された特別仕様車「990S(キューキューマルエス)」を買いました。予約開始と同時に申し込み、2月にめでたく納車されました。

 ということで、これから私と「ロードスター 990S」との日々をレポートしてゆきたいと思います。

取材を通じて知り合いとなったマツダのディーラーの友人のお店で契約。普段のメンテナンスは、同販売会社の最寄りの店舗と、知り合いの整備工場にお願いすることになります

 まず、私ごとで恐縮ですが、これまでの車歴を紹介したいと思います。「モータージャーナリスト」と名乗っていることもあり、頻繁に「どんなクルマに乗っているのですか?」と尋ねられます。あっちこっちのクルマを乗り比べる職業ですから、そうした人の選ぶクルマに興味がわくのは当然のことでしょう。

 そして、そんな疑問に対する私の答えは明快です。それは「ずっと、ロードスターに乗っているんですよ」というもの。振り返れば、30歳くらいから、現在まで25年以上も、ロードスターを愛車にしています。最初のロードスターは初代NA6、次がM2 1001というマツダの子会社が作ったロードスターのカスタムカー。それと並行して、ロードスター・パーティレースに参加するためのNB6のNR-Aのロードスター。そして、最近まで10年以上も乗っていたのがNB6のショップ・カスタムのロードスターです。

 つまり、今回、購入した4代目のNDロードスターは、私にとっての5台目のロードスターとなります。

ロードスターに乗り続けてきた理由

 では、なぜそんなに長い間、ロードスターに乗り続けたのか? その理由も簡単です。それは「ロードスターが良いクルマ」だから。そして、「私のクルマに求めるものや使い方にロードスターがマッチした」からというのが理由です。

 具体的に言えば、私がクルマに求めているのは「格好よさ」と「運転していて楽しいこと」です。なんたって私は昭和41年生まれのスーパーカー世代ど真ん中。ですから当然、「格好よいクルマ」「スポーツカー」が大好き。さらに、私はモータ―ジャーナリストということでクルマのメカニズムや運転に詳しくなければなりません。そんな人間にとってロードスターは、非常によい教材となります。

最初に購入したNAロードスター。もう25年近く前の写真です。サーキット走行をはじめ、メンテナンスなど、クルマのことを数多く学びました

 サーキットもさんざんに走りましたし、メカニズムもさんざんにいじり倒しました。油脂類の交換にはじまり、ブレーキパッドの交換、サスペンションやマフラー、クラッチの交換、サスペンションのブッシュやり替えまで自らの手で行ないました。また、ロードスター専門誌(今はなき『ロード&スター』)の記者として、数多くのオーナーさんやショップさんの取材をしました。そこでの経験もモータ―ジャーナリストとしての大きな糧となっています。

 ちなみに、ロードスターは2座のオープンカーですから、大きな荷物を運べませんし、人も2人しか乗りません。でも、そんな不便も慣れてしまえば、結構なんとかなるもの。子供のいない夫婦2人なので、利便性に不満はありません。

 そういうわけで、ずっと乗り続けていたし、乗り替える理由もありませんから、次のクルマも当然のようにロードスターを選ぶつもりでした。特に、現行型のNDロードスターは取材を通じて、ロードスターの開発担当者の一部も知り合いとなっていました。しかも、その開発担当者さんたちは、本当に熱心にオーナーズ・イベントに顔を出して、オーナーの声を聞いているのです。その苦労と熱意、真摯さを見ているのですから、NDロードスターを買って当然と思っていました。つまり、買うタイミングを計っていたのです。

2021年のロードスタ―軽井沢ミーティングで
運命の出会い

 そこで出会ったのが「990S」でした。

 「990S」は、昨年の12月に発表された、ロードスターの一部改良に合わせて追加された特別仕様車です。コンセプトは「ロードスターの原点である“軽さ”にこだわる」というもの。最も軽量な「Sグレード」をベースに、ホイールとブレーキを軽量なものに交換。それにあわせてサスペンションとEPS(電動パワステ)のセッティングを変更しています。また、今回の一部改良ではKPCという新しい姿勢制御技術が採用となりました。

2021年10月24日に開催された「ロードスター軽井沢ミーティング」にて、「990S」がお披露目されました。ファン・イベントでロードスターの事前のお披露目をするのは、もはや恒例になっています

 そして、マツダはこの「990S」とKPCの追加を12月の公式発表より先に、ファンに報告しました。2021年10月25日のロードスター軽井沢ミーティングで「990S」を披露したのです。その場には、私もちょうど取材で立ち会っていました。そこでロードスターの開発の方たちが「ロードスターの本質を追求した」「特別視しているSグレードを主役にするグレードを作りたかった」という説明に、正直、心が打たれたのです。やはり私も「ロードスターの魅力の元は軽さにある」と考えていたからです。

 また、KPCには「違和感があるのではないか?」という不安もありました。でも、ロードスター軽井沢ミーティングの現場で、その点を開発者にたずねれば、会心の笑みとともに「違和感はない。よいものです」と説明します。その開発者たちのこれまでの言動や付き合いを鑑みれば、その言葉に嘘はないと判断しました。また、極めつけの魅力もありました。

ロードスターの開発を担当した人たち。左側が主査となる齋藤氏と右がベテランの山口氏

ロードスターの主査を務める齋藤氏。齋藤氏が主査となって最初の仕事が「990S」の開発となったとか

 それは、軽く剛性の高い鍛造アルミホイールと、ブレンボのブレーキがついても、それほど高くはないというのです。実際の「990S」の価格は、289万3000円(税込)で、ベースグレードとなる「S」よりも、26万9500円ほど高くなっています。しかし、鍛造ホイール&ブレーキで約27万円高は、バーゲンプライスと言えるでしょう。

 結局、イベントから帰宅後から、それほど日も置かずに、知り合いのマツダのディーラーの人に見積もりを出してもらい。10月中には契約書にハンコを押してしまったのです。もちろん、試乗もなにもなし。KPCが、どんなものなのか。それにあわせた「990S」の専用チューンはどんなものなのかは、まったくもって不明です。ロードスター軽井沢ミーティングで聞いた話を信用しての決断でした。

 ちなみにボディカラーはパールホワイト。つまり、ロードスター軽井沢ミーティングで展示された車両と同じ。なぜ、その色にしたのかといえば、ロードスターの開発者たちから「デザイナーが一番、似合う良い色はパールホワイトと言っていた」との説明を耳にしていたからです。プロのデザイナーが言うんだから、間違いないでしょ、というわけです。

メーカー試乗会にて
「990S」の素晴らしさを確認

 しかし、その私の決断が間違いでないことが納車前に判明しました。それが分かったのは、年を越した2022年2月頭に開催されたマツダのメディア向け試乗会です。私の注文した「990S」は、すでに生産されており、ディーラーに到着するもまだナンバーなどを装着中。つまり、愛車「990S」の納車直前に、マツダのロードスター試乗会へ参加したのです。そして、そこでたっぷりと「990S」の走りを確かめることができました。結果といえば「大満足!」。試乗中にも「このクルマが、来週には家にくるのね」と思うと、口元が思わず緩んでしまうほど。また、同じ試乗会に参加した同業者たちも、改良となったロードスター、特に「990S」に関しては絶賛の嵐。これまでにないほど、うれしい試乗会となったのです。

 それから2週間後。ようやく我が家に「990S」がやってきたのです。納車予定日に雪が降ったために、1週間ほど予定は伸びましたが、それでも2月中旬の納車は「990S」としては早い方なのではないでしょうか。まずは慣らし運転を行ない、そのあとからボチボチと走りや装備類などをレポートしていきたいと思います。

新車ですから、あちこちに傷防止のためのフィルムやカバーがかかっています。納車の儀として、フィルムとカバーの撤去をお願いしました

■関連サイト

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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