メタバースにより、私たちは何ができるようになるのか?
「PLATEAU CONNECT Session 03」レポート
メタバース的体験、スケールの鍵を握るのは
ここからは、後半に実施されたトークセッションの内容を抜粋して紹介する。モデレーターは、国土交通省の内山 裕弥氏が務めた。
Q1.メタバースにより何が可能になると思うか。また、今後どのようなソリューションが生まれてくるのか。
若山氏:メタバースという言葉がここまで広がったのは、マーク・ザッカーバーグ氏が、FacebookをMetaに改名したことが大きい。「こういった世界が来る」は、まだ、マーク・ザッカーバーグ氏のビジョンでしかない。インターオペラブル(相互に接続され、共通のプロトコルでやりとりができる)なメタバースは実現していない。しかし、まだ存在しないコンセプトに名前がついて、「この方向で進めば、新しい世界が来る」と皆が思えるようになったのが、いまの状態である。
Q2.現実空間をデジタル上に再現することは、どのような価値につながっていくか。
沼倉氏:将来的にデジタルツインを使って、施設や都市の維持管理をすることは長期的な目標ではあるが、いきなり完成したシステムは生まれない。Symmetry Dimensions Inc.にとって、去年と今年は、ベースを作る段階だったと感じている。まずはベースができ、ここに色々なデータを入れていけばいいという方向性が示された。PLATEAUが生まれたことで、PLATEAUを起点に考えることができるようになった。メタバースという言葉に皆が混乱しているのは、概念はあるのにまだ形になっていないから。PLATEAUのように、まずは形になっているということは重要。
Q3.これからのビジネスの展望は。
目黒氏:もうひとつの世界、もうひとつの社会を作ることに価値がある。新しい世界を創るというのは、神に等しい行為。だからこそ、皆で作らないと作れない。PLATEAUができたことで、土台ができた。仮想空間を作って、そちらを豊かにするという考え方もあるが、これまで「ユニバース」しか持たなかった私たちが、メタバースを持てるようになったという利点に注目している。その利点を使って、ユニバースとメタバースを融合させたり、情報を行き来させたりして、新しい価値を生むことをしたいと思っている。
Q4.仮想空間で買い物をするなど、メタバース的な体験がまだスケールしていない理由をどう分析しているか。
目黒氏:例えば伊勢丹で買い物をするときは、店舗の華やかな雰囲気の中で、おめかしをして、店員さんと話して、気に入った物を選ぶというプロセスが、買い物を楽しいものにさせていると仮定する。そのいくつかは現時点で実現できている。しかし、まだ実現できていないことがある。それらは、これからデバイスや通信スピードが進化する中で、いろいろな技術が組み合わさり、実現されるものではないか。
若山氏:コロナ禍で、私たちは体験にお金を払っていたことに気づいた。レストランへ行き、ワインを飲み、食事を楽しむことに人は3万円を払う。しかし、全く同じ料理が自宅で楽しめるとしても、3万円は払わない。現実の模倣をする必要はなく、現実ではできないことをやった方がいい。現実ではできないことをする方が、ビジネスとして立ち上がりやすいと思う。