メタバースにより、私たちは何ができるようになるのか?
「PLATEAU CONNECT Session 03」レポート
離れた場所にいながら同じ空間を共有しているかのような空間体験を
目黒 慎吾氏は、博報堂DYホールディングスで担当者として手がけたメタバースの商用利用の事例を紹介。三越伊勢丹による仮想都市プラットフォーム「REV WORLDS」の構築、ヒューマンマシンインターフェースの評価をVR上で行なう「QuickCabinVR」の開発、株式会社VRCと共同運営する3Dアバター試着サービス「じぶんランウェイ」などについて解説した。
自身の経験として、ARを軸としたイベントを企画したものの、感染症対策のためVRに置き換える事例があったことを話した。その際に、「ARとVRは環境のコンテキストをそろえれば、遠隔地でのコミュニケーションが成立する」ことに思い至ったと話す。
デバイスが実世界でのユーザーの場所を認識し、VR空間上の位置と同期させるシステムを構築すれば、離れた場所にいながら、同じ空間を共有しているかのような空間体験が可能となり、「観光、買い物、今までは出会えなかった新しい繋がり」も生み出せるのではないかとコメントした。
メタバースには、幻滅期を乗り越える情熱が必要
ブレイクポイント株式会社は2004年設立のインキュベーターだ。18年の活動歴の中で、28社の企業へ投資を実施しており、そのうち20社はXRやメタバースを主事業とする企業だ。アクセラレータープログラムの開催、VR、AR領域向けのインキュベーション施設Future Tech Hubの運営、シード投資、そして韓国、台湾、フランス、シンガポールといった外国との国際交流を通じて、XR技術の発展に寄与する。
若山氏は、特に2016年から2019年の3年間はVR関連の市場が最も伸張し、従来の3倍ほどに拡大したと述べる。Meta、Apple、Google、Microsoft、Snapといった大企業による投資も積極化しており、XR、メタバース関連の市場は好循環で成長しているとも話す。
その一方で、「何が市場に刺さって、お金を産んでいくのかはわからない」状況でもあると分析する。「メタバースは、すぐには来ない(普及しない)。『これが来る』に振り回されず、幻滅期を乗り越える情熱を持って、プロジェクトを進めることが重要。その進め方は大企業では難しく、スタートアップではリソース不足になる。大企業とスタートアップが組んで、エコシステムを創出することが不可欠」と述べた。