深化したアクション
ステージと敵への理解度が問われる
さて、アクション面での前作との違いに触れておこう。まずダッシュについてだが、空中でのダッシュは一回のみとなった。空中ダッシュ中に壁に触れれば跳ね返るように移動し、回数制限はリセットされるので、ステージと地形の把握がより重要になっている。また、前述のオーバードライヴを発動すればダッシュ回数制限は緩和されるため、タイムアタックの場合でも敵撃破によるクードス稼ぎが視野に入ることがあるかもしれない。
次に、主人公アキュラの武装についてだ。前作では射撃武器であるフォトンレーザーが基本攻撃だったが、本作では近接攻撃であるブレイクホイールで敵を切り刻んでいく。クードスを稼ぎやすい三段攻撃と、ホイールを出しっぱなしにして低耐久の敵を露払いするホールド攻撃を使いわけよう。
また、空中ダッシュであるブリッツダッシュを命中させればロックオン状態となり、画面のどこにいても射撃「ロックオンホール」を連続ヒットさせることができる。こちらはシリーズお馴染みの攻撃手段だ。前作のアキュラよりも単純な機動力では劣っているが、うまく回り込んで切り刻む快感は新しい。全体として、ただアキュラを上手に動かすことよりも、ステージや敵をしっかりと攻略すると楽しいという調整になっていると感じた。
アクションゲームを好きになるアクションゲーム。初心者は成長でき、上級者は練習しやすい
先程「このゲームはけっして簡単ではない」と書いたが、実はクリアするだけなら簡単だ。それもそのはず、RoRoが「モードヒーリング」でいつでも・どこでも・何度でも!(クードスは没収されるが)アキュラを回復してくれるのだ。手間さえ惜しまなければ、アキュラは落下死以外で死ぬことはない。これが実によく出来たシステムで、あらゆるプレイヤーのプレイアビリティに貢献しているのだ。
例えば何らかのミスを起こしたときに、ストーリー重視のプレイヤーは、回復のゴリ押しで突き進むことができる。一方アクションを楽しみたいプレイヤーは、一体の敵や地形を攻略するため、その場で何度も練習できる。そしてその過程で成長できればヒーリングの使用頻度が減っていき、成長の喜びと共に「モードディーヴァ」が発生し、歌とともにオーバードライヴ発動といった感じだ。
気がつけばすっかりゲームが上手になっているという、レベルデザインのお手本を内蔵したようなシステムになっている。アクションゲームが苦手なアナタも、是非本作をきっかけにアクションゲームの苦手意識を払拭し、アクションゲームを好きになってほしい。本作にはそういう仕掛けが用意されている。
誰もが楽しめるのに、硬派で骨太。2022年のアクション初めに最適な一本
ゲームといえば「アクションゲーム」。そういう世代に生まれた筆者は、懐かしくも新しい体験ができた。長年多くのアクションゲームを手掛けてきたインティ・クリエイツだからこそ、王道の軸からブレないアクションを楽しませてくれたのだと思う。
プレイ動画をみた人は「速い!」と感じるかもしれない。しかし、それは前述したとおり大きくなった画面を前提に設計されている速度で、実際には反射神経を要求しないレベルデザインになっている。操作していると気持ちよく、みているとカッコいい。そんなアクションゲームの理想形『白き鋼鉄のX(イクス)2』を、2022年のアクション初めにしてみてはいかがだろうか。
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