夢の技術! 自動運転の世界第38回

クアルコムが見せた最先端の自動車関連技術の実績と未来

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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いまや自動車産業に欠かせないクアルコム

 クルマの自動運転技術やコネクテッド技術などを考えるときに、欠かせない存在がある。それがIT系サプライヤーだ。自動車メーカーは高い技術を持っているけれど、やはり本業は製造業であり、得意とするのは機械。そのため、自動運転技術やコネクテッドなど、近年の最先端技術の進化には、それらを得意とするIT系サプライヤーの協力が欠かせない。

 そんなIT系サプライヤーの大手となるのがアメリカのクアルコム社だ。ASCII.jp読者にはスマホのSoCなどでおなじみのメーカーである。もともとは携帯電話の半導体チップの開発で大きくなった企業だが、最近では自動車関連のビジネスを拡大。コネクテッド、つまりは通信技術を強化している自動車業界にとって、クアルコムは今やなくてはならない存在になっているのだ。

 そんなクアルコムが1月に開催された「CES 2022」で、自動車関連技術の発表をいくつか行なった。どんな内容だったのかをまとめて説明しよう。

スナドラ搭載のクルマは
まさに走るスマホ!

 まず、クアルコムが提供する自動車業界向け技術の代表格となるのが「Snapdragon Digital Chassis(スナップドラゴン・デジタル・シャシー)」と呼ぶクラウド・コネクテッド・プラットフォームだ。これには、複数の機能を持つプラットフォームが含まれており、自動車メーカーは、そのどれかひとつを採用してもいいし、すべてを使うことができるようにもなっているという。

 今回の「CES 2022」では、「Snapdragon Digital Chassis(スナップドラゴン・デジタル・シャシー)」に含まれる機能がいくつか紹介された。それが以下のようなものだ。

「Snapdragon Ride Platform」
(スナップドラゴン・ライド・プラットフォーム)

 レベル2+からレベル3までの先進運転支援システムに対応するプラットフォームだ。自動車メーカーごとの独自のポリシーやドライバー・モニタリング・システムとの統合などにも柔軟に対応する。

「Snapdragon Cockpit Platform」
(スナップドラゴン・コクピット・プラットフォーム)

 マルチディスプレイやプレミアムオーディオ、ビデオなど、車内で使うソフトウェアに対応するもの。コネクテッド機能と合わせて、新しい乗車体験を生み出す。

「Snapdragon Auto Connectivity Platform」
(スナップドラゴン・オート・コネクティビティ・プラットフォーム)

 クルマとLTEや5Gとの通信や、クルマのV2X(クルマと様々なものを結び付ける)、Wi-Fi、Bluetoothなどを実現するプラットフォーム。コネクテッド機能の実現に欠かせないものとなる。

「Snapdragon Car-to-Cloud Services」
(スナップドラゴン・カー・トゥ・クラウドサービス)

 クルマとクラウドサービスをつなぐもので、様々なクラウドサービスの提供やパフォーマンスのアップグレード、新機能導入など、柔軟な対応が可能だ。

 こうしたクアルコムの技術を採用している自動車メーカーは非常に多岐にわたる。名前を上げれば、BMW、GM、ヒュンダイ、ルノー、ボルボ、JiDU、マヒンドラ&マヒンドラ、NIO、ルノー、XPenなどの名前が並ぶ。「CES 2022」のクアルコムのプレスカンファレンスでは、ボルボの開発者やルノーのCEO、ルカ・デメオ氏などがビデオにて登場してクアルコムとの親密さを印象づけたのだ。

 「CES 2022」でのクアルコムの発表はまだ続く。

続々とさまざまなメーカーに採用されるスナドラ
日本ではアルパインとの協業も

 ホンダが「Snapdragon Cockpit Platform」とAndroidベースのインフォテイメントシステムを搭載するモデルを、北米で2022年後半から、グローバルでは2023年に発売する。

 また、ルノーは、すでに2021年9月に登場させた「メガーヌ E-TECH」に「Snapdragon Digital Chassis」を採用しているが、これから登場する次世代車両にも同システムが採用されるという。

 さらにボルボは、ボルボと傘下のポールスター・ブランドのEVに「Snapdragon Cockpit Platform」によるインフォテイメントシステムを搭載。その車両は、早ければ2022年中に発売を開始すると予告した。

 そして日本のアルプス・アルパイン社とクアルコムの協業も発表された。これはアルプス・アルパイン社の技術とクアルコムの「Snapdragon Cockpit Platform」を組み合わせて、将来のモビリティーの提案となるデジタルキャビンを生み出そうというもの。電子ミラーや、ドアトリムの次世代入出力デバイス、天井の大型ディスプレイ、オーディオなどが使われる。2024年の商用提供を目指すという。

 最後に、自動運転技術向けの新技術も発表された。それが「Snapdragon Ride Vision System(スナップドラゴン・ライド・ヴィジョン・システム)」だ。これは先進運転支援システムのカメラの画像認識をサポートするもの。車線認識や道路形状、他車両、歩行者、自転車などを認識。ユーロNCAPにおいて、最高の安全性能5つ星評価を得る手助けとなるという。量産車への採用は2024年になるとか。

 早ければホンダやボルボ(もしくはポールスター)から今年中にクアルコムの技術を使った量産車が登場することになる。量産車のシステムにはクアルコムの名前も「Snapdragon」の名前も登場しないはず。しかし、そうした新技術の裏には、それを支える企業がいることを覚えておこう。

■関連サイト

筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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