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コロナ禍で成長する郵便物受け取りのクラウドサービスatena

ノマドワーカーだけでなく、大手企業まで出社から解放

連載
このスタートアップに聞きたい

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atena導入の3つのメリット

 既に2000名規模の日本企業やグローバル企業の日本子会社などでの導入が進んできているatenaだが、導入の背景には以下の3つのメリットが挙げられる。

 まず郵便物受け取りのための出社が不要になる点、およびノマドワーカーのようにオフィスを持たない(もしくは公開したくない)フリーランスユーザーが郵便物を受け取りやすくなる点が挙げられる。コロナ禍が発生する以前だと大手企業にはこのメリットは理解しづらいところだったが、物理的に誰かが特定の時間に特定の場所にいなくてはならないという制約は、リモートワークやフリーアドレスなどを引っ張っていた。コロナ禍はあくまで、この課題を顕在化したに過ぎない。

 届いた郵便物も、メールやチャットツールなどを通じて連絡される。物理的な郵便物だとメール室に届いた後、社内便が届くオフィスの自席にいないと到着もわからないし開封もできない。atenaを使うと外出していたとしても郵便物の到着を把握できるし、内容チェックや回覧などの処理を進められる。

 次に、郵便物の処理コスト削減だ。すでにオフィス内の書類の少なからぬ部分が紙ではなくPDFなどの電子に置き換わっている企業も多いが、郵便物の場合は開封・スキャン・振り分け・廃棄などの作業を誰かがやらなくてはならない。それをatenaに任せることにより、スタッフの負荷を大きく下げられる。

 特に重要な郵便物については、処理が必要となると同時にその処理を完了したかどうかなどの管理が求められる。また保存が必要な場合、紛失などのヒューマンエラーが発生することもある。郵便物をすべてクラウド上で管理するatenaを導入すれば、それらの管理コストを劇的に下げられる。

 「sweeep」や「バクラク(旧LayerX インボイス)」などの請求書処理サービスとの連携も進んでおり、それらのシステムとつながることにより、処理コストも大きく軽減できる。

atenaを基盤にさらなる成長へ向かうN Inc.

 atenaは順調に成長を続けており、その処理量は1年で約7倍にまでなっているという。これに伴って増強されたシステムを活用して郵便管理システムのSaaS提供(atena Cloud)を開始。社内にメール室を持つ大企業、およびそれら大企業のメール業務を請け負っているBPO企業で導入が進んできている。

 「実際に比較したわけではないのですが、システムがないときに比べて3分の1とか5分の1くらいのスピード感でやれています」(白髭氏)

 また、atenaのようなサービスを必要としているのは日本だけではない。コロナ禍によって世界中がダメージを受けており、海外においても接触を避けるために郵便物の受け取り業務をDX化する必要がある。

 「米国では2004年にサービスが出てきており、市場は成熟しています。ベンチマークしやすいので、私たちとしてはやりやすい状況。対してアジア圏では同じようなサービスはあまりない。2018年にタイあたりで似たようなサービスが出てきたくらい。最初の展開先はアジア圏が良いと考えています」

 今後の成長に向けて着々と手を打ってきているN Inc.だが、2021年9月にはプレシリーズAラウンドで1億円の資金調達を実施した。「これまではプロダクトを優先したところがあって、1年半くらいはほぼ広告費ゼロでやってきた。今後はよりお客様に(atenaを)認識をしていただきたいと思っている」

 2022年1月現在、コロナの影響を受けている企業は日本全国、そして全世界どこにでもある。クラウド郵便サービスatenaが企業のDXをどこまで後押しするのか楽しみだ。

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