RPA導入でEDI連携を加速した日伝が語る「構築と運用」のコツとは?

文●大谷イビサ 編集●ASCII

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ユーザックシステム主催のRPA勉強会において、「継続的にRPAで効果を出し続けるための秘訣」というタイトルで登壇したのは日伝 営業推進部 IT推進課 田中省吾氏。9年間にわたってRPAで効果を出し続けてきた活用のコツは「構築と運用」にあるという。

日伝 営業推進部 IT推進課 田中省吾氏

RPAの導入によりEDI連携が加速

 大阪に本社を構える株式会社日伝は、1952年設立のメカニカルパーツの専門商社。全国41箇所の営業拠点、大阪、東京、名古屋の3箇所の物流拠点をベースに、約4000社の販売先、約2400社の仕入れ先と取引を行なっている。RPAはこの膨大な取引先からの受注処理で用いられているという。

 日伝の受注フローを見てみよう。まずエンドユーザーとなる工場から販売店が注文を受け、販売店は日伝に商品を発注する。日伝は商品の在庫があれば販売店に発送し、なければ仕入れ先であるメーカーへ商品を手配する。このサプライチェーンのうち、販売店と日伝との受発注業務は、2012年からEDI(電子商取引)を開始。RPAの導入により、作業は効率化され、EDI連携できる取引先は増大できたという

販売店との受注業務をEDI化している

 RPA導入前、販売店から来た注文データはIT推進課がとりまとめ、基幹システムにアップロードしていた。しかし、EDIで連携できる企業が増えるとともにアップロード作業の負荷は大きくなり、人手でまかなえなくなっていた。

 日伝では、これらの作業をRPA化することで、大幅な効率化が実現した。受注リストの行数は4500行/日、基幹システムへのアップロードファイル数は500件/日におよぶ。これは人手作業に換算すると、1件あたり5分の作業だとしても、1日42時間の作業時間の削減になる。「だいたい6人分(5.6人)の仕事をRPAがやっている計算になる。ストレスもないし、休暇もいらないので、人手換算だと効果はもっと大きい」と田中氏はアピールする。

 RPA導入でキャパシティ(処理能力)が増えたことで、EDI連携できる取引先はますます増加した。2012年にEDI連携を開始し、2015年には連携社数が100社、2020年は150社を突破したという。

処理をブロック化することで短期間での構築が実現

 では、こうしたロボットをどのように作ってきたのか? まずはフローをブロックに分解した。日伝の場合、受注業務のフローが「データ取得」「データ変換&基幹システムアップ」「営業部門への通知」の3つに分解されており、実際Autoメール名人のスクリプトも3つに分割されているという。

 これらブロックをさらに分解する。たとえば最初のデータ取得においては、メールのほか、オンラインストレージ、Webサイト、FTPなどでの取得手段がある。また、データ変換&基幹システムや営業部門の通知に関しては、業界で利用されているメジャーなパッケージソフト2~3種類とスクラッチへの対応が必要になる。

構築はブロックを組み立て

 こうしてブロックと要素に分割し、スクリプトを組んでしまえば、あとは取引先ごとにこれらを組み合わせればよい。たとえば、ある取引先はメールで受信し、パッケージソフトA用にフォーマットを変換し、通知する。これにより開発期間を短縮でき、他社で実績があるのでエラーも起こりにくい。「構築はブロックを組み立て、負荷を最小限にして、極力新しいものは作らない。これにより継続して拡大することが可能になりました」と田中氏は語る。

自動処理に対する不信感を持たれないようエラーは放置しない

 次は運用の工夫。RPAを運用していると、受領した取引先のデータのフォーマットが違っていることで、動作にエラーが起こることもある。こうしたときにどのように再発を防止し、ノウハウを蓄積していくかが大きなテーマだ。

 まずフローが異常終了した場合は、メールが飛んでくるようになっている。メールを受信したら、IT推進課のメンバーが原因を調査し、リカバリを開始する。リカバリに関しても、もともとフローがブロックに分けられているので、途中から再実行できる。異常終了した箇所を直し、素早いリカバリが行なえる。

ブロックから再開

 こうしたエラーは放置しないことが重要だという。田中氏は、「エラーが起こると、EDI連携している販売店が自動処理に対する不信感を持ちます。FAXだったらエラーがなかったのに、データになったら日伝さんは対応が悪くなったと言われ、RPA適用の赤信号につながる」と警告を発する。

 そのためには改善サイクルを回し続けることが重要。「異常終了に対処し、対処履歴を蓄積。よくない部分に対して恒久対策を実施すると、他の部分にも横展開できるので、異常終了自体が減ってくる」と田中氏は語る。継続的な改善サイクルのおかげで、エラー件数は以前に比べて減っており、EDI連携を止めたいという話もなくなっているという。

 最後はRPAノウハウの蓄積について。現在、同社は8台のマシンでAutoジョブ名人などユーザックシステムのRPAを動かしているが、そのマシンはすべてIT推進課が集中管理している。これにより、IT推進課にノウハウが溜まり、開発メンバー同士の情報交換も進むという。「ノウハウが1人に蓄積されたり、他部署にまたがるより、1つの部門で蓄積された方が、次の展開がやりやすい」と田中氏は語る。

 運用においては、こうした「素早いリカバリ体制」「継続的な改善サイクル」「中央主役型の運用体制」の3つにより、RPAが自社の強みになった。「お客さまに自信持ってEDIを開始しましょうと言えるようになった」と田中氏は語る。2012年から9年に渡ってRPAとつきあってきた同社の「構築」と「運用」のコツは、多くのRPAユーザーにとっても有益な情報だったと言えるだろう。

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