東大阪の自転車部品卸会社がチャレンジした業務自動化と働き方改革

難しいやん!から社長一人で始めたRPAがECサイトの受発注事務を軽減

文●大谷イビサ 編集●ASCII

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 ユーザックシステムが主催した「RPA研究会」に登壇したのは自転車部品の卸を手がけるテラオ株式会社 代表取締役社長の寺尾優美氏。言い出しっぺとして社長一人で作ったロボットが、コロナ禍で成長した自転車の受発注事務を効率化した。

テラオ 代表取締役社長 寺尾優美氏

「機械でできることは機械でしいや」

 東大阪に拠点を置くテラオは自転車用品と靴用品の卸事業を展開している。扱っている商品は、子供用のヘルメットやチャイルドシート、車体カバー、サドルのほか、重い自転車が倒れないオリジナルの自転車スタンドなど3000点近く。「自転車本体は扱ってないが、東大阪の倉庫に来れば、自転車が組み上がるくらいの自転車関連製品を扱っている」(寺尾氏)とのことだ。

 さて、RPAを知ったのはインテックス大阪で開催されたITイベント。事前に指示された単純作業をパソコンが勝手に作業しているというデモを見て興味を持った。もともと同社では自転車用品のECサイトを展開しているのだが、従業員にしてみると事務作業が多くて、Webページ制作など新しいことができないという課題があった。また、注文作業は目視での確認が多いため、時間がかかる上にミスも発生していたし、新しい事務員に引き継ぐ業務量も多かった。

 折しも人手不足だったため、人材募集しても集まらない状態。そもそも1人雇うほどの作業量もないし、1人雇うと人件費もかかる。また、ちょうど働き方改革が叫ばれるようになった頃なので、繰り返しの単純作業を減らせば、働き方改革の取り組みの1つにもなる。「私は三代目だけど、先代からは『機械でできることは機械でしいや』と言われてきた。機械は間違えないし、仕事が早い。機械が作業している間に、その人にしかできない創造的な作業をすべきと言われてきた」と寺尾氏は語る。「きっと製品もこなれてきただろう」ともくろむ「RPA元年の1年後」に、RPAの導入を決める。

社内で教えてもらった人員はみんな脱落

 とはいえ、RPAを開発している会社はいっぱいあるため、比較検討しようと考えた。一番重視したのが、自分で構築できる難易度かどうか。「2003年からECサイトを立ち上げたので、もう17年やっていますが、プログラムなどわかりません。そんな私でも作れると言うことを最重視しました」と寺尾氏が語る。また、止まったり、エラーが多いと、現場で使えないので安定性も重視。そして、サポートがしっかりしているか、値段と品質のバランスを検討した結果、選んだのがAutoジョブ名人だった。

 しかし、実際に使ってみると「難しいやん!」となった。社内で教えてもらった人員を4名用意したが、みんな脱落。がんばってスクリプトを作ってみようという社員は言い出しっぺの寺尾社長だけだった。「事務員さんにとってみたら、決まったフォームに決まったことを入力し、それが登録されるのがそもそも当たり前。だから、ちょっと詰まったり、専門用語が出てくると、私には無理というアレルギー反応が出てきてしまう」と寺尾氏は分析する。

 導入した責任もあったため、寺尾氏が地道に作り始めてみると、文字入力、コピペ、定型文入力、繰り返し作業などを用いた簡単なスクリプトは作れるようになった。そして、難しいところは電話でユーザックシステムの担当SEに聞きながら作っているが、「本人が聞いている前でなんですが、拡張機能や条件スクリプト云々は相づち打ってますが、何度聞いてもわかりません(笑)」とのことだ。

残業は明らかに減り ほぼ全員定時で帰れるように

 試行錯誤の末できたのは、基幹業務システムへの入力作業。送り状番号と販売情報のひも付け、運送会社から来た代引き情報の消し込み、メールとExcelを用いた受注、Amazonでの売上実績の受注の4つだ。いずれも今までは手作業での入力であり、ロボットで削減した時間は月で16~18時間になるという。空いた時間で受注担当者はWebページ制作や学習に当てることができるようになった。なにより機械化したことでポカミスもなくなったほか、新人に引き継ぐ業務もRPAの操作だけを教えればOKになったという。

テラオでのRPA対象業務

 今後はリニューアルした基幹業務ソフトに向けて、今あるスクリプトを対応させるべく手直しを実施する予定。また、RPAでの自動化を進めるためにも、Excelで注文してくれる取引先を増やしていきたいという。

 テラオの事業全体を見ると、コロナ禍はプラスも、マイナスもあったが、自転車の需要は大幅に伸びており、ネットショップの裾野も広がった。「今まで絶対ネットで頼まなかった、おじいちゃんやおばあちゃんからも注文が来るようになってきた」と寺尾氏は語る。明らかに作業量は増えているが、残業は減り、定時に帰れるようになったという。「社員にも会社にもメリット!すごいぞAutoジョブ名人!」とアピールして、寺尾氏は登壇を終えた。

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