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フルカーボン筐体、そして性能と軽量性の両立

5年ぶり復活のVAIO Z、半端ない熱量を込めた開発ストーリーを聞く

文●飯島範久 編集●ASCII

提供: VAIO

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 約5年ぶりに、VAIO Zが復活した。発表会があるごとに、「今後VAIO Zはありますか?」と取材陣に聞かれていた、VAIOの魂としての存在。ソニー時代から脈々と受け継がれてきた、その魂が今回のVAIO Zにも込められている。

 今回は、ソニー時代からVAIOの開発に携わってきたPC事業本部長兼イノベーション本部長の林薫氏に、新VAIO Zの開発についてお話を伺った。

「いつかはVAIO Z」をモチベーションに技術を磨いてきたエンジニアたち

VAIO Z発表会時に代表取締役社長の山本知弘氏(右)と並んで登壇したPC事業本部長兼イノベーション本部長の林薫氏(左)

――5年ぶりのVAIO Zが復活しましたね!

林薫氏(以下敬称略) 「前回のVAIO Zから長い時間が経ってしまいましたが、どこか心の中では常に、いつかVAIO Zを復活させる、VAIOがお客様に提供したい価値をきちんと証明できるようなモデルを、いつか世の中に送り出したいと思いを持ち続けていました。それに対して我々が、技術的にもリソース的もそこに割ける準備が整ってきたタイミングが今であったということです。

――また「VAIO Zをやろう」と決めたのは、いつですか?

 「どのタイミングで決めたのかを特定するのは難しいのですが、2018年末に、VAIO Zに向けた検討を始める設計内部の動きをスタートしました。正式な承認をとる前の内部検討のスタートになります」

――こういうマシンにしたいという構想ができたのでしょうか?

 「そうですね。『こんな構想で作る、骨子となる技術革新はここだ』という目標はありました。VAIO Zは特殊で、やると決めてから動き出すというより、ふだんからエンジニアたちがやりたいと考えていることや、自分の担当の範囲で将来に向けて材料を着々と積み上げていっているものがあって、これらはいつかVAIO Zのために生かしたいという気持ちで温めています。ですから、新VAIO Zの企画会議を始めた時には『実はもうここまでできています』という話が続々と出てきました。正直このタイミングでVAIO Zを必ずやるというより、どうしてもやりたい、やるべきといったところから、少しずつ浮き上がってきたという感じです」

――社員の中にはVAIO Zを作ることをモチベーションにして他の製品も開発してきた人がいたとおっしゃっていました。

 「VAIOを設計する以上、VAIO Zに携わりたいと思っている人は非常に多いですね。いつか必ずやるよねって、確信をどこかでみんなが抱いています。これを続けた先にはZをという強い思いが、特にエンジニアの中にありました」

――今回の目玉でもある、フルカーボンの技術も着々と温めてきたものということでしょうか。

 「そうですね。かなり前からどの製品でどう実現するかという話は別として、カーボンの進化を開発・研究しているメンバーはいました。そこは短期的な話ではなく、かなり長いスパンをかけて、開発メンバーとも話し合ってきて、ある程度の実現の目処がついた時期というのは一致しているのですが、先行して仕込みつつどこを出口にするかは決まっていませんでした。仕込むものがあるからこそ、VAIO Zに取り組めるという意味合いと、いつかはVAIO Zのような商品が出せるからと思っているからこそ、取り組んでいるという両面があると思っています」

今回の目玉は、ボディーの4面に立体成型されたカーボンを採用したこと

――VAIOはソニー時代からカーボンを使っていましたし、マグネシウム合金を採用して軽量化を試みたという歴史もあります。軽量化に対する素材選び・技術革新への思いは?

 「2003年に『バイオノート505 エクストリーム』(重量約785g)で積層カーボンを採用して以来、脈々と作り続けていますが、当時エクストリームを出すときは、社内でも『そんなことができるのか』くらいの議論をした上で、あの製品を出しています。今でもエクストリームで実現しているレベルのカーボンを量産で実現することすら、なかなか難しいチャレンジなのですが、当時のあのチャレンジレベルに比べて、今のチャレンジは足りないという議論も出てきており、思い切った進歩をするためのブレイクスルーとして、VAIO Zで3Dカーボン、4面採用というチャレンジをするという議論はしていました。カーボンを使い続けているからこそ、次の進化のタイミングをどこに置くかを狙っており、その仕込みを意識していたところはあります」

――カーボンは他社でも採用していますが、今回はカーボン板自体を加工いるので、今までにない大変さがあると思います。

 「立体形状、それもレーシングカーのような一品モノではないため非常に大きなチャレンジがありました。当初、東レさんからも『本当にそんなことできますか』というような押し問答から始まっており、東レさんの技術だけでは埋まらない溝をVAIO側でアイデア出しをして、トライを積み重ねてきました。VAIOは、もともと素材ベンダーさんと一緒にものづくりを得意としてきましたので、初めてVAIOがマグネシウムを4面ボディに採用したときも、同様のやりとりがありました」

――今回フルカーボンボディを実現するために、日本中の工場でさまざまな工程を分散して作られていますが、このあたりはVAIOが培ってきたネットワークがあってこそということでしょうか。

 「1つ1つの工程が、チャレンジングな工程につながっていてしまうため、VAIOがいままで持っている関係性を駆使させていただき、組み合わせることで実現しています。日本のベンダーさんは優秀で、シーズは持っていても、それをどう使うかは、なかなか明確なアイデアを持たれないケースが多くあります。我々としては、それをどうしたらお客様の価値にして、魅力的なものになるか。そして、部品ベンターさんにも夢を見てもらって、この技術があれば、こういう形でお客様へ届けられて絶対喜んでもらえるはずと発破をかけてきました。無理だと言われてきたことを繰り返しトライして実現してきましたので、ベンダーさんとの繋ぎ合わせは得意なことだと思っています」

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