最初インテルにHシリーズをモバイルで使いたいといったら無理と言われた
――今回のVAIO Zは、モバイルPCとしてより軽く、かつ性能的にもバッテリー駆動時間的にも十分高いものをという目標があったのでしょうか。
林 「そうですね。今までトレードオフのバランスを取っていく中で、何かを実現していくのではなく、仮にトレードオフ曲線というものが存在するなら、その中でモビリティと性能のバランスを取るという考え方よりは、そこを突き抜けて、今までだったら考えられなかったところへバランスを置きに行く、ブレイクスルーを達成できてこその挑戦であると考えています。挑戦を世に示すためのVAIO Zであることを考えると、今回はやはりカーボンを使うことで、いままで想像できなかったパフォーマンスや、バッテリーライフ、重量、それも14インチの液晶で実現するというチャレンジでした。
モビリティとパフォーマンスを高いレベルでの両立を目指した今回のVAIO Zの祖先に当たるのがソニー時代のtype S (SZシリーズ)というモデルだと思います。ZではないけどS以上のようなモデルで、モビリティとパフォーマンスの両立でどこか妥協するのではなく、どこで使っても、ものすごく気持ちよく使える体験を実現したい。そのためハイブリッドグラフィックスや、カーボン天板を採用しました。type S (SZシリーズ)を開発したとき、もっとそこの道を突き詰めて、お客様に新しい価値を提供できる可能性があるはずだということで、今度こそ本当にソニー製VAIO Z(VPCZ21)復活という企画を当時やりました。あのときのZがいまのVAIO Zの直系という考え方があると思います」
――今回はインテルの第11世代Core iプロセッサーのHシリーズ登場もちょうどよいタイミングでした。
林 「そうですね。我々が考えていた時間軸と、インテルさんのロードマップの更新が非常にいいタイミングで重なって、インテルさんにもHシリーズをモバイルPCで使用したい話をしました。インテルさん的には、基本的にゲーミングやクリエイター向けプロセッサーという位置づけのため、モバイルPCで使うことに関しては当初『そんなことできるはずはない』というような議論がありました。しかし、我々の技術(放熱能力)があれば、HプロセッサーをモバイルPCの中で使いこなすことができることを理解していただき、最終的に認めてもらいました」
――VAIO SX14と同等のサイズの中に、冷却ファンを2つ搭載するなど、Hシリーズを搭載するためにかなり努力されていると思いますが。
林 「今回日本電産さんと一緒になって新規開発したことで、パフォーマンスが従来より向上するファンを開発できることが見えてきたのも、大きな要素になっています。やはりHシリーズに対応しようとすると、Uシリーズとは桁違いの放熱性が必要となるため、最初からSシリーズより相当強化することを前提に取り組んできました。2つのファンを搭載することは、スペース的なことだけでなく、重量的にも相当のチャレンジでしたので、3Dカーボンがなかったらなかなか実現できなかったかもしれません。
――冷却に関しては、CPUのほか、SSDや5Gモジュールあたりもかなり熱を発すると思うのですが。
林 「今回、5Gモジュールは相当熱を発することは想定していたので、5G周りの熱の放熱は設計の最初の段階からかなり検討しました。その結果、ヒートパイプをファンにつなげて冷却しています。通信モジュールにヒートパイプが必要になるなんて、思ってもいませんでした」
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