510馬力FRセダンに驚愕! この素晴らしい四葉のアルファ ロメオ・ジュリアに祝福を
2021年01月23日 12時00分更新
走行モードごとにハッキリと違う顔を見せる
まずはn(ノーマル)モードで、都内を走行。最初に驚いたことは、トルクフルでスムーズ。でありながら、心地よい振動を感じるエンジンのよさ。抜群のトルクと滑らかな回転フィールは気持ちの良さで文句ナシ! まるで羽毛で頬をなでられているかのような、シルキーさではありませんか。それでありながら、nモードは言うまでもなく、a(エコ)モードでも、踏んだ瞬間からシートバックに体が張り付く強烈な加速! 確かにアクセルレスポンスや変速の動作で違いはありますが、それでもエコモードですら「これのどこがエコなんだ?」と良い意味で呆れてしまいます。
燃費は街乗りでリッター5kmを下回り、高速道路でクルーズコントロールを使った巡行で9km程度。イマドキのクルマに慣れた身からすると目を疑う数値ですが、ガソリンを官能に変えていると思えば……。
次に驚きは乗り心地のよさ。ドイツ製のライバルとは異なり、サスがよく動く印象で、日本の道に合っている気がします。というのも、細かな凹凸は拾わないけれど、路面状況をしっかりとドライバーに伝えてくれるのです。この絶妙なあんばいは「しっとり」という言葉以外、当てはまる言葉はなく。このよく動く足は、ブレーキング時により強く体感できます。というのも、イマドキのクルマとしては珍しく、ブレーキング時にフロントに過重がかかっているのが伝わるではありませんか。ブレーキは低速時はカックンになりがちですが、高速走行の時は実にコントローラブル。窓を開けるとドリルドローターらしい音が聞こえ、気分がアガること間違いナシ!
Dセグメントのスポーツセダンでありながら、運転しやすいのも特筆すべき点。まずフロントガラスにダッシュボードの映り込みが大変少ないのです。巡行時は盛大になるのは仕方ないとしても、通常走行時でも映り込みがあるとゲンナリするので、これはいいなと思った次第。Aピラーは太いものの、死角が少ないのも美質。サイドミラーも大きい上に、車両が近づくとミラーの端が黄色く光るタイプで機能性もしっかり確保。
やはり本領を発揮するのはdモードにしてからの高速ツーリング。硬めのサスセッティングはクルマのロールを程よく抑えながらも、乗り味の良さは失われない絶妙な塩梅。切れ味鋭いクイックなステアフィールは、スポーツセダンとは思えないほど。エンジンフィールは一層素晴らしく感じられ、コーナー脱出後にアクセル全開にしたい誘惑を抑えることができません。このようにdモードの味付けが実に絶妙で、スポーツモードにした途端、スパルタンな味付けになるクルマが多いなかで、誰もが楽しめるレベルに設定されています。アルファ ロメオに乗ったら、クルマ好きでなくても、きっとクルマ好きになることでしょう。そしてアルファ ロメオに触れたら、ほかはかすんでしまうのです。
「公道では絶対に使うな」と言われたレースモードを、人もクルマも少ない道で試してみました。おどろおどろしい排気音が室内に轟くなか、アクセルを踏んだ瞬間、クルマが猛発進。アクセルペダルとタイヤが直結したかのようなフィールは最高なのですが、逆にしっかりクルマをコントロールしないと壁に突っ込む印象。500馬力のクルマの多くが四輪駆動であるなか、二輪駆動で500馬力は確かに危険! その昔のスーパーカー、フェラーリ F40とスペック的には変わらないのですから……。
心を落ち着かせてnモードに戻して高速道路へ。ジュリア・クアドリフォリオには、車線監視機能付きアダプティブ・クルーズコントロールが搭載されています。「イタリアの自動運転レベル2の実力は?」と気になり試すと、動作するではありませんか! ですが、レーンキープ能力は、日本車ほどはない印象。直線基調は問題ありませんが、東名の山北区間とかは厳しいでしょう。
【まとめ】優等生ではなくチョイ悪
そんな表現がピッタリなジュリア・クアドリフォリオ
ドイツや日本車のような優等生ではなく、昔流行った言葉を使うなら「チョイ悪オヤジ」の怪しい魅力に満ちたアルファ ロメオ/ジュリア・クアドリフォリオ。素晴らしい1台です。「ここまでハイパワーでなくても」「もう少し燃費をなんとかして……」と思いつつも、クアドリフォリオの魅力に触れると仕方ないのかなとも。四葉のクローバーのついたクルマを手に入れた方は、絶対に幸せな人生を送れることでしょう。この素晴らしいアルファ ロメオに最大の賛辞を送るとともに、クルマ好きなら一度触れてほしいと願わずにはいられません。
一方で1000万円オーバーという金額や、燃費、トランクスルーだと……などが頭に浮かぶ筆者は、クアドリフォリオは身分不相応にもほどがあり。ですが、ジュリアには約半値でスプリントが用意されています。こちらが本命か!? と思いつつ、リポートできる日を心待ちにしたいと思います。
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