●Apple Carのアイデア
年末、アップルの自動車が2024年にもやってくる、というニュースが出てきました。また、実はテスラがアップルによる買収を持ちかけていた、という話も。とにかくシリコンバレーでは、アップルと自動車を結びつけたがっている印象すらあります。
確かにシリコンバレーでは、レクサスRXにセンサーをたくさん積み込んだ、アップルの自動運転車の試作版が走行している様子が目撃されています。しかしアップルがどこかの砂漠に自前のテストコースを用意したり、アップルブランドの自動車を作り始めているというニュースはまだ目にしていません。
筆者は、アップルが本当に自動車を作るのか、依然として懐疑的な見方をしています。
というのも、数年前、「アップルがテレビを作っている」という話が出ました。確かに2019年のWWDCでは「ProDisplay XDR」という、60万円のプロ向けディスプレーは登場しましたが、テレビではありませんでした。 一方、2019年3月のイベントで、Apple TV+を発表した際、ソニー、Vizio(米国の低価格テレビのトップブランド)、Samsung、LGといったスマートテレビに直接Apple TVアプリを用意し、セットトップボックスとしてのApple TVがなくても、アップルの映像コンテンツが楽しめる環境を整備しました。
アップルはハードウェアではなくソフトウェアを作ることで、同等の体験をより広く展開する戦略を採ったのです。 自動車についても、このパターンを採用し、Apple Carアプリが動作する自動車を拡大させていく戦略が現実解になりうると考えました。その際、アプリが自動車のどの程度の深度まで入っていくのか? が注目です。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
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