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松村太郎の「アップル時評」ニュース解説・戦略分析 第125回

リサイクルテクノロジーの面白さ:

アップルの技術を結集した「HomePod mini」音質に満足

2020年12月08日 09時00分更新

文● 松村太郎 編集● ASCII

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 前回の記事はHomePod miniを取り巻く背景と、マーケティング的にこのタイミングで勝機があるのかという話をしてきました。今回はいよいよHomePod mini本体に迫ります。

 HomePod miniのお尻からは布で巻かれた電源ケーブルが伸びていますが、その先はなんとUSB-C。HomePodのお尻からは直接壁のコンセントに差し込むケーブルが伸びていました。つまり電源パーツを内蔵していたわけです。

 しかしHomePod miniはコンパクト化のために電源を外に出され、USB-CポートはiPad Airに付属する形でデビューしたアクセサリ、20W USB-C充電アダプタを接続します。取材によると、以前の18Wモデルでは電源不足になるのだとか……。

●16インチMacBook Proと同じアイデア

 球体の上下をカットしたようなボディのHomePod mini。

 上の平面には、HomePodと同様に、Siriの動作を表すタッチセンサー入りのディスプレーが配置されており、うっすらとボリュームの「+」「ー」が印字されています。その中央もタップできて、タップで音楽再生とストップ、長押しでSiriといった操作が可能です。また下の底面にはラバーが配置されていますが、そこまで滑り止めになるわけでもない、という印象です。また、この底面のカットには、オーディオ性能的な意味合いもあります。

 HomePod miniの内部には下向きに配置されたフルレンジドライバーが埋め込まれており、底面部分には三角錐、アコースティックウェーブガイドが仕込まれています。下向きに発された音は、この三角錐に沿って全方位に拡がり、モノラルながら360度方向へと音があふれる仕掛けになっています。

 HomePod miniは、いわゆる無指向性スピーカーで、「ここが音を聴くにはベストのポジション」というポイントを作らず、どこでもまんべんなく音が楽しめることを目的としています。後述のステレオペアにすると、ちょうどココという気持ち良いポジションがありますが、基本的には部屋を音楽で満たす目的のものです。これはHomePodも同じアイデアで作られています。

 このフルレンジドライバーは、中音域を豊かで繊細に描き、ギターの音色は音の粒が揃い、また倍音もキレイに響くなど、満足度がとても高かったです。加えて低音域も、音が小さくても豊かに響き、音を大きくしても嫌な振動(ビビり)がありません。これは、フォースキャンセリングパッシブラジエータといわれる機構により、余計な振動なく、豊かな低音再生を実現しています。

 このように低音を大きく出してもビビらないテクニックは、16インチMacBook Proに搭載したデュアルフォースキャンセリングウーファーと同じアイデアだと言います。振動をボディの中で打ち消しておくことで、低音は豊かなのに本体やテーブルがビビらない仕組みとなっており、結果的に低音に長けたオーディオ再生を実現するというわけです。

 ただし、スピーカーを平面に反射させて音を広げるため、テーブルや台の上に設置する必要があります。壁にくっつけたり、吊ったりしても、HomePod miniのオーディオ性能が最大限に発揮されない点は、注意が必要です。

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