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「Slack Tour Japan Online」開催、両社社長が自らのSlack活用法や自社の業務改革を語る

経営者はSlackをどう活用? ソフトバンク、日本IBM社長が自社事例紹介

2020年11月13日 07時00分更新

文● 大塚昭彦/TECH.ASCII.jp

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ソフトバンク宮内氏:トップメッセージからiPhone販売店報告まで多様なチャンネル

 ソフトバンク 社長の宮内謙氏は、コロナ禍という大きな出来事を契機として、「デジタルコミュニケーション革命」「デジタルオートメーション革命」「デジタルマーケティング革命」という3つの“革命”が「一気に、かつ本格的に進み始めた」と切り出した。

 「そしてこの『デジタルコミュニケーション革命』において、ソフトバンクでは5万ID規模でのSlack全社導入を決定し、社員全員が毎日のようにコミュニケーションの精度を上げている」「迅速なコミュニケーションで、むしろ業務を加速できている」(宮内氏)

 新型コロナウイルスの感染が拡大した今年4月ごろは、宮内氏も「社員の在宅勤務率が8割、9割になって、本当にやっていけるのか」と心配していたという。だがその後、SlackやZoomといったデジタルコミュニケーションツールを導入したことで、現在では「むしろこれまでのインパーソン(対面)のコミュニケーションよりも“深い”コミュニケーションができることに、心から納得している」と語る。

 「従来は常に電話、あるいは会議室に集まるといったコミュニケーションが中心で、新入社員から『会議の多い会社だ』と言われたこともあった(笑)。人間というものは何かきっかけがないと、なかなか過去の仕組みや業務オペレーションを変えることができない。しかし、COVID-19という大きな出来事がコミュニケーションの新たなやり方を加速させている。ソフトバンクでも、Slackを使ったさまざまなコミュニケーションが非常にうまくスタートしている」(宮内氏)

ソフトバンクでは多様なチャンネルを作成してSlackの全社活用を進めている

 ソフトバンクでは、Slackのチャンネルをさまざまな用途で活用し始めているという。宮内氏は、社内における6つの活用例を紹介した。

 まず、宮内氏自身が「一番うれしいと思っている」と紹介したのは、トップメッセージの全社展開、全社員とのコミュニケーションの実現だ。従来は四半期に一度のタウンホールミーティングを通じてトップメッセージを伝えていたが、Slackを通じていつでも全社員とのコミュニケーションができるようになり、経営者としての考えを社内に浸透させやすくなった。

 「たとえば入社式やキックオフミーティングのようす、自社イベントの開催結果、あるいは興味深い記事といったものを流している。先日は『ホークスが優勝したぞ!』と流したりもした(笑)。そんな全社員とのコミュニケーションがいつでもできる」(宮内氏)

 また、組織の壁を超えた社内の「アイディア募集」、意見交換にも活用しているという。たとえば同社はZoomユーザーであると同時に販売パートナーだが、宮内氏がZoomの使い方に関する課題や拡販アイディアを社内に募ったところ「1日で30件を超えるくらいのアイディアが返ってきた」という。

 また「iPhone 12」の発売に合わせて、全国の販売店向けに「販売報告チャンネル」を作成。「北海道から沖縄まで、販売店にどんなお客さんが来て、どのくらい受けているのか、どんな店頭ディスプレイをしているのかといったことを、動画や写真でどんどん送ってもらっている」(宮内氏)。

活用例その1は「トップメッセージの発信」。日常的に発信して社員とのコミュニケーションを加速させる

組織の壁を越えたアイディア募集、全国の店舗からのiPhone販売報告などにもSlackを活用

 Slackの特徴である外部アプリケーション連携も活用している。たとえば、AIボットが総務部門やIT部門などへの問い合わせに自動応答する社内システム「社サポBrain」をSlackと接続し、Slack上から効率的に問い合わせ可能なかたちにした。また、同社では営業職向けに、1時間ごとに新規契約獲得の情報を社内配信する仕組みを持っているが、これもRPAを使って自動的にSlackへ情報が流れる仕組みを構築している。

 最後の活用例は、“社員たちの憩いの場”だという「おすすめランチ」チャンネルだ。「美味しいランチのお店情報を社員で共有する。わたし自身もこのチャンネルをのぞいたりしているが、こういうチャンネルがあれば楽しくやっていける」(宮内氏)。

社員サポート窓口のチャットボット、営業職への販売実績データ配信などもSlackをインタフェースとして活用

「おすすめランチ」のように、社員が楽しんでコミュニケーションできるチャンネルを作ることもポイント

 宮内氏は、企業規模が大きくなるほど起きがちな“大企業病”、社内コミュニケーションがうまくいかなくなる課題を「縦横ななめ、あらゆる方向のコミュニケーション」で一気に解消でき、さらに新たなアイディアの社内共有を通じて企業成長にも貢献できる、とSlackを高く評価する。今後はグループ内の関連会社、世界中のグループ社員全体でSlackの活用を進め、「シナジーが生まれることに期待している」と語った。

現在はソフトバンク、ヤフーがSlack活用の中心だが、グループ全体に活用の輪を拡大してシナジーを創出する狙いだと話した

 なお、Slack導入にあたってソフトバンクでは、「全社統一で、システム部門が音頭を取って導入する」「部門ごとにアンバサダー、Slackに詳しく何でも相談できる人を置く」といった取り組みを行っている。同社では企業顧客に対して、こうしたノウハウも含めてSlackを提供することができると語る。「皆さんもぜひSlackを使って、デジタルコミュニケーション革命を担っていただきたい」(宮内氏)。

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