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アイレップ、東京電力エナジーパートナーが自社ノウハウを披露、「Slack Tour Japan Online」講演レポート

Slack活用を社内で定着化させるポイントは? 導入企業2社に聞く

2021年01月18日 08時00分更新

文● 末岡洋子 編集● 大塚/TECH.ASCII.jp

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 あらゆるITツールと同様に、Slackも「導入すれば終わり」というわけにはいかない。社内のエンドユーザーへの浸透と定着化を図り、活用をサポートしていかなければ、導入効果を最大化することはできない。

 それでは高い導入効果を生んでいる企業は、Slackをどのように導入し、展開したのか? 2020年11月に開催されたオンラインイベント「Slack Tour Japan Online」で、アイレップと東京電力エナジーパートナーの2社が、それぞれのノウハウを具体的に明かした。

(左から)モデレーターを務めたSlack Japanのプネル・フランソワ氏、アイレップの柴山 大氏、東京電力エナジーパートナ-の飯塚孝高氏

Slack導入の「目的」を明確にし、KPIを発信する

 まず、Slack自身が掲げる効果的な展開のためのポイントは、(1)明確な目的とKPIの発信、(2)アンバサダー・ネットワーク、(3)Slackで実装すべきユースケースの提示の3つだ。モデレーターを務めたSlack Japan カスタマーサクセス部 シニアカスタマー サクセスマネージャーのプネル・フランソワ氏は、「この3つのポイントを抑えることができれば、Slackを効果的に活用できる」と語る。

Slackが考える、Slackを効率的に展開するための「3つのポイント」

 それではこの日登壇した2社では、実際にこれらのポイントがどう実現されているのだろうか。

 博報堂DYグループに所属するデジタルマーケティングエージェンシーのアイレップでは、約1000人の社員と外部の200人を合わせたおよそ1200人がSlackを使っている。ワークスペース数は24、チャンネルは約6900あり、1日およそ2万5000件ものメッセージが飛び交っているという。

 アイレップ 執行役員 テクノロジービジネス事業部 UnitManagerの柴山大氏は、同社では「工数削減」と「情報のオープン化」を狙いとしてSlackを導入したと説明する。

アイレップ 執行役員 テクノロジービジネス事業部 UnitManagerの柴山大氏

 1つめの工数削減は、さまざまなSaaSを導入した結果“業務の分断”が生じており、それを解決したいという意味だ。「1日に10種類くらいのクラウドサービスを使う社員もいる。チケット登録のため“だけ”に進捗アプリを立ち上げたり、営業日報記入のため“だけ”にSFAを立ち上げたり、という状況だった」(柴山氏)。

 そこでSlackを“コマンドセンター”として活用し、こうした工数を削減しようという狙いだ。Slackは接する時間が最も長いコミュニケーションプラットフォームであり、コマンドやボットを通じて他の業務アプリと連携させることができる。

アイレップにおけるSlack導入の狙い、1つめは「工数削減」

 2つめの情報オープン化は、組織が大きくなるにつれてどうしても業務の縦割り化が進み、人と情報の流動性が低下してしまうという問題意識からだ。キーワード検索することで組織の壁を越えてノウハウや知識を持つ人を発見したり、誰かのつぶやきから新しい情報に出会えたりと、こちらでもSlackの効果が発揮できている。

 こうした成果を受けて、柴山氏はSlack導入は「狙い通りに進んでいる」と語る。自身も社内のテクノロジー推進を担う執行役員であり、Slack展開における経営層からのサポートも重要な要因だと説明する。

2つめの狙いは、組織の壁を越えた「情報のオープン化」

 東京電力の小売部門である東京電力エナジーパートナーでは、RPA推進プロジェクト、新コンタクトセンター構築プロジェクトなど、特定プロジェクトに限定してSlackを活用している。アクティブメンバーは数百人、チャンネル数は約200で、1日のメッセージは3000件程度だという。

東京電力エナジーパートナー DX推進室の飯塚孝高氏

 同社 DX推進室の飯塚孝高氏は、「組織階層によるコミュニケーションのロス」がSlack導入の狙いだったと説明する。メールによる“伝言ゲーム”的なコミュニケーションでは、各担当者が理解していないなどの理由で「情報が劣化」する可能性がある。そこでSlackを、本当に困っている人が直接つながるプラットフォームとして活用している。

 アイレップの導入事例がどちらかと言えばトップダウン式だったのに対し、東京電力エナジーパートナーの場合、利用促進はボトムアップ式だ。飯塚氏をはじめ、ビジョンを理解している人が少しずつ仲間を増やしながら利用を進めている。たとえば「お弁当の注文はSlackでないと受け付けない」など、日常的な場面で使ってもらうように工夫していると語る。

東京電力エナジーパートナーでは「組織階層によりコミュニケーションロスをなくす」ことを狙いSlackを導入。社内への浸透や定着化はボトムアップ式で進めている

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