「Slack Tour Japan Online」開催、両社社長が自らのSlack活用法や自社の業務改革を語る
経営者はSlackをどう活用? ソフトバンク、日本IBM社長が自社事例紹介
2020年11月13日 07時00分更新
Slackは2020年11月12日、年次グローバルカンファレンスの日本版「Slack Tour Japan Online」をオンライン開催した。
午前のオープニングキーノートでは、CEO兼共同創業者のスチュワート・バターフィールド氏らが、コロナ禍におけるオンラインコラボレーションの重要性や「イベント駆動型エンタープライズ」の実現というSlackのビジョン、さらに「SlackコネクトDM」「ワークフローへの外部アプリ組み込み」といった新機能群(一部は将来リリース予定)について紹介した。
またSlack Japanによるカスタマーキーノートでは、Slack導入企業からのゲストとしてソフトバンク 社長兼CEOの宮内謙氏、日本IBM 社長の山口明夫氏が出席。自らも日常的にSlackを積極活用しているという両氏から、具体的なSlack活用の取り組みやその成果が紹介された。なお同日には、ソフトバンクによる国内最大規模、5万アカウントの全社導入がスタートしたことも発表されている。
本稿ではとくに日本向けカスタマーキーノートの、ソフトバンク、日本IBMにおける活用事例にフォーカスしてお伝えする。オープニングキーノートで紹介された新機能群については、以下の関連記事で紹介しているのであわせてお読みいただきたい。
Slack佐々木氏:「新しい働き方」に取り入れるべき要素3つを説明
カスタマーキーノートではまずSlack Japan 日本法人代表の佐々木聖治氏が、コロナ禍以後の“ニューノーマル時代”の日本企業で求められる働き方や、その実現に向けた課題について語った。
Slackがナレッジワーカーを対象に実施したグローバル調査「リモートでの従業員体験レポート」では、リモートワーク/在宅勤務環境下にある日本企業の従業員は「仕事における帰属感」「生産性」という2つの点で、グローバル平均と比べてスコアが著しく低い結果が出ている。
「日本企業の多くでは、リモートワークによって『会社や組織とのつながり、一体感が薄れている』、また『生産性も下がってしまった』と感じているようだ。さらに、この調査では日本における(ナレッジワーカーの)在宅勤務実施が17%にとどまることもわかった。これはグローバルで最も低い数字。日本ではリモートワークそのものが進んでいないことが浮き彫りになった」(佐々木氏)
緊急事態宣言が解除され、リモートワークを実施していた企業でも“オフィス回帰”の動きが見られる中で、「この変化の時代において、それは最適な選択肢なのだろうか」と佐々木氏は問いかける。ニューノーマルの時代には、オンライン/オフラインを組み合わせたハイブリッドな職場環境が当たり前になると言われている。上述した日本企業の課題を解消してそれに備えるために、これから「新しい働き方の再構築が不可欠」だと、佐々木氏は強調する。
「新しい働き方」で取り入れるべき要素について、佐々木氏は3点にまとめた。「デジタル上の職場」という新しい概念を取り入れること、生産性向上のために「非同期型コミュニケーション」増やすこと、そして組織全体の目標と方向性をそろえる「チャンネルベースのプラットフォームへの統一」だ。
「仮想空間上で社員がつながることができれば、物理オフィスへの出社が制限されていても社員の帰属感、エンゲージメントは高められる。また、個人に応じて働く時間帯や場所が多様になるため、非同期型でコミュニケーションが取れるようにすることが生産性向上に不可欠。そして、社内/取引先/業務システムを統一するチャンネルベースのプラットフォームを備えることで、変化の激しい環境下でも組織のスピードを保ったまま、目標に向けて社員一人ひとりの足並みをそろえることができる」(佐々木氏)
こうした新しい働き方の実現に向けて、企業経営者が自らSlackの導入を決定、採用するケースが国内でも増えていると佐々木氏は語る。業種や規模を問わずSlackの導入は拡大しており、今年度上半期(2020年2月~7月期)における前年同期比の成長率は、収益が82%増、有料ユーザー数が81%増となった。さらに、社外取引先/パートナーとチャンネルを共有できるSlackコネクトの利用率(有料ユーザーにおける利用割合)は、前年同期比で151%増加している。