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IoTが眼を手に入れた 巨大な監視カメラネットワークを運用できる「Edge Gateway」

単なる映像記録に留まらない映像解析・活用ソリューション

 国が推進するスマートシティ構想では、多数のセンサーが街中のいたるところに設置され、そこから得られる情報に基づいて、我々の生活が安全・安心、便利で豊かになるとされている。そのセンサーの代表的なものが監視カメラであり、既に普及も進んできているが、同時にその課題も明らかになってきている。それらの課題に応えるため、横河電機株式会社の100%出資で設立されたアムニモ株式会社がLTE対応のIoT Gateway「Edge Gateway」の販売を開始した。

 「Edge Gateway」は特に監視カメラのシステム構築に適したGatewayで、最大4台までのIPカメラを同時に接続できる。以下、10月21日に開催された「Edge Gateway」のオンライン記者発表会の模様を取材したのでレポートする。

監視カメラソリューションの課題

 これまでの監視カメラは、その時その場所で何が起こっているかを記録し、事後の証拠として保存することが目的となっていた。しかし、現在の監視カメラソリューションは録画された映像を解析し、それを活用することに比重が移ってきている。だが、現場ではさまざまな課題が顕在化してきている。

 たとえば数多くのカメラが同時運用されてくるようになると、そのうちのいくつかが機器のトラブルや停電などで止まってしまうことがある。また録画データが壊れてしまったりなくなってしまうというトラブルもありうる。カメラからサーバー/クラウドにデータを送る通信が不安定であったりコストが高くなってしまう問題もあった。

 さらに、単純な映像の保存から、録画映像データ活用へと進むには、映像内のプライバシーなどに配慮する必要もある。それを全国に展開される数千から数万台の監視カメラに対して適用するためには、運用側が使いやすいシステムになっていなくてはならない。

 「Edge Gateway」はこれらの課題に対応するために、電源回路の強化などによる高い信頼性の確保や、自社開発によるコスト低減を達成し、さらにはクラウド連携したDMS(デバイスマネジメントシステム)およびVMS(ビデオマネジメントシステム)を提供して運用・保守の労力やコストの大幅な低減を実現している。

Edge Gatewayが提供する機能

 「Edge Gateway」は、VMSを動かすLinuxコンピュータを中心に、複数の監視カメラを接続し電源の供給を行うPoE Switch、内蔵SSDへの映像録画モジュール、取得したデータをクラウドに送るLTEルーターの計4つのモジュールによって構成されている。

 従来は複数機器の組み合わせで実現していたこれらの機能を、自社開発で1つの装置に収めた。結果、全ユニットでの信頼性試験の実施による高い信頼性の確保や、モジュール間の機能重複を避けることによる低コスト化、4つのモジュール全体の監視やリセットなど運用上の安定性の向上が実現できた。

 災害時の安定運用を実現するため、「Edge Gateway」には通常のSIMが2枚とeSIMが2枚搭載でき、合計4つのキャリアとの接続が可能となっている。また、GPSも搭載されており、映像データの正確な場所と時間を記録ができる。

 現在は屋内向けの「Edge Gateway Indoor」の開発が完了したところだが、今後は屋外に設置可能な「Edge Gateway Outdoor」や、映像を解析して事件・事故発生の即時もしくは事前の対処を可能とするAIチップを搭載した「AI Edge Gateway Indoor」、「AI Edge Gateway Outdoor」などの開発を進めている。

巨大監視カメラネットワークの運用・保守のためのクラウドソリューション

 「Edge Gateway」による巨大な監視カメラネットワークの保守・運用をサポートするためにクラウド上で提供されるのがDMS・VMSだ。

 DMSは監視カメラ(および「Edge Gateway」自身)が正しく稼働しているかどうかを監視し、ファームウェアやアプリケーションをリモートで更新する機能を備えている。さらにトラブル発生時にはログや設定をリモート環境で確認・修正する機能も提供される。

 VMSは全てのデバイスから取得された映像データを統合管理するシステムだが、実はオリジナルのデータは「Edge Gateway」側に保存されており、通信コスト低減を目的にクラウドにはサムネイルのみ送信される。必要になった映像データのみクラウド側に送って確認できるようにしている。また、特定のカメラに対してのみライブ映像を配信させることも可能になっている。

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