横浜を走る国産初の連節バス「ベイサイドブルー」はハイブリッドで快適!

文●鈴木ケンイチ 編集●ASCII

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 7月23日から、横浜駅東口(バスターミナル)からみなとみらい地区を巡り、山下ふ頭までを結ぶ、新たなバス路線「ベイサイドブルー」の運行がスタートした。ここでは、国産初となる連節バス「日野ブルーリボンハイブリッド連節バス」が使われている。

 ちなみに“連節バス”は何かといえば、2両以上の車体がつながったバスを意味する。これまで日本各地で運用されたことはあったが、それらはすべて輸入車であった。ところが、今回のものは日野自動車といすゞ自動車によって共同開発された、初めての国産の連節バスとなる。どういう経緯で横浜に連節バスが走るようになったのか、また、実際に乗ってみると、普通のバスとどのように違うのかをレポートしたい。

バスの寸法は全長17.99×全幅2.495×全高3.26m。8866㏄のディーゼル・エンジンにモーターのハイブリッド。7速AMTを搭載

新たな観光名所がオープンする
みなとみらい21エリアに新しい交通を

 「新しいバス路線“ベイサイドブルー”は、平成27年(2015年)に作られた『横浜市都心臨海部再生マスタープラン』の中の“まちを楽しむ多彩な交通の充実”のひとつとして計画されました。ちょうど2020年前後に、みなとみらい21地区等に新しい施設がいくつもオープンすることがあり、それらを結ぶ新しい交通が求められたのです」と横浜市都市整備局都市交通部都市交通課長である橋詰勝彦氏は説明する。

横浜駅周辺から山下ふ頭などの地域限定の市バス・地下鉄一日乗車券で、500円で一日乗り放題の「みなとぶらりチケット」

 新しい施設とは、昨年暮れにオープンした新たな商業施設「横浜ハンマーヘッド」や同エリアに移転してきた「横浜アンパンマンこどもミュージアム」、等身大ガンダムを擁する「GUNDAM FACTORY YOKOHAMA」(年内オープン予定)などだ。これまでも、みなとみらい21地区を巡るバスはあったものの、ベイサイドブルーのように、横浜駅から山下ふ頭までを一つの路線で結ぶものはなかった。

 「たくさんの人を一度に運ぶことができ、しかもシンボル性の高いものが良いのではないかと、連節バスが候補に挙がりました」と橋詰氏。ちなみに「輸入車になるかもしれないと思っていましたが、公募入札の結果として日野自動車の連節バスを使うことになりました。メンテナンス面では国産車の方が安心感はありますね」と小谷野氏。

半年にも及ぶ運転手の訓練と多数の道路の改修

 連節バスは2両のバスをつなげたものであるため、全長が17.99mもある。最小回転半径は9.7mと、8.3mの通常のバスと、それほどの違いはないが、それでも曲がるときに車両の後ろ側の振り出し幅は大きい。そのため運転手の訓練は2月からスタートし、約半年をかけるほど念入りに行なわれたという。また、バス停も大きなスペースが必要であり、信号などの停止線の位置など、道路の改修も数ヵ所行なわれた。

街中にあるベイサイドブルーのバス停。専用のマークがって見つけやすくなっている

 「訓練で街を走りますので、それを見た方から、“孫が乗りたがっている。いつ走るの?”といった問い合わせもいただいています」とは横浜市交通局自動車本部路線計画課の小谷野貴弘氏。2月に車両発表会、7月には運行開始記念式典を開催するなど、連節バスに対する注目度は高いとか。

 「連節バスの運転は難しいんですね。トレーラーと同じように考える人もいますが、2両の支点となる場所が違うので、後ろの車両の動き方もより大きく外に出ます。ハンドルの切り方を失敗すると、後ろ側が隣のレーンにはみ出てしまうこともあります。また、ハイブリッドによるモーター発進は力強いのですが、その分、アクセル操作も丁寧にしないといけません。それに運転手は車内外を監視・記録する12ものカメラのうち、7つのカメラをチェックしながら運転しています。そうした運転の大変さを考慮して、運行時間に余裕を持たせています」とは横浜市交通局自動車本部車両課長の石渡浩之氏。やはり、連節バスの導入は、普通のバスとは違った苦労があるというわけだ。

大きなカーブを曲がるベイサイドブルーバス。最小回転半径は9.7mとなる

車両の先頭部分がカーブになると見える

 ベイサイドブルーに乗るということで、最初に手に入れたのが「みなとぶらりチケット」だ。横浜駅周辺から山下ふ頭などの地域限定の市バス・地下鉄一日乗車券で、500円で一日乗り放題。何度も乗り降りする取材にはうってつけのチケットだ。現在は、表紙にベイサイドブルーが印刷された特別バージョンが用意されているのもうれしいところ。横浜の地下鉄(ブルーライン)の駅などで販売されているし、スマートフォンアプリ「my route」からもデジタル乗車券が購入可能だ。

 ベイサイドブルーの運行は1時間に2本ほど。乗ったのは8月上旬の平日の昼前だが、発車10分ほど前には15人ほどが列を作っていた。ただし、連節バスの乗車定員は113名もある。15名ほどであれば、余裕をもって座ることができる。

 ベイサイドブルーの車内は、落ち着いた木目調の床にライトグレーのシート。シートにはベイサイドブルーのシンボルマークが刺繍で飾られている。窓が大きく明るいのも特徴だろう。前と後ろの車両をつなげる接続部は床に丸いターンテーブルが見え、脇はジャバラになっており、走行中は立ち止まり禁止となる。一番後ろの座席につくと、10m以上も先の先頭は、はるか彼方。その距離感はバスというよりも、欧州の都市で乗ったことのある路面電車(トラム)のようだ。

前方と後方の車両をつなぐターンテーブル部。床の丸い部分が回転する。側壁はジャバラになっている

 車両はハイブリッドなので静粛性の高さが売りだが、最後尾の座席はエンジンの真上。残念ながらエンジンの音と振動をしっかりと感じながらの走行となった。しかし、前方の車両であればエンジン音はほとんど聞こえないはず。静かに連節バスを楽しみたいなら、前方車両の最後尾で、後ろ向きになる座席がいいだろう。目の前にあるターンテーブルがカーブごとに動く様を楽しむことができるのだ。一方、後部車両の一番後ろの席からは、連節部で屈折するバス全体の動きが見える。右カーブでは、窓越しに車両先端の運転手の姿さえ見ることができるのだ。これが連節バスならではの景色だろう。

車両の後端の席から前方を望んだところ。通常のバス2両分の長さという独特の眺めだ

 降りて、外から見るバスの姿もなかなかのもの。これほど長いバスは他ではめったに見られない。横浜みなとみらい21エリアの名物となることは間違いないはずだ。

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筆者紹介:鈴木ケンイチ

 

 1966年9月15日生まれ。茨城県出身。国学院大学卒。大学卒業後に一般誌/女性誌/PR誌/書籍を制作する編集プロダクションに勤務。28歳で独立。徐々に自動車関連のフィールドへ。2003年にJAF公式戦ワンメイクレース(マツダ・ロードスター・パーティレース)に参戦。新車紹介から人物取材、メカニカルなレポートまで幅広く対応。見えにくい、エンジニアリングやコンセプト、魅力などを“分かりやすく”“深く”説明することをモットーにする。

 最近は新技術や環境関係に注目。年間3~4回の海外モーターショー取材を実施。毎月1回のSA/PAの食べ歩き取材を10年ほど継続中。日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 自動車技術会会員 環境社会検定試験(ECO検定)。


 

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