先日、菅義偉官房長官が2018年8月に続き、「携帯電話料金は値下げできる余地がある」と発言。総務省が通信料金の値下げをなんとか実現させようと躍起になっている。
2018年以降、各キャリアで新料金プランが導入されたり、端末代金と通信料金を完全分離化するなどの試みは行なわれているものの、ユーザーとして「スマホ代が安くなった」という実感はない。
そんな中、総務省が値下げを実現する上で、次のターゲットにしているのがMNP、ナンバーポータビリティ制度だ。つまり、すでに契約しているキャリアから別のキャリアに移る際、今まで使っていた携帯電話番号をそのまま持ち出して、新しいキャリアでも使えるというものだ。
このMNP、近年、利用者数が減っている。そもそも、今まで、他キャリアに乗り換えれば、スマホに高額な割引が提供され、安価に購入できたり、商品券や現金キャッシュバックがもらえるなどの特典があった。さすがに何万円もの商品券がもらえるというのはやりすぎで是正の余地があったが、昨年10月の法改正により、端末割引に2万円という上限が設定されたため、MNPを使って他キャリアに移行する人がさらに減ってしまったのだ。
そこで、総務省としてはMNPの利用件数を増やし、顧客の流動性を上げることで、なんとか4キャリアの競争に繋げようとしているようだ。顧客獲得競争が起きれば、「通信料金を値下げして顧客を奪う」というキャリアが出てくるようになる。総務省としては、まさに料金値下げをしてくるキャリアを作るために、MNPの改善に着手するというわけだ。
総務省が検討しているのが、MNPの手続きにおける「ワンストップ化」だ。

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