ニューノーマルを模索する「NoMaps2020」はリアルとオンラインの融合イベントに
NoMaps2020の開催概要発表
未来の技術を社会実装していくことで、これからの北海道、日本の在り方を提案する「NoMaps」が2020年も開催される。新型コロナウイルスの影響により各種イベントがオンライン開催に舵を切っているなか、NoMapsはリアルの場にもこだわりを見せる。必要な対策を施しながら、いかにリアルの場を作ることができるか。また、オンラインではどのようなコンテンツの提供方法があるのか。NoMapsならではの視点でニューノーマルを模索していく。
4年目を迎えイベントとしてもアイディアハブとしても定着したNoMaps
「NoMaps」はビジネスカンファレンスを中心に、映画や音楽などエンターテインメントイベントを組み合わせたイベント。2017年に第1回が開催され、2020年で4回目となる。より良い社会を目指すアイディアを持つ人が集まり、考えるだけではなく実証実験などの行動に移すことを目指して活動を続けている。
7月20日の開催概要発表会はオンラインで開催され、広報担当の山岸 奈都子氏が司会進行役として3Dアバターで登場するという現代的な演出がなされていた。そのなかで、NoMaps実行委員会の委員長を務める、クリプトンフューチャーメディアの伊藤 博之氏は次のように言葉を寄せた。
「イベントやミーティングはオンラインが当たり前になりました。こういう状況を逆手にとり、新しい技術やアイディアを取り入れていくべきだと考えます。一方でNoMapsはアイディアを持つ人と実施する人、自治体とスタートアップ、アイディアとアイディアをつなげる“場”としての役割も担ってきました。実際に人と人が出会ったり、新しい技術に手で触れたりするリアルな場も用意する予定です」(伊藤氏)
具体的には、ビジネスカンファレンスはオンライン開催に、第15回札幌短編映画祭はオンライン開催とリアル上映会とのハイブリッド、音楽ライブなどのエンターテインメントイベントもオンラインを軸にした新たな形態を模索する。
「beyond」をテーマに「さあ、超えていこう」というメッセージを発信
NoMaps事務局長の廣瀬 岳史氏から発表されたNoMaps2020のテーマは「beyond」。NoMapsで年間を通したテーマが発表されるのは初めてのことだ。並んで示されたメインビジュアルには、「不確かで、曖昧な、知らない未来を楽しもう」という言葉が添えられていた。
「ほんの少しの未来も見通せず、不安になっている人もいるでしょう。でも、こんな曖昧な中でも、知らない未来だからこそわくわくしていきたい、そんな想いを込めたキャッチコピーです。NoMapsは始めから、わくわくしながら新しい社会を創っていくことを目指していました。いま、社会全体が変わらなければならないという世相になり、NoMapsが担う役割を再び考え直す必要があると想い、改めてテーマを決めました」(廣瀬氏)
中心となるビジネスカンファレンスは、すべてオンライン開催となる。これまでとは違い、北海道に来ることができない人でも参加してもらいやすくなるだろう。オンラインのカンファレンスとして、Deep Dialogというトークセッション配信も既にスタートしており、こちらはYouTubeのNoMapsチャンネルから無料で視聴できる。
会期中に開催される札幌短編映画祭は、前述の通り今年で15回目。過去最多の3873作品が、108の国と地域から寄せられているとのことで、豊作が期待される。上田 慎一郎監督のように、短編映画から長編映画デビューするなど新たな人材を見つける場としても注目を集めている。
音楽ライブなどは屋内、屋外とも5千人以下、収容可能人数の半分以下に参加者を抑え、観客同士の距離も確保しつつリアルイベントを開催することを想定して準備が進められている。しかし今後の新型コロナウイルス感染拡大状況によっては内容が変わるかもしれず、手探りの状態だ。
リアルな場づくりは難しいが、春からの数ヵ月で守るべきポイントなどが見えてきていることもあり、やり方によってできることはあると服部氏は言う。街全体という大きな舞台でゆるく集まるようなイベントを考えているようだ。「シンクロニシティ2020(仮)」という名前だけ公開されたが、具体的な部分は秘された。
ほかにも新しい取り組みとして、学生連携企画も立ち上がっているという。街全体を歩いて体感できるイベントだったNoMapsが、いくつものチャレンジを超えてどのようなイベントに進化するのか。10月の開催が楽しみだ。