●iPhoneでもキャリア悩ませた周波数問題
世界的によく使われている周波数や通信規格に対応しているかどうかは、実はキャリアにとって結構、重要だったりする。
かつて、ボーダフォンを買収したソフトバンクは、iPhoneを売りにしていたが、一方で「つながりにくい」というクレームにも悩まされ続けた。なぜなら、NTTドコモやKDDIが持つ「つながりやすい周波数(プラチナバンド)」がボーダフォンにはなかったのだ。
しかし、孫社長が「プラチナバンドが欲しい」と喚き続けたことで、総務省から900MHz帯が割り当てられた。結果としてソフトバンクはつながりやすくなり、競争力が一気に増したのだった。
一方、規格と周波数に悩まされ続けてきたのがKDDIだ。
3G時代、世界で共通的に使える周波数帯としてバンド1(2GHz帯)が採用されたものの、使用する規格は大きく2つに分かれた。
NTTドコモやボーダフォン(当時)などはW-CDMA、KDDIはCDMA2000という規格を採用した。
世界的にはW-CDMAを採用するキャリアが多く、CDMA2000は劣勢であった。2007年にアップルがiPhoneを2Gで投入するが、その後、iPhone 3Gになった時はまずW-CDMAを採用した。すぐにソフトバンクが採用し、日本で展開できたものの、KDDIはCDMA2000だったため、採用したくてもできないという状況になった。
その後、アップルがiPhoneでCDMA2000に対応。アメリカではベライゾンが採用したのち、KDDIも導入することができたのだった。

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