まさかスーパーでヤシの実が買えるなんて
先日、食後のデザートにフルーツでも買おうと、スーパーに立ち寄ったんですよね。そしたら迷う迷う。
なんせ果物が豊富な季節です。もうスイカが旬なんだなとか、ビワを食べるとなぜか遠足を思い出すとか、キウイのCMソングって頭の中をぐるぐる回るよねなんて思いながらフルーツ売り場をうろついていたんですが、目移りしちゃってキリがありません。メロンも捨てがたいし、マンゴーも甘い香りを放っています。
で、さんざん悩んだあげく、結果手にしていたのはこれでした。
ココヤシの実。ココナッツです。
夏といえば南の島、南の島といえばヤシの木&ヤシの実。これほど夏を感じさせる物はありません。これがはたしてフルーツカテゴリーなのかと思わなくもないですが、フルーツ売り場にあったのだからフルーツなんでしょう。
このヤシの実は未成熟果です
ただ、普通のフルーツが果肉を食べるのに対して、ココヤシの実はちょっと異なります。ヤシの実っていうと茶色くてケバケバした繊維質に覆われているイメージがありませんか?
果肉とは皮と種子との間にある肉質の部分を指すことが多いのですが、ココヤシの果実は、その部分が空気を蓄えた繊維質で、水上に浮かぶ浮きのような役割を持っているんです。
だからココヤシの場合、ケバケバした繊維質の部分が、ほかの果物でいうところの果肉にあたるんですって。食べられるわけないですよね。
「あれ、でもこれ茶色くないじゃん。白いじゃん」と思われた方もいると思いますが、それはこの実が未成熟果のため。この白い部分が、熟すと乾燥した茶色い繊維になります。
西洋の城の塔みたいな形をしているのは周囲を覆っている外皮をカットしてあるからで、元は果物らしいちょっと縦長の球形。外皮は若いうちは緑色、熟すと茶色くなります。輸入するときの重量を減らすためと、殻と呼びたくなるぐらいめっちゃ固いので、加工してあるんじゃないかと思います。
「第227回 迫力満点の庭仕事道具、マチェットを買いました」の回で、テレビでヤシの実をマチェットでさくさくカットしているのを見たという話を書きましたが、まさにそのカット後の姿がこれでした。
穴を開けてジュースを飲みます
じゃあ、どこを食べるんだって話ですが、中の水分を飲み、内側にあるプルプルした部分を食べます。知らなかったんですけど種子の中身なんですね、あれ。
果汁っぽいですが果汁じゃなくて胚乳。種子が発芽する時に養分となるものです。液体胚乳と固形胚乳に分かれていて、液体部分はココナッツジュースとしてそのまま飲用になり、固形部分はココナッツオイルやココナッツミルクなどの原料になるそうです。
飲み方と食べ方はラベルに書かれていました。ココナッツジュースを飲むには底の真ん中に穴を開けてストローを突っ込むみたいです。アイスピックなどで開けるように書かれていましたが、持っていないのでナイフで代用してみました。
白い部分は縦方向の繊維なので、ほとんど抵抗なく刃先がスッと入りました。でもそこからが大変。そのまま穴を開けられるかと思ったら、めっちゃ固い。そういえば種子なんでした。固いのは当たり前です。
苦戦しながらも刃先の位置を数ミリ変えては突き刺すというのを繰り返したところ、1ヵ所だけナイフが入る手応えが。ここだ! とグリグリしてストローをさしてみたら無事貫通できました。
ココナッツジュースはほぼ透明で、味は薄めたスポーツドリンクみたいな感じ。ココナッツミルクとはまったく違うので、あれを想像して飲むとびっくりしちゃいます。ストローで飲んじゃったんで量はわからないんだけど、500mlぐらいはあったんじゃないかなぁ。全部飲んだら結構お腹がいっぱいになりました。
次は中身を食べてみます。
ナイフで切ってみましたが
ココナッツジュースを飲み終わったら尖っている方をカットして、中の固形部分を食べます。が、これがまた難関でした。全然切れないんです。
穴を開けた時と違って今度は繊維を断ち切る方向に刃を入れるので、切れなくはないものの手強くなります。切れ目を入れるのがやっとでした。
使っていたナイフにはセレーションと呼ばれるギザギザの波刃があります。ロープなどを切る時に使うものなので、繊維を切るにはもってこい。ここを使うと嘘のようにザクザク切れていきます。
でも種子は無理でした。さっきナイフを突き刺して穴を開けられなかったのに、切れるわけがありません。刃物を力を込めて使うと滑ったりした時に危ないので、ここでナイフは断念です。
マチェット登場!
こりゃノコギリで切るしかないかなと思ったんですが、ハタと思い出したのがマチェット。そうだよ、こういう時こそ使い所じゃんと。切れないなら割ればいいのです。振り下ろしてジャストミートさせられる気はしないので、ナイフでつけた切れ目にマチェットを差し込んで、ココヤシの実もろとも叩きつけます。
このマチェットは刃付けがされていないので切れ味はいまいちですが、それでも6、7回振り下ろしたら割ることができました。さすがマチェット。
薄味なので甘味を足したほうがいいかも
種子の内側に付いている白い部分が固形胚乳です。成熟するにつれてココナッツジュースが固形になっていくそうで、未成熟の実ではまだうっすらという感じ。食感はかなり柔らかくてプルプルしています。
味はココナッツジュースをさらに薄めたという感じ。何かで甘味を足したほうがおいしいかもしれません。
固形胚乳は未成熟果では少ししかありませんが、成熟果では厚さが1cm以上になるのだとか。ココナッツミルクはこの固形胚乳を水に浸して絞り出したもので、固形胚乳を乾燥させたコプラと呼ばれるものをしぼると、ココナッツオイルが取れます。また、コプラを細かくしてフレーク状などにしたものが、いわゆるお菓子などで使われる“ココナッツ”です。
繊維はロープなどになるし、種子の殻は器や民芸品になります。幹は材木になり葉っぱは屋根をしいたりカゴを編んだりするのに使われるそうで、ヤシの木&ヤシの実は捨てるところがないのだとか。
それにしても地元のスーパーでヤシの実が売っているとは驚きです。てっきり南の島かセレブなスーパーでしか買えない物だとばかり思っていました。まぁワタシが子どものころなんてキウイもマンゴーもなかったんで、今どきは普通なのかもしれませんね。皮がついたままの物もあるそうなので、見つけたら買ってみようと思います。ココヤシを育てるのもいいかも。
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