5Gになるけど、ユーザーの使い方が5G化するのは少し先?
さて、外出自粛の最中、日本でも5Gサービスが開始されました。まずは特定のスポットごとでのサービス提供となっており、各社のエリアは以下の通りです。
NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/area/5g/
au
https://www.au.com/mobile/area/
ソフトバンク
https://www.softbank.jp/mobile/network/area/map/
どんどんエリアが広がり、5Gスポットを意識せず5Gが利用できるようになって欲しい一方で、今まで実効速度で100Mbps程度だったモバイル通信が軒並み10倍になると、インフラへの負担も高まりそうであることは想像しやすいかもしれません。
もちろん、単純に10倍のバックボーンが必要だとは思いません。そもそも5G端末側も劇的に処理性能や表示性能が高まっているわけではないこと、そして現状のユーザーが10倍のデータ量を消費する手段を見出していないことにあります。
同じコンテンツを素早くダウンロードしたり、ストリーミングコンテンツをバッファするまでの時間は早まるかもしれません。ただし、それはデータ量が増えるわけではありません。ダウンロード時間が短くなるだけです。もちろん1度に必要な帯域は拡大しますが、すぐに解放されるわけで。
また、5GだからといってLINEのやりとりがすべて4Kビデオチャットになるわけでもありません。普段1日合計6時間スマホを使っている人が、5Gになったから12時間見続けるわけでもないでしょう。着々としたインフラ整備は継続すべきですが、何かが急に変わるわけではない、という予想をしています。
強いて言えば、今回の新型コロナウイルスが、ストリーミングサービスにとっては急な変化であり、技術的な発展のように順繰りにやってきて対応するような種類のイベントではありませんでした。想定外のパニックは常に技術やインフラを強くしていきます。
そして我々のライフスタイルも、おそらくなんらかの変化を経験しているはずです。これについてはまた、少し時間をおいて考えたいと思います。
筆者紹介――松村太郎
1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。
公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura
この連載の記事
-
第314回
Apple
アップル「iPhone SE(第3世代)」隠れた最大のイノベーション -
第313回
自動車
「10年後にはみんなEVになるんだから」と人は言うけれど -
第312回
自動車
スマホから自動車を買う テスラのユーザー体験 -
第311回
自動車
Tesla Model 3をポチるまで 決め手は航続距離と乗り心地 -
第310回
自動車
テスラを買ったワケ 最大の動機は「リスク回避」 -
第309回
ビジネス
Twitterジャック・ドーシーCEO退任 理由は「創業期を脱するため」 -
第308回
トピックス
忙しすぎてカオスな予定を量子AIに調整してもらいたい -
第307回
Apple
なぜiPodは成功したのか 20年経った今あらためて考える -
第306回
トピックス
大学オンライン授業、教室との「ハイブリッド化」は複雑怪奇 -
第305回
トピックス
トランプ大統領が巨大ITに締め出された事態の重み -
第304回
自動車
アップルは本当に電気自動車を作るのか - この連載の一覧へ