このページの本文へ

前へ 1 2 次へ

松村太郎の「"it"トレンド」 第294回

映像配信サービスの帯域制限と5Gについて

2020年04月03日 09時00分更新

文● 松村太郎(@taromatsumura) 編集● ASCII

  • この記事をはてなブックマークに追加
  • 本文印刷

5Gになるけど、ユーザーの使い方が5G化するのは少し先?

 さて、外出自粛の最中、日本でも5Gサービスが開始されました。まずは特定のスポットごとでのサービス提供となっており、各社のエリアは以下の通りです。

NTTドコモ
https://www.nttdocomo.co.jp/area/5g/

au
https://www.au.com/mobile/area/

ソフトバンク
https://www.softbank.jp/mobile/network/area/map/

 どんどんエリアが広がり、5Gスポットを意識せず5Gが利用できるようになって欲しい一方で、今まで実効速度で100Mbps程度だったモバイル通信が軒並み10倍になると、インフラへの負担も高まりそうであることは想像しやすいかもしれません。

 もちろん、単純に10倍のバックボーンが必要だとは思いません。そもそも5G端末側も劇的に処理性能や表示性能が高まっているわけではないこと、そして現状のユーザーが10倍のデータ量を消費する手段を見出していないことにあります。

 同じコンテンツを素早くダウンロードしたり、ストリーミングコンテンツをバッファするまでの時間は早まるかもしれません。ただし、それはデータ量が増えるわけではありません。ダウンロード時間が短くなるだけです。もちろん1度に必要な帯域は拡大しますが、すぐに解放されるわけで。

 また、5GだからといってLINEのやりとりがすべて4Kビデオチャットになるわけでもありません。普段1日合計6時間スマホを使っている人が、5Gになったから12時間見続けるわけでもないでしょう。着々としたインフラ整備は継続すべきですが、何かが急に変わるわけではない、という予想をしています。

 強いて言えば、今回の新型コロナウイルスが、ストリーミングサービスにとっては急な変化であり、技術的な発展のように順繰りにやってきて対応するような種類のイベントではありませんでした。想定外のパニックは常に技術やインフラを強くしていきます。

 そして我々のライフスタイルも、おそらくなんらかの変化を経験しているはずです。これについてはまた、少し時間をおいて考えたいと思います。

筆者紹介――松村太郎

 1980年生まれ。ジャーナリスト・著者。慶應義塾大学SFC研究所上席所員(訪問)。またビジネス・ブレークスルー大学で教鞭を執る。モバイル・ソーシャルのテクノロジーとライフスタイルについて取材活動をする傍ら、キャスタリア株式会社で、「ソーシャルラーニング」のプラットフォーム開発を行なっている。

公式ブログ TAROSITE.NET
Twitterアカウント @taromatsumura

前へ 1 2 次へ

カテゴリートップへ

この連載の記事

注目ニュース

ASCII倶楽部

プレミアムPC試用レポート

ピックアップ

ASCII.jp RSS2.0 配信中

ASCII.jpメール デジタルMac/iPodマガジン