硬派の極み。C1を駆け抜ける喜びに満ちる
「メガーヌR.S.のMT版でしょ」と思って試乗を開始。しかし、走り始めた瞬間に「これは別物」という感触に気づきます。普段の街乗りでは、ロードバンプの振動が体に襲い掛かってきます。MTと相まって、渋滞だけでなく都心での街乗りは正直辛いところ。近年各車のスポーツグレードな車種の中で硬いと思っていた「GT-R NISMO」や「フェアレディZ NISMO」の比ではなく、ピュアなレーシングカーに近いです。MTもそうですが、ここまで硬派な車は近年珍しいのではないでしょうか。
乗りながら「シャシーとは別物の車」という印象以上に「カップでこの硬さということは、トロフィーRはどうなってしまうんだ?」との疑問も浮かんできます。「日本にはシャシー仕様のATがピッタリ」という判断は大正解だと思いました。
ちなみにクラッチはとてもつながりやすく、初めてMT車を運転する人でも発進に苦労することはないでしょうが、輸入車の常である「ウインカーは左」なので、国産AT車に慣れた身には左手が大忙しです。さらに渋滞や信号の多い都心でMT車は辛く、正直申し上げてメガーヌR.S.を乗りながら苦痛を感じるほど。試乗は深夜から早朝に改めてすることにしました。
夜、内堀通りを一通り走った後、日本のニュルブルクリンクこと首都高速C1の内回りへステアリングを切って周回。これが半端なく楽しいのです! C1にボディーサイズがピッタリな上に、加速、減速はもちろんのこと、オンザレールのハンドリングは爽快そのもの。まさに水を得た魚。世の中にこんなにも楽しい乗り物があっただろうか、と誰もが思うことでしょう。都心部の渋滞で感じた「硬い」という感覚は次第に消えていきます。
何より3速、4速とシフトを操り、コーナー手前ではブレーキを踏んでシフトダウン。ガクつこうものなら無理な操作をしたお前が悪い、というあの感覚。車を積極的に動かす楽しさに満ち溢れ、メガーヌR.S.カップは最高の玩具に思えて仕方ありません。なによりとんでもなく速い! 踏めば一気にタコメーターがレブリミットへと駆けぬけながら、朝焼けに彩られた都心の景色が後ろへと消えて流れていきます。車って本当に素晴らしい。とある車メーカーのキャッチコピー「駆け抜ける喜び」そのものです。
クライマックスは溜池→築地から銀座S字を抜けての京橋、そして江戸橋JCTを急角度に左折し日本橋へ向かう、あの区間。アップダウンをしながらS字をリズミカルに抜けていくのですが、不安感や怖さはまったくなし。少しでもアクセルを踏めば、強烈に加速して次のコーナー、そしてアンダーブリッジへと向かいます。
アンダーブリッジの先、江戸川橋JCTまでの僅かな直線を車線を左に寄せながら力強く登坂。すぐにやってくる左の急カーブをブレーキを踏みながら2速へとシフトダウンをし、インにステア。コーナーを抜けてアクセルを踏めば、弾けるかのごとく強烈な加速で私を置いてきぼりに。法定速度内でもこんなに楽しめるなんて! しかし、だんだん通行量が多くなったのでC1を降りました。
普段使いの走行で気になるのはナビゲーションシステム。メガーヌは車両とスマートフォンをUSBで接続して、Android Auto、もしくはApple CarPlayを利用する。輸入元としては専用ナビシステムを用意する必要もなく、またユーザーとしても普段のスマホの延長線上で使えるので便利だ。
【まとめ】挑戦し甲斐のある1台
また受注をしてほしい
燃費はこの手のスポーツカーにしてはまずまず。13.8リッター/100キロをマークしました(約7km/L)。ぶん回さない限り、実用性も問題ないでしょう。
メガーヌR.S.とは大きく異なるメガーヌR.S.カップ仕様。筆者のように、この魅力の片鱗を知ってしまうと、他の車は物足りない気分になってしまうこと間違いありません。この「ジーキル博士とハイド氏」のような、わずか日本限定100台のメガーヌR.S.カップ仕様を手に入れた人は、我が国で幸せな人ランキングがあるとしたら、相当上位な人だと感じた次第です。
※燃費の計算が間違っていました。訂正してお詫びいたします。
そして、この上にトロフィー、そしてトロフィーRという、ほとんどレーシングカーといえる車両を用意するルノー・スポールの恐ろしさもあわせて感じましたし、それゆえにルノーの面白さを感じた次第です。今回のメガーヌR.S.カップが限定100台ですぐに完売した、という話を聞くと、日本にはこういった車を求める人が多いのはもちろんのこと、ルノー・スポールの奥深さを伝える上でも、このカップ仕様を定期的に限定販売、もしくは納期未定でも受注しては? と思った次第です。
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