パナソニック、及びオーデイオブランドの「Technics」(テクニクス)はドイツ・ベルリンのIFA2019に出展。オーデイオから映像まで、注目の出展内容を紹介する。
磁性流体搭載のハイエンド有線イヤホンを投入するテクニクス
まず、オーディオの大きな出展がTechnics(テクニクス)ブランドによる有線イヤホンのTechnics「EAH-TZ700」だ。
新開発したφ10mm磁性流体フリーエッジドライバーを1基搭載のハイエンドモデル。「普通のダイナミックドライバーは、真ん中の振動板のボイスコイルがついていて、エッジの外周部でサポートしているから音が歪む。EAH-TZ700ではボイスコイルの真ん中に磁石があるので、そのギャップに磁性流体を流し込む。スピーカーでいうダンパー構造にしている。ボイスコイルの動きが上下に制限されるから歪みが置きず、またエッジが柔らかくなるから、低域が伸びる」(テクニクス ブランドCTO 井谷哲也氏)という独自の設計だ。
10mmドライバーのユニットで100kHzまで伸びるハイレゾ仕様の設計で、実際の音をチェックしても伸びやかな音のレスポンスの鋭さ、低音の沈みの深さはハイエンドイヤホンらしい高音質。
元の技術はパナソニックの研究所が長年研究してきたもので、ドライバーユニットは岡山県の津山にあるスピーカー工場、イヤホンは佐賀県で組み立てるメイドインジャパンモデルだ。
「EAH-TZ700」は価格は1199ユーロ(約14万円)で、欧州では11月発売。IFA 2019が初披露になるが、9月7日から開催される大阪のポタフェスにも出展され試聴可能になるとのことだ。
もうひとつが、DJ用ヘッドホンの「EAH-DJ1200」。テクニクスがもともと手掛けていたDJプレイ用のヘッドホンで、「SL-1200MK7が出た時点でDJの方から要望がありまして、復活させることになった」(井谷氏)というモデル。
DJプレイに特化した構造として、DJプレイ中に片耳で音をモニターできるようにハウジングを回転させて固定できる設計。また、爆音が響くハコの中でリズムを取りやすいような音質チューニングがなされている。実際にIFA2019の会場でレコードをきいてみると、音のダイレクト感、低音のエネルギッシュさを特徴とするモニター系。価格は179ユーロ(約2万1000円)を予定しているとのこと。
会場内ではWi-Fi対応スピーカーの新製品「OTTAVA S SC-C30」も初披露。日本で発売中の「OTTAVA S SC-C50」を一回り小さくした欧州向けモデルだ。なお、発売に合わせて「OTTAVA S SC-C50」も含めて2台のステレオペアで音楽を機能も実装される。
サウンド関連では、DolbyAtmos対応の最上級シアターバーに「HT-HTB900」に新モードとして「ベルリン・フィルハーモニック・ホール・モード」が追加される。
ベルリン・フィルは地元ベルリンを拠点とする世界的な名門オーケーストラだが、パナソニックの技術者を派遣して、テクニクスのスピーカーR1を使ってホールの音響特性を測定。さらに、ベルリン・フィルの音の責任者にも実際に音も確認した上で実装された本物のサウンド。パナソニックの有機EL・液晶テレビにはベルリン・フィルによる映像配信「デジタルコンサート」の機能を実装されており、本家監修のサウンドを家庭で再現できることになる。
55型の業務用マスターモニター「MegaCon」
全白でも1000nit表示!
ハリウッドにも関連する映像関連の機器として、55型の業務用マスターモニター「MegaCon」を発表した。4K液晶によるマスターモニターで、コントラスト比は100万対1。
技術的な特徴は外側にある4K液晶パネルと、その内側にディミング用と2枚の液晶を透過する設計。バックライトもローカルディミング、2枚の液晶パネルとすべて連動して動作する構造となる。
55型の業務用マスターモニターとなると有機ELのイメージが強くパナソニックもハリウッド向けに販売を手掛けているが、「MegaCon」は有機ELでは不可能だった画面全白の条件で1000nitの画面輝度を実現できることで、正しくすべての条件の映像を確認するマスターモニターとしての条件を備えているモデルになる。なお、一部分のみのピーク輝度としても1000nit。
家具メーカーとしてコラボして作られた、使わない時には画面の透過するフルHDの有機ELも出展。画面を消灯した時には真っ黒の板という状態を回避できるアイテムとして有望だ。
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