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Xperia温故知新! 波瀾万丈な歴史を紐解く 第37回

Xperiaシリーズ最後のコンパクトハイエンド「Xperia XZ2 Compact」

2019年09月02日 10時00分更新

文● 君国泰将 編集● ASCII編集部

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 日本でAndroidスマホといったらXperia! というくらい、スマートフォンのブランドとして認知されている「Xperia」。常に最新の技術とスマホのトレンドを取り入れて業界の最先端を走るXperiaシリーズですが、その歴史は決して順風満帆ではありませんでした。これからのXperia、ひいてはスマートフォンの来し方行く末を、ソニー大好きライターの君国氏に写真とともに紐解いてもらう連載です(基本的に登場するのは国内で発売されたモデルのみです)。

XZシリーズ最後のコンパクトモデル
「Xperia XZ2 Compact」

 2018年6月に、コンパクトモデルの系譜として登場したドコモ「Xperia XZ2 Compact SO-05K」。「Xperia XZ2 Premium」や「Xperia XZ2」とともに発売された中で、コンパクトながらもハイスペックな機能を備えたモデルです。

 本体サイズは、約65×135×12.1mm、重さは168gと小型ですが重さはそこそこ。Xperia XZ2シリーズ特有の背面がラウンドしたデザインはそのままに、サイド面にメタルフレームを採用し、従来のコンパクトモデルにはない質感になっています。

 これまでのコンパクトモデルはディスプレーサイズが定番の4.6型(1270x720ドット)のアスペクト比16:9となっていましたが、Xperia XZ2 Compactでは5型(2160x1080ドット)のアスペクト比18:9へと大型高解像度化しました。長らくフルHDの壁を越えられませんでしたが、ようやくここにきてフルHD+になったのです。

 前モデル「Xperia XZ1 Compact」と比べてみても、縦は少し大きくなったものの横は65mmと変わらず。手に持ったサイズ感は同じのまま、より大きくきめ細かい画面で映像を楽しめるようになりました。また、アスペクト比も18:9になったことで、シンプルに縦画面の情報量が多くなり、横持ちの場合でもシネスコサイズの動画コンテンツをより大きく観られるといったメリットもできました。

 HDR(ハイダイナミックレンジ)にも対応となり、高画質エンジン「X-Reality for mobile」の進化により通常映像(SDR)をHDRへアップコンバートする機能のおかげで、上位モデルと同等のクオリティを保っています。

 スペックはSoCにハイエンドの「Snapdragon 845」を搭載。メモリーは4GB、内蔵ストレージは64GB、外部ストレージは最大400GBのmicroSDXCに対応と必要十分。バッテリー容量は2760mAh、OSはAndroid 8.0でした。また、下部のUSB Type-Cは、USB PDとQuick Charge 3.0に対応しています。

カメラはシングルながら強力な機能を装備

 Xperia XZ2 Compactのカメラはデュアルカメラ全盛の中、あえてシングルカメラを採用。約1920万画素、1/2.3型のメモリー積層型CMOSイメージセンサー「Exmor RS for mobile」となる「Motion Eyeカメラシステム」を搭載しました。静止画撮影では、被写体の動きを予測して写体を捉えてブレのない撮影が可能な「先読みオートフォーカス」や、AF/AEを追従しながら秒間10コマ最大10秒で100枚連写できる「オートフォーカス連写」といった機能を備えていました。

 また、これまではアウトカメラでしか使えなかった3Dクリエーターがインカメラを使った「セルフィースキャン」に対応。より、自分のアバターなどが作りやすくなりました。

 動画撮影ではフルHD画質にも対応した、最大960fpsのスーパースローモーション撮影や、HLG(Hybrid Long Gamma)フォーマットの4K HDRでの撮影ができたのです。

エンタメ機能はハイエンド譲り

 オーディオ機能としては、フロントスピーカーの音量は「Xperia XZ1 Compact」から20%増しとなり、バーチャルサラウンド技術「S-Force フロントサラウンド」も併せ、音楽や動画をより迫力のあるサウンドで楽します。Bluetooth接続は高音質ワイヤレスの対応コーデックとしてLDAC、aptX HDに対応。ハイレゾ音源の再生にも対応しており、周囲の騒音を最大約98.0%まで低減するデジタルノイズキャンセリング機能も同時に利用可能です。

 ほかにも、CDやMP3などの圧縮音源をハイレゾ相当にアップスケーリングする「DSEE HX」など、ソニーのウォークマンと同等の機能を有していました。

コンパクトモデルとしての完成度は最高峰だった

 Xperia XZ2シリーズのデザインを踏襲しているのでサイドにあった指紋認証センサーは背面に移動。イヤホンジャックも廃止されました。上位モデルに搭載されたワイヤレス給電規格「Qi」 (チー)や、映像やゲーム・ミュージックビデオの音をリアルタイムに解析して、ソニー独自のアルゴリズムとアクチュエーターから、コンテンツに合わせて本体が振動する「ダイナミックバイブレーションシステム」は残念ながら外されてしまいましたが、フルセグではなくワンセグを搭載、モバイルネットワークの下り最大速度は644Mbps、IPX5/IPX8相当の防水性能とIP6X相当の防塵性能を備えるなど、スペックも機能も抜かりがありませんでした。

 ポケットに入れても邪魔にならないサイズ感のままで、高解像度化したディスプレーとハイスペックな性能。 本体はポケットに入れたままで高音質な音をワイヤレスフリーでも楽しむ、撮りたいと思った瞬間に取り出してシャッターチャンスをのがさないカメラ機能といったコンパクトだからこそのメリットが詰まったモデルだったのです。

 最近発売した「Xperia Ace」はミドルレンジモデルになったので、ハイエンドコンパクトとしてはこれが最後のモデルになっています。

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