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Xperia温故知新! 波瀾万丈な歴史を紐解く 第96回

コンパクトプレミアム「Xperia 5 III」はSIMフリーも登場し、シリーズの中核的存在

2022年04月25日 12時00分更新

文● 君国泰将 編集● ASCII

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 ソニーは2021年第3四半期、フラッグシップモデルのコンパクトタイプとして「Xperia 5 III」を発売。ここ最近は毎年9月にドイツで行なわれる展示会「IFA」で発表することの多かったXperia 5シリーズですが、2021年4月ソニー独自のプレスカンファレンスで、「Xperia 1 III」「Xperia 5 III」「Xperia 10 III」を同時に発表したのです。

 もしかしたら早く発売されるのかも!? そんな期待は見事に裏切られ、いつもどおりの2021年11月に国内の主要キャリアから発売。今年の4月22日にはSIMフリー版も発売されました。

 モデルチェンジごとにデザインが大きく変わっていたXperia 1以前と違い、Xperia 1/5シリーズからアスペクト比21:9をベースにした、タテに長いスタイリッシュなデザインをほぼ変えずに継続。Xperia 5 IIIもそれを踏襲し、変わらないスタイリングながらカメラ性能が劇的に進化しました。

 まずXperia 5 IIIのスペックですが、約6.1型(2520×1080ドット)の有機ELディスプレーを搭載し、SoCはSnapdragon 888、メモリーは8GB、ストレージは128GB。バッテリー容量は、コンパクトモデルにもかかわらず4500mAhと「Xperia 1 III」と同等です。本体サイズは、約68×157×8.2mm、重さは168g。

 カラバリはフロストブラック、フロストシルバー、グリーン、ピンクの4色展開。海外で先に発表された時は、ブラックとシルバーは光沢感のあるグロス仕様だったのに対して、日本発売モデルではフロストガラスを使用した限定色「フロストブラック」「フロストシルバー」に変更されています。もともとは「Xperia 1 II」のSIMフリーモデルに先行して採用されたマットな処理を施したフロスト仕上げが好評だったためか、「Xperia 1 III」ではすべてのカラバリでフロスト仕様を採用されているため、それに続いたものだと思われます。

日本限定のフロストブラック

背面のメインカメラは、焦点距離16mm(F2.2)の超広角レンズ、24mm(F1.7)の広角レンズ、そして高いAF性能を備える世界初の可変式望遠レンズを搭載。可変式望遠レンズは、その名のとおりレンズが動くことで、1つのレンズで70mm(F2.3)と105mm(F2.8)の2つの焦点距離で、被写体にクローズアップした撮影ができ、物理的にはトリプルカメラでありながら4つの焦点距離をもつスマホとなりました。

 αシリーズに搭載されている、動体を高精度に追従し続ける「リアルタイムトラッキング」や、人物にくわえて動物の瞳まで検出する、リアルタイム瞳AFを搭載。ソニーのカメラに長年採用されたZEISS(ツァイス)レンズやT*(ティースター)コーティングを施すなど、スマホがソニーの中核となっている事がうかがえます。

 最大60回/秒のAFとAEの演算処理を行ない、AF/AE追随しながら20コマ/秒の高速連写も可能で、動く被写体でもフォーカスや明るさをあわせた連写や、画像処理エンジンBIONZ X for mobileのノイズ低減処理の組み合わせにより、夜景などの暗所でも明るく、ノイズの少ない高精細な写真が撮影できるなど、スマホのレベルを大きく越えてきました。

 静止画撮影用のアプリは、「カメラアプリ」と「Photography Pro」の2種類あったものがPhotography Proに集約。モードダイヤルやRAWフォーマットでの記録といった、ソニーのデジタル一眼カメラ「α」シリーズを踏襲した使い心地と、高いAF性能や高機能を活かしつつ、よりカンタンな操作で気軽に撮影を楽しめる両方の使い勝手がPhotography Proだけで可能になりました。

Photography ProのUI

 動画撮影には、21:9アスペクト比で、映画のような撮影ができる「Cinematography Pro」を引き続き搭載。ドラマティックな表現ができる、4K HDR 120コマ/秒のスローモーション撮影が楽しいと言えば楽しいのですが、ベースとなった業務用カメラ「CineAlta」のUIを踏襲している、マニア受けは良いとして、素人にはかなりハードルが高いアプリとなっています。

 そのほか、ディスプレーのリフレッシュレート120Hz駆動に対応し、ゲームプレイ時には240Hzの残像低減技術により、動きの速いゲームコンテンツもくっきりなめらかに映し出せます。ゲームプレイ時には240Hzのタッチスキャンレートや、高速タッチレスポンスにより、俊敏な操作が必要なゲームでも指の動きを素早く正確に読み取って、意図したとおりの操作ができるという要素はスマホゲーマーにとってはとても重要な性能のひとつ。

 マニアックなソニー独自のアプリ「ゲームエンハンサー」が加わることで、ゲーム内の暗い部分を明るく表示して隠れている敵や障害物を見つけやすくなる「L-γレイザー」や、敵の足音や銃声など特定の音を際立たせる「オーディオイコライザー」、ボタンを押した約30秒前から録画される「RTレコード」機能など、フラッグシップのXperia 1 IIIとまったく同じものが搭載されています。

ゲームエンハンサー

 独自のボタンとして備わっている「Googleアシスタントキー」は、その名のとおり「Googleアシスタント」の起動のみにしか使えず……。できるなら「Xperia PRO」や「Xperia PRO-I」のように好きなアプリを割り当てられるカスタマイズ機能も備わってほしいところです。

 かつてXperiaのラインナップは、大型モデルから小型モデルまでを揃えていました。なかでも、小型モデルには特定のファンがいたほど。その一方で、大型モデルと比べると、解像度が低くスペックなども抑えられているなど、妥協点がいくつもあるのがお約束でした。

 ところがXperia 5 IIIはミリ波非対応、ディスプレイ解像度がFHD+、3D ToFセンサーやワイヤレス充電、おすそわけ充電といった機能は備わっていないものの、フラッグシップモデルである「Xperia 1 III」の性能はほぼそのまま。

 21:9というアスペクト比のボディーは思っている以上に持ちやすく、ポケットにすっぽり収まるサイズで、カメラ性能に妥協はなく、音楽プレーヤーとしてしても絶妙なサイズと性能バランス。2022年3月にはAndroid 12のアップデートをはたし、「Photography Pro」や「Cinematography Pro」には新たな機能が追加され、今まさにXperiaシリーズ現役の中核となるモデルなのです。

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